第55話 僕の人種
・ハイヒューマン
・エルフ
・鬼人
・猫人
この中から選ばないといけないんだよね。まずは、とりあえずメリットとデメリットをまとめてみるかな。
・ハイヒューマン
メリット…すべてのステータスが少しだけど上がる。姿が変わらない。
デメリット…特になし。強いて言えば、特徴がなさすぎるところ。優れるところがない。
・エルフ
メリット…魔力やMPなど、役立つ能力が上がる。姿がイケメンとか美女とか。
デメリット…力が減ってしまう。
・鬼人
メリット…魔力以外のすべてのステータスが大幅上昇。姿があまり変わらない。
デメリット…特になし。角が生えるのが嫌という人もいるから強いて言えばそれ。
・猫人
メリット…速さがベースの僕にピッタリなステータスの伸び方をしている。
デメリット…猫耳はメリットなのかデメリットなのか……。僕的にはデメリット。発情期がある。
………と、まとめてみたんだけど、どれも一長一短でどれもいいところがあるし、悪いところがあるし……って感じだよね。
この中から、更にまとめてみるとすると……ハイヒューマンは選択肢から無くそうかな……。鬼人の退化版みたいな感じだし。そうなると、猫人もそうだよね。
「……となると、エルフか鬼人だよね。魔法が使いたい、イケメンになりたいというのならエルフ。そして、魔力はいいから、他の能力をすごい上げたいというのなら鬼人。うーん……。」
そして、どっちがいいのか考えてみて、決めた。決め方は最後の最後で単純。僕の希望よりも……未来を考えてのこと。
「鬼人にしよう。魔力がないとはいえ、こっちのほうが絶対にいいからね。引きこもりのデメリットを打ち消すことができるから」
《はい、そうですね。………っていうか、魔力は増えますよ。それが少ないよっていうだけで0ではありませんよ。》
「……え、あるんかい! すごい紛らわしいよ!」
それなら、もう鬼人の唯一迷ったところが消えちゃったじゃん! ……まぁ、そっちのほうがいいんだけど。
「じゃあ、鬼人にしてくれない?」
《はーい、オーケーです!》
《青柳千尋の種族を、人間から鬼人(オニビト)に進化させます。よろしいですか?》
うん、オッケー。
《これより進化を開始します。》
うぐっ……! なんだこの頭が壊れるような……そんな衝撃が……! 進化って……
痛ただだだだだだだ!!!
どんどん景色がグニャグニャと曲がっていく。酔っているような感覚だ。ひどいぃ……。そして、どんどん意識が離れていく。
気持ち悪っ……! 我慢できないぃ……!
ガクッ……
そして、僕は意識を失い、僕が乗っている布団の上に倒れたのだった。
《この地球において、初めての進化を確認しました。》
《ボーナスとして、………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ボーナスの獲得を失敗しました。一定の条件を達成し、獲得できる状態になるまで延期とします。》
気絶をしている間、そんなナビが流れていた。しかし、そんなことを言われていたなんて、気絶している僕には知る由もなかった。
…………ただ。
不思議な感覚に僕はなっているのだということだけは分かっていた。たとえ気絶していても、なぜかそれがわかる。夢のようなものなのだろうか?
自分の体の中に、今までとはなにか違ったような、そんな新しいエネルギーを誰かが僕にくれて頭の中に流されているような感じ。どう表現するべきなのかは分からないけど。
それが、僕の頭の中を……身体の中を……どんどんまわっている。……というより、まわっていく。
それに対して、どこにも不快感はない。なぜだろう? どちらかというと、多分不快というよりは快感と言う感じ。本当に、意味のわからない感覚。
そして、分かる。その何かよく分からないんだけど……その未知の力によって、肉体が変化してゆくことが。組み替えられているようなそんな出来事が今起こっているのだろう。
でも、正しくは分からない。気を失ってしまっていたから。ただ、なぜか分かってしまうのだ。なにかしらの力が僕の中で働いているということが。
………なぜか。それは、よく分からないことなのだけれど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます