第27話 オーガを討伐した日
でも、どうするべきなんだろうか。2分の1になった今、相手にダメージが入りやすかったり、相手からダメージを貰いやすかったり……
今、戦っていいことはない。
でも、今戦わないと死んでしまう。走る速さも半減中で……逃げることなどできそうもない。
つまり、この絶望的な状況の中、戦うという選択肢以外ない! こうなったら、さっき考えたもう一つの作戦の方を実行するか!
「《⁇⁇⁇》」
僕は、あるスキルを使った。そのスキルの使い方は、ふつうの使い方よりも少し乱暴でマジックポイントの消費も激しいが、この短時間だけなら……
なんとかなる……はず!
そして、そのスキルを使ったあとに『僕』はオーガに向かって『ナイフ』を持って走る。
「グァアアアアアアアアア!!」
オーガは、その『僕』と『ナイフ』に向かって、持っている刀をオーガの全力くらいの力で振り下ろす。
その時だった。
「グァアアア………ァア?」
オーガが刀を振り下ろして『僕』と『ナイフ』を切った……様に見えたのだが、違っていたためにオーガは混乱したのだろう。
まぁ、僕でもこれを見ればそうなるだろう。だって……
『僕』と『ナイフ』は。
『消えたのだから』
僕がなんのスキルを使ったのかというと……それは。
……幻術だった。
幻術はないものを本当はないのだけれど、なぜか相手にとってあるかのように見せるという技。
しかし、それは1レベルや2レベルなどでは、幻術は動かすことができない。でも、いまは5レベル。
まだかなり不効率ではあるが、なんとか幻術を動かすことができる。
それを使ってなんとか僕が今走って前からオーガをナイフで刺そうとしていると思い込ませたのだ。
そして、実際の僕は……オーガの後ろだ。
全ての隠密系スキルを使ってもバレてしまうのなら、なにかに意識を向けさせて、バレなくしてしまえばいい。
「おりゃああああ!!!《肉体強化…腕》《生活魔法…水》《生活魔法…雷》」
この3つの技を使う。そして、僕が持っている本物のナイフに生活魔法…水と、生活魔法…雷を付与して……
刺す。
「グァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「何度でも何度でも……お前を討伐できるまでやってやるよ」
そして、何度も何度もスキルを使っていく。
「《生活魔法…水》《生活魔法…雷》《生活魔法…水》《生活魔法…雷》《生活魔法…水》《生活魔法…雷》《生活魔法…水》《生活魔法…雷》《生活魔法…水》《生活魔法…雷》!!!!」
「グァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
これは叫んでいるようだけど、スキルではなさそうだ。なにか恐怖をしているような感じがするし。
《経験値を獲得しました。》
《経験値が一定に達しました。》
《青柳千尋のレベルが18から19に上がりました。》
《経験値が一定に達しました。》
《青柳千尋のレベルが19から20に上がりました。》
《経験値が一定に達しました。》
《青柳千尋のレベルが20から21に上がりました。》
《ネームドモンスター オーガ『オーグルー』の討伐を確認しました。》
《討伐ボーナスとして、ユニークスキル 空間操作を獲得しました。》
やった……。やってやったぞ……!
「はぁー……つかれたぁ……。今回は本当に死ぬかと思った」
《私も、少し危険だったところは数多くありましたね。》
でも、原因はナビゲーターの助言の遅さもあると思うけどね。
《それは……反省します。》
まあ、いいよ。結果的になんとかなった訳だし。
「じゃあ……本屋に行くか。僕も結構欲しいラノベがあったんだけど、買えてなかったっていうのがあるからね。他にも、いいのがあるかも知れないし」
《そうですね。》
そして、僕は楓さんの方へ帰っていった。すると、楓さんはキョロキョロと首を回していて、僕に気付くと走ってきた。
「どこいっていたの……!? 結構心配したんだけど……。」
「ごめん、なんでもないよ。ちょっと周りのモンスターを倒していただけだから」
「…………本当に?」
「うん。……あっ、僕もラノベ貰おうと思うんだけど、いいやつないかな?」
楓さんには言わないほうがいいだろう。そう考えて、話題をさりげなくすり替える。
「あっ、あるよ。こっちこっち!」
その後、僕たちはいろんな本を見て回りながら、その本について議論したりして楽しく過ごした。
多分楓さんは思ってなんてないだろうけど、いや、絶対にないけど、僕の中では、デートなんじゃないかって思っている。
だって、異性2人で出掛ける……。
デートじゃね?
まぁ、そんなことを言ったら楓さんに嫌われそうなので言わないでおくが。
そして、ショッピングデート(?)は幕を閉じたのであった。
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