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第467話 F級の僕は、再臨の儀の目撃者にされそうになる
第467話 F級の僕は、再臨の儀の目撃者にされそうになる
最高39.4度まで熱が上がりましたが、おかげさまで無事生還致しましたので、ゆるゆる更新再開して参ります。
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6月18日 木曜日18
「せっかくだから、どうやってエレシュキガル様を再臨させるか、それも説明しておくわ」
「イシュタルに
「その際、一番大きな障害となったのは、皮肉にもご自身が
それは肉体を持たず、精神体のみの存在は、
レイスのように、一見、精神体のみで構成されているように見えるモンスターですら、その
完全なる精神体のみで構成される精霊達も、何かの物体に憑依、或いは親和性の高いエルフ等の肉体を“借り”なければ、いかなる力も振るう事は出来ない。
無銘刀にかつての実体を破壊され、
「だからエレシュキガル様はまず、ご自身の為の“
話しながら、
「それがあそこに封じ込めてある
エレシュキガルにより創り出された存在!?
「あの“
自らが定めた
イシュタルにより“命”の息吹を吹き込まれた
「仕方なく、エレシュキガル様は次善の策を試みられた……」
そしてエレシュキガルは、エレンを見出した。
「世界を呪い、エレシュキガル様を受け入れたあの魔族の女が、
しかしここで、エレシュキガルに少し誤算が生じた。
「エレシュキガル様を受け入れたあの魔族の女は、本来ならその時点で消滅していたはずだった。ところが何かの手違いか、或いはイシュタルが介入したのか、魔族の女……エレンと名乗っているあの魔族の女は、エレシュキガル様ご本人にとっても理解しがたい何らかの理由によって、いつの間にか神性を獲得してしまっていた。それ
誤った判断……
恐らく僕があの時、500年前のあの世界で、エレシュキガルを封印するという判断を下した事を意味しているのだろう。
しかし僕からすれば、誤っているのは
エレンが
しかし仮にもしそうだとしても、僕は納得のいく理由を知っている。
なぜなら彼女こそが、侵蝕を受け、変容しつつあったかつての慈愛の創世神、エレシュキガルが残した……
五角形の頂点の位置に、それぞれ僕、ターリ・ナハ、クリスさん、エレン、そしてノエミちゃんを封じ込めた結晶体が浮遊している魔法陣の中心に向けて、無銘刀を手にした
「前置きが長くなってしまったけれど、ここからが本題」
魔法陣の中心部に立った
「この魔法陣は、特殊な効果を発揮出来るの」
彼女の言葉と共に、突然、全身の力が文字通り吸われる感覚が押し寄せてきた。
「私と同じく、エレシュキガル様の啓示を受け取ったあなた……」
魔法陣全体が、紫色の不気味な輝きを放ち始めた。
「始祖ポポロの血脈を受け継ぎながら、創世神エレシュキガル様を裏切り、簒奪者イシュタルの眷属へとなり下がった光の巫女の地位を受け継ぐノエミ……」
輝きはやがて不自然に脈動し始めた。
「エレシュキガル様に反逆の刃を向けた獣人カルク・モレの子孫、ターリ・ナハ……」
魔法陣の中心に立つ
「そして常にエレシュキガル様の側に立ち続けた
無銘刀が凄まじい輝きを放ち始めた。
「この魔法陣を使ってそれら全ての力を一点に凝集する事で、この
「そう言えばあなたはまだ、エレシュキガル様がいずこに封印されているか、正確には理解していなかったわね……」
浮遊する結晶体の一つのすぐ傍に立った
内部に薄く透けて見える人影の詳細は分からないけれど、僕の仲間の誰かがそこに封じ込められているはず。
「光の巫女は気付いていたようだけど、エレシュキガル様は、この魔族の女の中に封印されているの」
「普通なら、この魔族の女をただ殺せば、エレシュキガル様の封印を解く事が出来るわ。だけど厄介な事に、この魔族の女は神性を得てしまっている。さらにもう一つ厄介な事に、この魔族の女は、これも理由不明なのだけど、無自覚的にエレシュキガル様をその身に封印し続けようとしているの」
神性を得ている者を、本当の意味で
だからこそ、かつてイシュタルと
この状況でエレンの肉体を完全に破壊、つまり殺したとしても、エレンの精神体は存在し続け、エレシュキガルの精神体を拘束し続ける事になってしまう。
「そこでこの無銘刀の出番というわけ」
つい先程まで、
黒い負の感情。
総督府の建物を覆い尽くしていた、あの黒い負の感情が、どこからともなくこの場所へと凝集し始めていた。
周囲から地鳴りのように響いてくる何かを詠唱する声が、一段と大きくなったように感じられた。
「黒い負の感情を使って、この刀の力の一部を反転させる。その状態でこの魔族の女の肉体を破壊すれば、エレシュキガル様は真の意味で解放される。その後、エレシュキガル様をあそこに用意した……」
釣られて視線を向けた先、結晶体内部には、詳細不明だけど、微動だにしない人影のようなものが薄く透けて見えていた。
「“
僕の心の中を、焦燥感が埋め尽くしていく。
そんな事をすれば、エレンはどうなる?
無理矢理エレシュキガルの“
それに……
それに今、
膨大な量の黒い負の感情が暴流となって、無銘刀へと流れ込んでいくのが見えた。
このままでは…….
このままでは取り返しのつかない事になってしまう!
―――メル! 待って!
しかしそれは当然声にならず、僕の視界の中、
そして彼女がそれを、恐らくエレンが封じ込められているのであろう浮遊する結晶体に向けて振り下ろすのもっ!!
―――やめろぉぉ!!!
声にならない叫びを上げながら、突如、僕は時間が無限に引き延ばされるような、奇妙な感覚に包まれた。
そしてふいに “声”が聞こえた。
―――どうやら大変な事態に
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