第334話 ご対面
一糸乱れぬ隊列を組むバルシャニアの騎士達には、威風堂々という言葉がピッタリです。
頑強にして壮麗、誰の目からも恐るべき実力の持ち主であるのは明らかでありながら、統率の取れた動きは洗練された美しささえ感じさせます。
アルダロスの街で、セラフィマの一行を出迎えた人々は、バルシャニアの騎士達の姿に息を飲み、声も無く見守っています。
沿道の人々が手を振り、歓声を上げる、日本風の要人パレードを想像していた僕にとっては、異様な風景に見えました。
「ラインハルト、要人の出迎えって、いつもこんな感じなの?」
『さて……諸外国とのリーゼンブルグ王族の婚礼の場合は、もっと賑やかな雰囲気になりますが、バルシャニアとは未だに敵対関係が続いている状況ですので、このようになるのも致し方ないかもしれませんな』
実際、見物に集まっているアルダロスの人々も、どのように反応して良いのか迷っているようにも見えます。
中には、剥き出しの敵意を隠そうともしない人もいますし、好意的な人も周囲の様子を窺って、騒ぐに騒げないといった感じなのかもしれません。
バルシャニアの騎士達も、胸を張り、顔は正面に向けて微動だにしませんが、視線は忙しなく群集を見回しています。
彼らにとってみれば、ここは敵地のど真ん中で、周囲の群集は切っ掛け一つで敵の大群になりかねません。
いくらバルシャニアの精鋭百騎だとしても、群衆全員が一度に押し寄せてくれば、数の暴力の前に蹂躙されてしまうでしょう。
もし、そのような状況になったとしても、人の波を切り裂き、セラフィマを逃がす為の方策を、何度も、何度も頭の中で繰り返しているのかもしれません。
十重二十重の人垣が出来ていた平民街や商業地区を抜け、貴族達の館が建ち並ぶエリアに入って見物人が減ると、バルシャニアの騎士達に安堵の表情が浮かびました。
勿論、まだ完全に気が抜けるような状況ではありませんが、それでも百倍、千倍の人数を相手にするよりは楽でしょう。
「あれっ? このコースは……」
『年明けの式典の時に使った順路ですな。おそらく、この隊列のまま前庭まで進み、そこで出迎える形になるのでしょう』
ラインハルトの予測した通り、年明けの式典の時に、アルダロスの人々を王城の中へと向かわせたコースを使っています。
当時と違うのは、建物の入口を塞ぐ仮設の壁が作られていないことぐらいでしょうか。
例え、王城の中とは言え、アーブルの残党が紛れ込んでいないとも限りません。
身内同士が互いを見張るようなことは、カミラとしても避けたかったのでしょうが、バルシャニア一行に何かがあれば国際問題になり兼ねません。
バルシャニアの騎士達が命賭けでセラフィマを守るのと同じように、リーゼンブルグの騎士達は、一命を賭してバルシャニア一行を守っているのです。
前庭の様子は、事前にリーゼンブルグ側から知らされていたのでしょう。
バルコニーから庭へと降りる階段の下に、セラフィマの馬車が横付けされました。
出迎えるリーゼンブルグ側は、カミラを筆頭に、弟のディートヘルム、その宰相トービル、そしてグライスナー侯爵の姿があります。
ラングハイン伯爵も王都に呼び出すように助言しましたが、砂漠化対策の陣頭指揮を執っているはずですので、まだ戻って来ていないのでしょう。
バルシャニア一行が足を止めると、出迎えのために整列していたリーゼンブルグの騎士が一斉に剣を抜き、天高く突き上げた後、胸の前に剣を掲げました。
更にリーゼンブルグの騎士達は、剣をクルリと回し、切っ先を握って掲げてみせます。
すると今度はバルシャニアの騎士達が、右手で槍を高く差し上げ、そのまま垂直に落として石突で地面を叩き、反動を使ってクルリと槍を回すと、穂先を下に向けて掲げました。
どちらの騎士も、切っ先を下に向けることで、不戦の意思を示しているのでしょう。
「うん、壮観だね」
『互いの国の威信を掛けた振る舞いですからな』
馬車のドアを御者が開き、セラフィマが降りて来るのと同時に、バルコニーからの階段を下りてカミラが出迎えます。
バルシャニアとリーゼンブルグ、二つの国を代表する美女二人に、周囲を固める騎士達の表情も和みます。
うん、体型的には対照的な……うひぃ、セラフィマにギロンと睨まれました。
てか、影に潜っている僕のとばっちりを受けたリーゼンブルグの騎士が蒼ざめてますね。
「ようこそリーゼンブルグへ、私が次期国王のカミラ・リーゼンブルグです」
「バルシャニア帝国皇女セラフィマです。歓迎に感謝いたします」
にこやかな表情で二人は握手を交わしたのですが、何となく目が笑っていないような……。
「さぁ、長旅でお疲れでしょう。城内へご案内いたします」
「お心使い、感謝いたします」
カミラの案内で、セラフィマと侍女頭、護衛の女性騎士筆頭の三名がバルコニーへと続く階段を上り、他の者達はそれぞれの案内に従って移動して行きます。
