第6話 初めてゴブリンと戦った日

ゴブリン

HP9/10

MP7/7



「えーっと、このステータスを見るに、生活魔法は、だいたい1ダメージ入るってことだよね。」


《おそらくですが、そうだと思いますね。》


「ふむ、ならあと9回当てれば大丈夫なのかな?」


《はい、そんな感じだと思うような、思わないような。》


「…………。なに? 何か……僕に間違ったことをしてた?」


《いや、まぁ間違ってはないですが、あと9回使うとなると、マジックポイントが0になりますよ。》


「オー……マイ、ゴッド……」


 そうだった。マジックポイントが0になっても死にはしないけど、鬱になったりするんだよね……。


 それはなぁ……


「どうしよう。ちょっと心配だなー……」


《それなら、スキルをMP自動回復のスキルを獲得すればいいんじゃないんですか?》


「え……それって、出来るの?」


《はい、まぁMP自動回復は少し時間がかかりますけどね。》


「どうすればいいのかな……?」


《ポイントを使う、という単純かつ簡単な方法ですね。……ただ、まだ獲得可能ではありませんので、自分のMPを0にすればいいですよ。ほらね、簡単ですよ?》


「……それってつまり、気持ち悪くなる状態にならないといけないってこと?」


《はい!》


 簡単っちゃ簡単ではあるけどさ。でも、それには苦痛が伴うってことね。僕は、それがしたくないからナビゲーターに聞いていたのに。


 ……本当にそれしかないのかな? でも、ナビゲーターは、たまに情報が少ないときもあるけど、間違ったことを言わないだろうし。


 まぁ、こんな死ぬような世界だ。気持ち悪くなるのが1回くらいって思っておけば……なんか大丈夫な気がしてきた。


「ふぅー……、よしっ」


 そして、再び同じくらいの火を思い浮かべる。マジックポイントを過度に消費して、最後の10回目が使えないなんてことになったら最悪だからだ。


 ボッ! ボッ! ボッ! ボッ! ボッ! ボッ! ボッ! ボッ! ボッ!


「うぐっ……。結構きついなぁ……」


 これは予想以上……気持ち悪くなるだけと言っても、これは……うっ、おぇぇぇええ……。


 そんな状況で、意識が朦朧としていく中、ナビゲーターと、違うもう1つの声だけが、僕の頭に響いていた。


《……おぉ、ゴブリン、ちゃんと倒せたみたいですね……》


《……経験値を獲得しました。……》

《……経験値が一定に達しました。……》

《……青柳千尋のレベルが1から2に上がりました。……》


《……スキルの熟練度が一定に達しました。……》

《……スキル MP自動回復が獲得可能になりました。……》


 それを最後に、僕の意識は途切れたのだった。








「うぅー……」


 目を開けて初めに見えたのは、ぼやけている何の変哲もない天井。あら不思議、天井は実は……なんてこともない。ここは、普通に僕の住んでいるアパートだ。


 どこかに拉致られたりはしていないようだ。まぁ、こんな世界でそんなことをしている人とかいたらおかしいだろうけど。


「……あ、ナビゲーター、そういえばあのゴブリンどうだった? 最後の方は全く覚えていなくてさ」


《あっ、やっと起きたんですね。……暇だったんですよ。まぁ、いいです。ちゃんとゴブリンは倒せてレベルも上がりましたよ。それに、MP自動回復も獲得可能になりました。》


「おぉー、やったぁ。とりあえずどうなったか見てみようかな」

「《ステータス》」


 もう慣れ始めたフレーズを口ずさむ。



名前 青柳千尋

人間 LV2

HP 5/5→6/6

MP 10/10→11/11

力  1→2

耐久 3→4

敏捷 2→3

器用 2→3

魔力 0

SP 5

JP 7


職業

引きこもりLv2


ユニークスキル

ナビゲーター


スキル

孤独耐性Lv2ストレス耐性Lv2恐怖耐性Lv2気配遮断Lv2鑑定妨害Lv2生活魔法Lv1肉体強化Lv1敵意感知Lv1危機感知Lv1麻痺耐性Lv1



「本当だ、すごいな……」


《本当だってって……私の言っていたことを信じていなかったのですか?》


「は、はは……」


《それで、また新しくスキルポイントとジョブポイントがあるんですけど、どうするんですか?》


「あっ、今から振り分けようと思うよ」


 さて、新しくスキルを得るか? それとも、今あるスキルのレベルを上げるか?


「とりあえず、MP自動回復が欲しいし、他にも欲しいスキルがあるかもしれないから、獲得できるスキルを教えてくれない?」


《はーい。》



・毒耐性・睡眠耐性・気絶耐性・火魔法耐性・水魔法耐性・風魔法耐性・土魔法耐性・雷魔法耐性・闇魔法耐性・光魔法耐性・氷魔法耐性・MP自動回復・火属性魔法。



 ふむ……。増えているのは、もちろんMP自動回復と、あと、気絶耐性と、えっ……火属性魔法!?


 どうしようか。結構必要だよな。いや、必要っていうよりかは、僕が欲しいってだけなんだよね。


 まぁ、ストレス貯まるっていうのも嫌だし、欲しいから使うか。


「じゃあ、まずはもちろんMP自動回復を使えるようにしてくれ。」


《はーい。》


《スキルポイントを1ポイント使用して、スキル MP自動回復を獲得しました。》


 よしっ。


「それに、火属性魔法も……。」


《あのー……注意ですが、火属性魔法っていうのは魔法なので、まだ使えませんよ》


「…………は? いやいやいや、でも、生活魔法は使えたじゃん? それなのになんで使えないの?」


《あぁ……それは、生活魔法が属性魔法ではないから……ですかね。》


 属性魔法。それはつまり、火とか、水とか雷とか、風とか……だよね。生活魔法も、それに入りそうなんだけど……。


《いやいや、生活魔法は無属性魔法に分類されているんです。まあ、なんでなのかは分からないんだけどね。》


「えぇ……。なら、どうやったら使えるようになるのかな?」


《それには、魔力操作と、魔力感知。そして、魔力の欄の数値が1以上で使えるようになります。》


 つまり、3つも必要なことがあるのか。先はまだまだ長そうだな。でも、いつかは使えるということだ。やったっ!


「まぁ、後でいいか。それで、あまり必要そうなものはなさそうだし、スキルのレベルでも上げるか」


 どれが、必要なんだろう?


 ナビゲーターに聞いたところ、スキルレベルを上げるには、もともとのレベル+1のスキルポイントが必要らしい。


 つまり、今1レベルの人は、2レベルにするのに、2ポイント。2レベルの人なら3レベルになるために3ポイントが必要ということだ。


 そして、僕はいろんな通りを考えてみて、やっとのことでなんとか決めることができた。人生を変えるものなんだ。きちんと考えないと。


 その内訳は、こんな感じだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る