42話 壊れた刀
微かに感じる息苦しさに目を覚ました。
「苦しい...」
誰かに抱き着かれているような重みを感じる。
「あ、もう起きちゃったの?おはようシンジ君」
首を動かし見ると、美香が寝ている俺の身体に騎乗していた。
「美香だったのか。」
毎日ランダムで3人の内いつも誰かが必ず起こしにやってくるのだ。
今日は美香が起こしにやってきたようだ。
(魔人かしてから、何だか積極的になったな。前までは自信無さそうで少し暗かったし、オドオドしなくなったのは良いことだ。)
と内心で思っていると、美香が顔を真っ赤にしてこちらを見つめてきた。
「し、シンジ君。そんなに見つめられると困っちゃうよ。」
少し恥ずかしそうにこちらを見つめてくる美香。
考え事をしていたら、いつの間にか美香を見つめていたようだ。
「わ、悪い。そんなつもr-」
そんなつもりじゃなかった。
そう言いたかったが言えなかった。
美香が【誘惑】の能力を俺に使ってきたから。
状態異常耐性を持っているとはいえ、敵ではないからこそ効果が通用してしまった。
いつもより何だか綺麗に見える美香。
お互い見つめ合いドキドキしてしまう。美香の顔も朱色に染まっていた。
お互いに自然と顔が近づいていき、キスをしてしまった。
「えへへ。またキスしちゃったね。シンジ君。」
軽いキスだったとはいえ、いつもより心臓がドキドキしてしまった。
恥ずかしいのか抱き着いて顔を隠す美香。互いに一線を越えているとはいえ、恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。
(平常心だ。平常心。)
心臓がバクバクいってる。
「も、もう降りるぞ。みんな待ってるからな」
できるだけ平常に、何でも無いかの様に振る舞った。
しかし
「シンジ君...そんなこと言ってるけど...心臓...凄いドキドキしてるよ?」
抱き着いてきた美香にバレてしまった。
「それに、もういいの?まだ時間あるよ」
時計を見ると9時だった。
いつもより1時間早く起こされたようだ。
顔を赤く染めた美香に見つめられ、抵抗しようとしたができなかった。
美香が更に【誘惑】の力を解放して使ってきたからだ。
そのままお互いに顔が近づいていき、2人はまたキスをしてしまうのだった。
★☆★☆
数十分後
リビングに降りたシンジと美香。
そこには、少し疲れた様子シンジと、肌に艶のある美香がシンジの腕に抱き着き、幸せそうな顔をしていた。
その2人の様子を見て事後であると察した狂歌。
狂歌は美香に嫉妬をした様子を浮かべていた。それを見て優越感に浸る美香。
互いに目からバチバチと稲妻のようなものを飛ばしあっているように見えたのは気のせいだったのだろうか。
嫉妬した狂歌に朝から怒られるシンジであった。
★☆★☆
「朝から修羅場はキツイぜ。」
嫉妬した狂歌にようやく解放されたシンジ。
内心ではハーレムは維持するのが大変だと実感していた。
(まぁ、別に好きでハーレムを維持してるわけではないが。)
道場で破損した刀を並べるシンジ。
「まぁ全部で大体こんなもんかな」
破損したパーツを組み合わせ、魔力で無理やりくっつけて元の形に戻した。
変身し、刀を捕食した。
刀を無理やり噛み砕き、飲み込む。
金属の砕ける音が周りに響く。
(だ、大丈夫だよな?これで死んだりしないよな?無事であってくれ!)
内心不安になりながらも実験をそのまま続行するシンジ。
鞘も全て噛み砕き、飲み込むと
『【針使い】が【魔刀生成】に変化しました』
と脳内に表示された。
どうやら実験は成功したようだ。
内心よかったとホッとする。
実験が失敗していたらやばいことになっていたからだ。
能力を使ってみると、変身した身体の一部から一振りの刀が生み出された。
ひび割れて魔力で無理やりくっつけていた刀の部分に青いラインが入っている。
ギザギザの不規則な線であり、まるで稲妻のようだった。
黒い刀に青い稲妻の入ったライン。
凄くカッコよくなっていた。
「おおなんだこれ。カッコいいな。」
思わずつぶやいてしまった。
ついでに、道場にある姿見で全身を確認した。
進化した影響で何か変化があったかもしれないからだ。
見ると、色々と変化があった。まずは鎧だ。強度が上がった実感がする。
それに、全身のフォルムが少し変わった。頭部が竜の様な形になったのだ。
篭手の指先が鋭くなり、背中から翼を生やすと4翼になっていた。
変身を解く。
鏡で普通の状態をみると、黒髪に白のメッシュのあるオッドアイの自分がいた。
試しに両目に魔力を込めると左目は赤く、右目は青く光る。
左目では、筋肉を透視することができ、更に魔力を込めると赤外線カメラと同じように見ることもできた。
右目では、魔力を見ることができ、更に魔力を込めると周りの景色を全体まで見渡すことができた。まるで自分を3人称視点で見ているようだった。
「やっぱ慣れないな。イメチェンしすぎだろ。」
そう思うシンジであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます