163話 一緒に寝よ?

 自分の部屋にて。


「さっきのはマジでヤバかったな」


 一息ついた俺は、妹の行動について頭を悩ませていた。


「気まずいし、もう帰ろうかな?」


 思わずそう呟いてしまう。


 だって気まずいのだ。凄い甘えてくるし、どう接したらいいか分からない。


 年の離れた兄妹を持つと、色々と苦労するのだ。


「はぁー」


 ん?いや、待てよ?


 思わずため息をついたが、何も実家に泊まる必要はないじゃないか。


 何故泊まる事を前提に、俺は考えていたのだろう。


 パジャマを着てるせいだろうか?危ない危ない。


 妹はまだお風呂に入っているハズだから、逃げるなら今がチャンスだろう。


「そうするか!丁度いい時間帯だし、もう帰ろう!」


 そう決意して、いざ私服に着替えようと準備をするとー


 ガチャリ!


「シンジ、あんた今日は泊まって行きなさい」


「へ?」


 部屋に突然、母親が入ってきた。早速帰ろうとしている所に、泊るよう母に促される。


「な、なんで?」


 出鼻を挫かれた俺は、聞き返さずには居られなかった。


「だって、あの子の嬉しそうな顔見たでしょ?しずくのあんな姿見た事が無いわ。きっと、普段甘える事の出来ない兄が傍にいるから嬉しいのよ。だから今日ぐらいは泊まって行きなさい。分かった?」


「い、いや。俺はー」


「分かった?」


 逃げようとすると、まるで”これは決定事項だ”とでも言うように、母は言ってくる。


「ま、まさか、帰る気!?ああ、可哀想な雫。狂夜ちゃん達に言いつけようかしら。パパが雫を泣かせたって。そしたらあの子達はどんな反応を......」


 断っても、”あの手この手”でしつこく言ってくるだろう。母はそういう人間だ。


 もはや望みは断たれた。


「分かった。泊れば良いんだろ!泊れば!」


 こういう時だけは強引だな!


 ついに根負けし、俺は承諾してしまうのだった。




 ★☆★☆


「寝るか」


 やる事がない俺は、もう寝る事にした。


「それにしても、リラックスしながら寝るのは久しぶりだな」


 思わずそう呟いてしまう。何故なら、夜中になると毎日のように嫁達が求めて来るからだ。


 毎晩毎晩、気絶するまで求められる身にもなって欲しい。朝方になってようやく眠れるなんてザラだ。やり過ぎて行為中の記憶が殆ど飛んでしまっているぞ。


 いざ1人となると、ちゃんと眠れるのだろうか?


「ちょっと寂しいな」


 もはや日課と化している行為をしないのは、何だか気が引けるぞ。


 コンコン 


「おにぃ、入ってもいい?」


 そんな時、雫がドアをノックしてきた。


「どうしたんだ?」


 俺はベッドから起き上がり、ドアを開ける。


「な!?」


 するとそこにはー


「おにぃ、一緒に寝よう?」


 黒いネグリジェを着たしずくが、枕を抱きかかえていたのだった。

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