一番速くピッキングするには...

...hey...,morning... it is morning...


んんん...


遠くで声が聞こえる...


その音がだんだん近くなって、人の声だけではなく、笑い声や風になびく木々の声も聞こえてきた


はっ!!!


「Finally you woke up」(やっと起きたわ)


んぇ...


僕はバンのシートに手をついて、自分の上半身を上げた


するとなぜか、みんなの笑い声が響く


ほっぺに何か違和感がある。


気になりほっぺたを拭ってみると、右手が濡れた


よだれだ。


僕はやっと目が覚めた。


そうだ。


お昼ご飯を食べててそのまま仮眠してたつもりが、気づいたらガチ寝をしていたらしい


「Are you still in dream ?」(まだ夢の中にいるの?)


彼らはまだ笑っている


「いや、起きたよ。じゃなくてwoke up(起きた)」


寝ぼけて日本語で話してしまった


「okay! it’s time to go !!hurry up !!!」

(おっけ!行く時間だよ!!急いで!!!)


「わかったー」と答え、体が半分寝てるまま午後の部へ


キウイをピッキングしてカバンが少しずつ膨らむ

僕も少しずつ1/2を取り戻した。


2/2ちゃんとあるせいかピッキングに慣れたおかげか

自分のピッキングスピードが上がった


キウイを早く収穫するほどキウイのとげが削れて目に入る。


これが意外と痒い。どうしたら防げるもんか。


チームKのメンバーで安全メガネをしてる人はいないしどうやってこの痒さから逃げられてる?


周りを見渡してるうちにある1つのことに気づいた。


まだ一回しかトイレしてない。

昼休みほぼ寝てたし朝6時くらいにしただけだ。


そう気づいた瞬間からものすごい尿意を感じる。

さっきまではうんともすんとも言ってなかったのに


やばい、意識すればするほどしたい


とりあえず、きりのいいとこまではみんなと収穫するか


膀胱からあふれ出した尿が尿道を通って出口に向かう


出口に近づけば近くほど僕は、尿意を忘れるためにキウイピッキングのピッチを上げる。


上げて、上げてごまかす


「You are fastest right now 」(今一番早いよ。)


supervisor(スーパーバイザー)はそう僕に声をかけてくれた。


今、この瞬間は僕がfastest


でもこの僕よりも速く迫ってくるのは尿意だ。


僕はsupervisorにI’m glad(嬉しいよ)とは言えず

Gotta go to the toiletと言った。


supervisorは笑って僕に


「go to there before you can’t stand for」(我慢できなくなる前にいきな)


そう言ってくれた。なんて言ってくれた?


やっぱり、僕にはkiwiアクセントを理解するのは難しくて、膀胱は我慢が限界である。


我慢ができなくなる前にトイレ探すわ!


カバンを端っこに置いて内股でトイレを探す。


探すが景色は畑、畑、畑


それなら...


トイレはeverywhere(どこにでも)にある。


僕は少し歩いたところの防風林の間に用をたすことにした


だだっ広い畑で用をたす。ただそれだけの事なのに凄い開放感。


特別なことをしてる気になった。


さて、仕事戻りますか


戻ってる途中におっさんが防風林の前に立ってる


まさか...


僕は特別なことなんて何1つしてなくて、

当たり前のただの人体の反射をしてただけなんだって思い知らされた。


それと他の人は帽子をしてるから目が痒くなさそうで

明日から帽子を持ってくる必要があることも思い出した

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