170話 反旗を翻す研究者

 読者の皆様へ:暇だったので更新します(笑)


 ★☆★☆


 研究室にて。


「本部から重要な書類が届いただと?」


「ハッ。そのようです!」


 ”改良型魔人薬”の開発に取り組んでいるジョン博士に、重要な書類が渡される。


「薬の最終調整を済ませないといけないのだがなー。読んでる暇なんて無いのだぞー」


 小言を言いながらも、部下から書類を受け取り、ジョン博士はその中身を取り出す。


「どれどれー」


 ジョン博士は近くの席に着くと、書類に目を通し始めた。


「は?」


 開始早々に、予想外の事があったのか、思わず呆けた声を出す博士。すぐさま食いつくように書類を読み始めた。


 そして、全てを読み終えるとー


「ふざけるな。ふざけるな。ふざけるな!」


 席から立ち上がり、怒気を含んだ声色で叫び始めた。


「なにが『本日付けで、残りの研究はこちらで引き継ぐ。これは決定事項だ』だ。私の研究の成果を全て奪う気か!」


 長年の研究の成果を。人類が進化に至る為の薬品を。あと一歩の所で、全て本部に奪われそうとなっている事実に、ジョン博士は激しい怒りを覚えた。


「ふざけるなよ中央の腐った無能共が!!」


 額には青筋を浮かべ、目が血走ったように変化する。


「有能な私を忌み嫌って左遷した挙句の果てに、今度は研究の成果を寄越せだと!?人を舐めるのも大概にしろ!!」


 読み終わった書類を投げ捨て、踏みつける博士。


「おい、今すぐ中央に連絡をしろ。こっちで研究を完成させるとな!」


「ハッ!」


 とばっちりを受けたくなかった部下は、命令を受けると急いでその場から離れる。




 ★☆★☆


 数分後。


 本部からの承諾を得られなかった部下は、言いづらそうにそう報告をする。


「ジョン博士。やはりダメでした。アイツ等まともに対応すらしてくれません」


 不機嫌な博士から発せられる雰囲気に、部下は身体をビクビクと震わせた。


「そうか」


「ヒッ」


 博士の伸ばす手に、部下はあまりの恐怖に目を瞑る。これで間違いなく殺されると実感したからだ。


「別にお前が悪い訳ではいない」


「え?」


 だが目を開けると、そこには博士の手が肩にポンと置かれているだけだった。予想していた展開にならず、部下は思わずホッとする。


「私の研究の成果を奪われてたまるものか!アイツ等がまともに取り合ってくれないのなら、こっちにも考えがある!」


「つ、つまり?」


「急いで”魔人薬”の最終調整を終わらせて、俺達が作ったとマスコミに発表をするぞ!」


 博士はそう言うと、中断していた最終調整を、急いで再開させるのだった。

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