44話 魔界突入
夜
全員が各自の部屋で寝静まっていた頃、誰かがドアをノックしてきた。
「んあ?誰だ。」
寝ぼけ眼をこすりながら誰何すると
「私です。兄さん。入っていいですか。」
どうやらサラが夜中に俺の部屋に訪ねてきたようだった。
「いいけど。」
ベッドから降りてサラを出迎えようとするとドアが開いた。
「なっ。」
そこには透け透けのネグリジェを着たサラがいた。
恥ずかしいのか顔を真っ赤に染めていたサラはすぐに部屋に入っていき、ドアのカギを閉めた。
「兄さん///」
顔を朱色に染め、上目づかいでこちらを見てくるサラ。
透け透けのネグリジェによって体のラインがはハッキリと見えていた。
魅惑的な姿だった。
大きく強調された胸に、引き締まったくびれ。微かに匂う香水の香り。
「お、おい。そ、その恰好はやばいだろ。」
興奮して思わず顔が赤くなってしまい、カミカミになってしまった。
何だか、いつもより綺麗に見える。気をしっかりと保たないと、襲ってしまいそうになるほどに。
(マズい【誘惑】を使われている。)
心で危ないと察してはいたが、更にサラが力を引き上げたことによって抵抗できなくなってしまった。
サラにベッドで押し倒され、耳元で囁かれる。
「今晩は滅茶苦茶にして、おにいちゃん///」
そこから先のことは覚えてはいない。
覚えているのは、お互いにタガが外れたように貪り合ったことだけだった。
★☆★☆
「【誘惑】の能力ってやばいな。」
朝起きて思わずつぶやいてしまった。隣には寝息をたてているサラがいる。
毛布で裸体を隠していた。先に起きたので、服を着ることにする。
時計を見ると7時だった。着替え終わるとサラが起きていた。
「にいさん?」
目をこすりながらこちらに声をかけてきた。
「おはよう。昨日は凄かったな。」
何がとは言えないが色々と凄かった。
「にいさん///」
サラは夜のことを思い出したのか、顔を赤く染めていた。
そのあとはサラも着替え、俺の部屋にずっといた。
なかなかリビングに降りてこない俺を不審におもったのか、狂歌が部屋にやってきた。
そこには、サラに膝枕してもらいお互いにイチャついている現場を見られてしまった。
俺は、嫉妬した狂歌にすこし怒られてしまうのだった。
★☆★☆
何とか狂歌に機嫌を直してもらった。
また、デートの約束をさせられてしまったが。
予定通り、準備を終えた俺たちは魔界に行くことにした。
「いくぞ。空間こじ開けたらすぐに移動するからな」
俺は真剣な顔で3人に忠告をした。
3人は顔を引き締め真剣な表情となった。魔界に行く方法はいたって簡単だ。
人間界にある空間を魔力で無理やりこじ開け、魔界の空間に繋げるのだ。
例えるなら人間界が入り口で、魔界は出口である。
出口まで走り切れば、あちらに移動出来るようになる。
しかし、入り口が空いたらすぐに移動しなくてはならない。
こじ開けた空間はあっという間に修復されてしまうからだ。
人間界と魔界の空間の狭間。
通称ー『狭間の空間』
取り残されてしまえばもう、戻ることはできない。
空間に取り残され、孤独に死んでいくだけだ。
ダルファーの記憶で知ることが出来た。
これが魔物が人間界に行きたがらない理由の一つでもある。
わざわざリスクを冒してまで行きたいとは思わないのだ。
(まぁそれでも、人間界に来る雑魚は相当切羽詰まってると言えるけどな)
そう思わずにはいられなかった。膨大な魔力をその場に流し込んだ。
すると、空間にヒビが入ったかのように次々と割れ始める。
全てが割れると、真っ黒な空間につながった。
「狭間の空間だ。奥に出口が見える!急いでいくぞ!」
俺たちは、様々な色が変化する異空間に入り込み、走った。
足場は無いのに落ちることは無く、走ることが出来た。不思議である。
全員で無事、出口を抜けると全くの別世界に出た。
「ここが...魔界...」
そこは赤黒い背景の空に、常に雷の音が鳴り響いている世界だった。
地面はひび割れ、枯れた木々が生えていた。
俺たちは無事に魔界にたどり着くことが出来たのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます