第5話 スキルを新しく得た日

「それで、次はスキルについてなんだけど、新しく獲得とかできるスキルとかないの?」


 あったら、嬉しいな。だって、努力する量が減ることになるからね。努力も大事だけど、やっぱり、努力するよりも楽する方がいいよ。


 努力は大事。でも、できることなら楽することも大事。おぉ……いいこと言った……!


《……放っておきますね。えーっと、今獲得できるスキルはこれくらいですかね?》


・毒耐性・麻痺耐性・睡眠耐性・火魔法耐性・水魔法耐性・風魔法耐性・土魔法耐性・雷魔法耐性・闇魔法耐性・光魔法耐性・氷魔法耐性・敵意感知・危機感知・肉体強化・生活魔法。


「おー……、こんなにも獲得できるスキルがあるのか。それにしても、耐性系がすごい多いのは気のせいかな?」


《いや、気のせいじゃないてすね。獲得できるスキル15個のうち、11個が耐性ですね。》


「うぇー……」


 さすが引きこもりというべきなのかな? 引きこもりって、攻撃よりも耐性が多いってイメージだもんね。なんか現実を見せられているような感じがする。


「それで、だいたいこのスキルは何ポイントで獲得できるの?」


《えーっと……、今のところはすべて1ポイントで獲得できますね。》


「へぇ……。つまり、スキルレベルの強化をしないでいいのなら、最大5個のスキルを獲得できるってことか」


《まぁ、そうですね。》


 んー……まぁ、僕は最初は魔法を使ってみたいってすごく思っているから、生活魔法は欲しいな。


 あと、ステータスが下がっている今、強くなるスキルは欠かせないよな。だから、肉体強化も。


 えーっと、これで、あと3つか……。


 危ない目に会いたくないから、事前に敵がどこにいるかを知っておけるように敵意感知と危機感知はいるよな。


 こうすると、獲得できるスキルはあと1つ。良いものがあると、5つって多そうなのに意外にすぐなくなるものなんだな。


 この耐性の集まりの中で、1番使いそうなものを選ぶとすると、やっぱり麻痺耐性にするべきかな。麻痺とかいうスキルを持ってそうなモンスターとか結構いそうだし。


「じゃあ、スキルの獲得は、生活魔法、肉体強化、敵意感知、危機感知、麻痺耐性の5つで」


《はーい。》


《スキルポイントを1ポイント使用して、スキル 生活魔法を獲得しました。》


《スキルポイントを1ポイント使用して、スキル 肉体強化を獲得しました。》


《スキルポイントを1ポイント使用して、スキル 敵意感知を獲得しました。》


《スキルポイントを1ポイント使用して、スキル 危機感知を獲得しました。》


《スキルポイントを1ポイント使用して、スキル 麻痺耐性を獲得しました。》


「よしっ、これで一度確認してみることにするかな。」

「《ステータス》」



名前 青柳千尋

人間 LV1

HP 5/5

MP 10/10

力  1

耐久 2

敏捷 1

器用 2

魔力 0

SP 0

JP 2


職業

引きこもりLv2


ユニークスキル

ナビゲーター


スキル

孤独耐性Lv2ストレス耐性Lv2恐怖耐性Lv2気配遮断Lv2鑑定妨害Lv2生活魔法Lv1肉体強化Lv1敵意感知Lv1危機感知Lv1麻痺耐性Lv1



「おぉーー。なんか、スキルが書かれているところだけ、なんかすごそうだね。他の欄に比べて密度の差がおかしいんだけど……?」


《…………。》


「ん? なんか言ってよ、ナビゲーター。無視って寂しいじゃん……」


《これは、ちょっとチートですね。この時点で……レベル1の状態で、こんなにスキルを持っている人、やばそうなやつしか見たことないですからね。例えば……やっぱやめときます。あいつ嫌い……》


「いやいや、そんなことはないでしょ。」


《…………。》


「えー……。……って、流しちゃったけど、あいつ嫌いって何? スキルにもいろいろあるの?」


《その話続けるんですか?…………まぁ、私のように人格を持ったスキルはごく少数だけどいますからね。多分、このまま生きてさえいれば、いずれ会うことになるんじゃないかと。》


 えぇ……なんか、大変なやつは遠慮しておきたいよね……。引きころうかなぁ……。


《それより、ジョブポイントについても、スキルポイントについてもある程度準備は終わらせたし、次は何をするのです?》


「んー……そういえば、どうしようかな。ステータスが下がっているから、あんまり外に出たくはないし……そうだ、もしかしたら生活魔法でモンスターをたおせるかも……?」


《……生活魔法を攻撃に使う人初めてみたかもです……。》


「えっ、そうなの?」


《はい、生活魔法というものはもともと生活の中で使うものであり、攻撃手段として使うものではないですから。》


 ふーん、まぁいいじゃん。人それぞれってことで。


 そうぶつぶつと呟くと、僕はとりあえず窓の方へ向かい、そこからグーッと目を堪えてモンスターを探してみた。


 えーっと……遠距離攻撃できそうなやつとか、強そうなやつはここらへんにはいなさそうだね。なら、あのゴブリンに実験してみるか。


「あ、そういえばなんだけど、どうやったら魔法を使えるの?」


《それは、頭の中で念じれば使えますよ。あっ、ちなみに、こうなったっていう結果を思い浮かべてみてください。まぁ、と言っても、そのとおりになるとは限りませんが。》


「……ふむ」


 じゃあ、生活魔法っていうのは小さな火とか、水とかあと静電気とか微風だよな。


 使えるとしたら……火だな。


 そして、ライターより少し大きめくらいの火を頭の中でイメージしてみた。そして、それをゴブリンの身体の中で現れるよう、思い浮かべる。


 ボッ!


 すると、急にゴブリンの方のところから、僕がイメージした通りの大きさのちいさな火が出てきた。


 そして、ゴブリンは急に火で自身の身体が燃えたからか、驚いてキョロキョロと周りを見渡していた。


「よしっ……」


《おぉー……、でも、あまりヒットポイントは減っていませんよ。あっ、とりあえず私の中のスキルの1つ、鑑定を使いますよ。》


「おっ、ありがたい。」



ゴブリン

HP9/10

MP7/7



「おぉー……。すごいな。でも、ほとんど情報がないんだけど……。」


《いやいや、私のスキルっていうかユニークスキルは特別で、レベルがないんですよ。だから、上げ方はそれぞれで、私の場合は何かを説明していくほど分かりやすくなっていくんですよ。だから、君のスキルになってから何もしていなかったから、こうなったんです。》


「でも、ありがとう」


《……どういたしまして。》


 じゃあ、これが引きこもりとしての初戦闘だな。


 生活魔法でゴブリンを倒すというちょっと前代未聞な変な戦いを……さっそく始めてみますか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る