初めてのオリエンテーション

20代後半くらいだろうか?

今日からここで働く人の中に

僕以外の日本人?がいたみたい


この日本人に


「こんなきれいに日本語喋れるのは

日本人しかいないでしょここには」


そう笑って言われた。


「私はしおり。よろしくね

てかコントラクト書けてる?ずっとペン持ってなかったけど」


「しおりさんよろしくお願いします。

全く分かんない...助けてください」


「仕方ないなぁ。4ページのここ書いて、あとここと...」


しおりさんに助けてもらって僕の第二次コントラクト危機は何とかなった

第一次コントラクト危機の時はジョナサンさんが助けてくれたなと

もう昔の記憶みたいに思い出した


「やーありがとうございます!助かりました!」


「いいよ。ついでだしね

次はあの小屋の中入って指紋登録するよ」


「え、指紋登録?何も悪いことしてないよ」


「正確には静脈だけどね笑

生体認証でタイムを管理するんだよねここ」


タイムカードじゃなくて静脈か

かつてバイトしてたどっかのカラオケ屋さんもそうだった


「実は指紋取ってたりしてるのかもね」


「それ僕もかなり思います。」


こんな話をしながらあの小さな小屋で指紋登録をして

静脈認証がある入り口の中を抜けて

吹き抜けの休憩所みたいなとこに来た


「ここでオリエンテーションしてから働くよ

ちなみに8:30から働いてることになるから安心してね」


うそ、何もかも知ってるやん。

オレンジの制服を着た人よりも早く次の流れの説明をするしおりさん


「なんでそんなに詳しいんですか?

ここの工場のファンなんですか?」


僕は気になったことの質問をした


「ハハッ。知ってるのは前も働いたことあるからだよ

だからファンかもね?そういえば若いけど君いくつ?」


「え、どういうこと同じとこでまた働けるんですか?

あと今年20になる19歳っす!」


「ここの工場長に呼ばれたからね。」


「そうなんだ。そしたら工場長は日本人か」


日本人の下で働くのは嫌だなって思った。

しおりさんと会って安心した僕がいたけど


「てか19歳って若すぎるね。

なんでその若さでワーホリしたかったの?」


オリエンテーションを聞きながら小声で僕らは話す


僕は正直に「大学がつまんなかったんです。」と言って

海外でホームレスしてた友達に憧れて。という前に


はぁぁぁぁ!?


このしおりさんの声がオリエンテーションを遮る


「Excuse me」(すいません)


しおりさんはみんなに謝り

「本当にそれだけの理由でここに来たの?」


僕の言ったことをまだ信じてない顔をしながら聞いてきた。


「そんなもんじゃないですか?

ちなみにしおりさんはなんでワーホリしようと思ったんですか?」


次は僕が同じ質問をする


「そりゃ、日本の生活がつまらないからよ」


はぁぁぁぁ!?


なんて喉の手前の手前まで出てきててめぇに言おうとしたけど

僕はしおりさんみたいにオリエンテーションを遮る真似をせずに


「しおりさんも大概じゃないですか...」


小さな声でそう言った


そしてオリエンテーションが終わった

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