126話 明かされる真実

「「「ッ!?」」」


 驚いた3人の中で、一番早く我に戻ったのは狂歌だった。


「さ、300年って。一体どういうこと!」


 エレナに、どういうことなのかと問い詰める。


 普段から何かが起こっても冷静に対応できる狂歌。そのため、3人の中でいち早く立ち直ることが出来たが、この時ばかりは、流石に動揺を隠せずにはいた。


「あー。マスターから何も聞かされていないんだね。」


 3人の反応を見て、復活させるまでの出来事を聞かされていないと、察するエレナ。


 その一言で、3人はシンジが隠し事をしていると察すると同時に、更なる動揺をした。


「教えて!エレナちゃん。私達が死んでいる間に、一体何があったの!」


 サラが変身を解除し、エレナに掴みより教えて欲しいと懇願した。


「うちからもお願い。教えてエレナちゃん。」


「お願い。私達の知らないことを教えてくれるかしら。」


 続けて2人も変身を解除し、エレナにお願いをした。


「んー。本当は3人の言う事なんか”聞く義理”も無いんだけど......まぁ、マスターのことだから特別に話してあげるよ。」


 本音を交えつつ、エレナは語り始めた。


「君たちが死んでから、マスターは君たちの復活を目標にしたの。不眠不休で魔界を旅し始めたんだー。比喩じゃないよ、本当の話。それでね、”とある魔物”を倒すには進化する必要があって、ずっとマスターは魔界で過ごしていたの。魔物を狩っては、『魔水の泉』と呼ばれる危険な代物を捕食して、身体をボロボロにする。魔物を狩っては、捕食しての繰り返しを..................300年間していたの。」


「「「ッ!」」」


 語り始めたエレナの話に、序盤から絶句する3人。


「とある魔物。それは巨獣最強の朱雀。巨獣って言うのは、魔界の頂点に立つ4体の魔物のことねー。朱雀は【蘇生魔法】を持っていたから、3人を生き返らせるには倒す必要があったの。」


「蘇生魔法....」


 聞き覚えがあったのか、ボソッと声を漏らす狂歌。


「でも、1人じゃ倒す事は出来ないと分かっていたマスターは、どうしても仲間が必要だった。だから共闘する為に私を仲間にして、共に魔界を旅していたの。朱雀を倒す為にね。」


「共闘......」


 つい、声を漏らしてしまう美香。一緒に戦えた事を羨ましいと感じている様子だった。


「そして、マスターと一緒に巨獣へと進化をした。」


「「「進化.....」」」


 王級より先の進化があったのかと、驚く3人。


「いきなり朱雀に挑むのは無理だから、他の巨獣を殺してから力をつけていったの。最終的には、私と共闘する事で朱雀を倒すことが出来た。けれどー」


「けれど?」


 続きが気になるのか、思わず聞き返す狂歌。


「戦いの影響で、私とマスター魂にヒビが入っちゃってねー。特にマスターが重傷で、いつ死んでもおかしくない状況だったんだ。私もだけど。」


 自分の事を、ついでのように話すエレナ。


「え!」


「待って!」


「それじゃ!」


 その説明を聞いて一瞬慌てる3人だったが、すぐにエレナによって手で静止させられる。


「そして、朱雀を喰らい、いざ蘇生を実行させようとしたら、3人の魂が既に消失していたの。蘇生失敗!」


「「「え....」」」


 そのエレナの一言で、自分の身体を見渡し、生きている事を確認し合う3人。


 蘇生が失敗したのなら、なぜ自分は生きているのかと疑問に思った。


 そして思い出す。ここがどこなのかを。


「ここまで言えば、後は大体予想が付くでしょ?」


「過去に戻って.....」


「私達の未来の身体と過去の身体を融合させて.....」


「復活させたんですね......」


 エレナが問いかければ、3人は欠けていたピースがようやくそろったのか。


 狂歌・美香・サラの順番で、1人ずつ答えを言った。


「正解!過去に戻って、私とマスターは”過去の自分”を見つけ出して融合。魂を修復したの。そっちは、見つけ出して融合したの。これが君たちが生き返るまでの、私とマスターの苦労した出来事。」


 エレナの最後の説明で、復活の過程を全て知った3人。


 それと同時に、エレナが命の恩人であることをようやく理解した。


「命の恩人だったのね。それと槍を突き付けてごめんなさい。」


「恩知らずな事をしちゃった。うちもごめんね。」


「すみませんでした。」


「別に平気だよ!”こんな奴”に殺される格下の攻撃なんか、効かないから!」


 謝る3人に対し、【物理攻撃無効】と【魔力攻撃無効】を持っているエレナは、異空間から『傲慢』(後の獅子王)の首を取り出し、そう答えた。


 その一言で、エレナと自分たちの格の差を理解し、3人は傷つくことになるのだった。

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