98話 努力の成果

 読者様へ:数日間お待たせしました。体調管理これからも気をつけたいと思います。今日は凄く暑いですね(笑)



 ★☆★☆


「あなた。好き好き///」


 腕に抱き着き、嬉しそうな表情を浮かべる狂歌。


 起きる気配があったから、様子を見に行くと狂歌が目覚めていた。


「あなた♡あなた♡」


 気が付くと狂歌に抱き着かれ、今現在熱烈なラブコールをされているという状態だ。


「身体の方は大丈夫か狂歌。」


「あら?そういえば何で私生きているのかしら。」


 問いかけると、今更気づいた様子を見せる狂歌。


「ああ。それは蘇生魔法を持ってる奴を殺して奪ったんだ。」


「そうなの。でも蘇生出来たのなら、未来の世界じゃない?ここはどう見たって過去の世界よね?」


 確認を求めてくる狂歌。自信が無かったのだろう。そう問いかけてきた。


「ああ。お前が殺されてから既に時間が経ちすぎていたんだ。既に魂が消滅していた。」


「え?」


 予想外の答えに驚きの様子を見せる。


「だから、過去に戻って融合させたんだ。」


「そ、そうだったの。」


 その答えに納得したのか、狂歌は納得した様子を見せた。


 ようやく狂歌が復活した。過去と未来の狂歌の肉体を融合させることで、1つの肉体とし、既に消失していた魂を、過去の魂で補ったのだ。


「なぁ狂歌。記憶はどうなってる。」


 記憶はどうなのかと、問いかけてみた。するとー


「過去と未来の私が1つになって、融合した感じがするの。記憶も1つになってる。不思議な感じよ。自分が自分じゃないみたい。」


 初めての感覚に慣れていない様子を見せる狂歌。


 同一人物である為、拒絶反応などはないのだろう。俺が既に体験しているから、それは確かだ。


 長年の努力が遂に実ったのだ。だが、これは俺が見ているこの光景は、夢ではないだろうか?


 それを確認するため、思いっきり狂歌に抱き着いた。


「良かった。生き返ってくれて。狂歌愛している。」


「あ、あなた///」


 ドクン ドクン


 心臓が動いている。急な不意打ちと、抱き着かれた影響で体温が上昇し、顔が朱色に染められていた。


 血液も、体温も、微かに匂う汗の匂いも感じる。


 生きている。これは夢ではないのだ。そう実感した。



 しばらくその場で抱き合い、生きていることを実感していると


 後ろから視線を感じた。


「あらまぁ。なんてことかしら」


 振り向くと、いつの間にかドアが微かに開けられ、


「狂歌ちゃんとそんな関係だったなんて!」


 隙間から母さんが覗き込んでいた。


「幼馴染と一線を越えるのね!燃えるわその展開。」


 驚いた様子を見せる母。


「ここでキスをするのかしら?それとも発展して子供作り!?」


 徐々に大きくなっていく声。


「駄目よ!学校をサボってそんなことをするだなんて!」


 遂にドアを開けて中に入ってきた。


 ビクッと体を硬直させる狂歌。いきなり部屋に突入してきた母に対し、驚いているのだろう。


『反応するな。こっちの慌てる姿を見たくて母さんは入ってきたんだ。』


 急に念話で脳内に話しかけられ、狂歌は驚く様子を見せたが直ぐに理解して頷いた。


「狂歌可愛いよ。」


「あなたもカッコいいわ。」


 人の部屋にノック無しで勝手に入ってきたのだ。


 2人して母を無視することにした。するとー


「私の扱い空気なの!?」


 少なからずショックを受けた様子を見せる母。


「で?なんで人の部屋に、ノックも無しで勝手に入ってきてんだ?」


「あ、そうそう2人に夢中になってて忘れてたわ!」


 そう問いかけるとー


「美香ちゃん来たわよ。」


 なんでも無いかのように、そう答えるのだった。

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