セラフィマは、アルダロスに数日滞在し、リーゼンブルグの国内事情の説明をうけ、バルシャニアとの今後についての話し合いが持たれるそうです。
滞在用の部屋へと案内され、案内役の城付きのメイドさんが退出すると、護衛の女性騎士が早速部屋を調べ始めました。
秘密の抜け道や隠し部屋の有無を壁を叩いたりして確認しています。
更に残りの護衛騎士や侍女も到着して点検が終わるまで、セラフィマは部屋の中央に立って、その様子を確認していました。
たぶん、アルダロスに到着するまでの間も、毎日同じような事が行われてきたのでしょうね。
全ての確認が終ってもホッと一息つく暇も無く、入浴や着替えを済ませて夕食会の準備をしなくてはなりません。
では、その様子もジックリと……いやいや、見ませんよ。
「それにしても、夕食会かぁ……毒殺大好きリーゼンブルグだから、気が抜けないよね」
『無論ですぞ。これまでもセラフィマ嬢が飲食をする際は、必ずヒルトを近くに控えさせ、異変があればケント様に知らせるように態勢を整えておりました』
「えっ、そうだったの?」
『はい、我が祖国なれど、これまでの経緯を考えれば、毒殺を計る可能性はあって当然、無ければ僥倖と考えておりました』
第一王子のアルフォンスの毒殺、第四王子ディートヘルムやシーリアの母親フローチェさんへ長年に渡っての毒の投与、そう言えばカミラが毒殺されそうになった事もありましたね。
念のために、夕食会の間は僕も影の中に控えてましょう。
今夜のセラフィマの衣装は、光沢のある白い布地にエメラルドグリーンの糸で細やかな刺繍が施されたドレスに、エメラルドグリーンのパンツとベストの組み合わせです。
目元までを覆う、透けるほどに薄いベールが神秘的な雰囲気を演出していますね。
夕食会は、城の大きな食堂で開かれました。
カミラやディートヘルムの他に、王都近郊に領地を持つ貴族や、王都に滞在中の貴族の家族、騎士団の幹部、有力な商会の主、などが顔を揃えています。
今夜のカミラはブルーを基調としたドレス姿で、細く締められたウエストが豊満な胸を更に強調しています。
うん、まったくもってけしからん。
殆どの列席者は、セラフィマにも好意的な視線を向けていますが、一部の者は冷笑を浮かべて囁きを交わしています。
少し影の中から話を聞いてみましょうかね。
「あれが魔王に差し出される生贄だそうだ」
「バルシャニアは本当に姑息な手を使ってくる」
「娘をヴォルザードに嫁がせれば、有事の際には背中を突けるという訳か」
長年バルシャニアと敵対してきたのですから、こうした感想が聞かれるのは当然なんでしょう。
それにしても生贄って……むしろ僕の方が食べられそうなんですけど。
「随分と可愛らしい姫様だが、魔王様は満足されるのか?」
「カミラ様のようなスタイルの良い女性が好みではなかったのか?」
「これは少し見方を改めねばならぬのかもしれぬ……」
「いかにも、魔王様は我等と思いを共にする紳士でいらっしゃるのかもしれぬ」
「選りすぐりの幼女奴隷を定期的にお届けする案をカミラ様にお勧めしては……」
いやいや、僕にはそんな趣味は無いからね。
念のためにカミラにも、後で言っておいた方が良いかな。
そのカミラの挨拶から、夕食会は始められました。
「今宵は、この王城へバルシャニアの皇女セラフィマ様をお迎えした。セラフィマ様は、隣国ランズヘルト共和国のヴォルザードにお住まいの魔王ケント・コクブ様の許へと嫁がれる途中にアルダロスにお立ち寄りいただいた。皆も存じておると思うが、ダビーラ砂漠からここ王都へと至る道程は、魔王様のお力によって見違えるように整備されている。これは、更なる交流を進め、両国の友好関係を築き、共に栄えよという魔王様の思し召しだ。リーゼンブルグは、長年に渡る腐敗政治によって衰退の坂を転げ落ちそうになっている。国を建て直し、更なる発展を遂げるために、我々は戦よりも交易を選ぶ。今宵は、そのための記念すべき一歩となる夜だ。存分に語らい、楽しんでもらいたい」
列席者の拍手が鳴り止んだところで、今度はセラフィマが挨拶に立ちました。
「皆様こんばんは、バルシャニア皇女セラフィマです。バルシャニアとリーゼンブルグは、あまりにも長い間お互いを敵視し続けてきました。ダビーラ砂漠の存在によって、長期に渡る戦こそ起こらなかったものの、敵対する年月が増えるほどに和解の糸口を見出せなくなっていました。今夜、私がこの場にいられるのは、魔王ケント・コクブ様のおかげです。ケント様は、リーゼンブルグとも浅からぬ関係をお持ちだと聞き及んでおります」
ぎくっ、セラフィマがカミラに意味深な視線を投げ掛けましたけど、もしかしてヒルト経由で色んな話が流れちゃってます?
「バルシャニアの頭の固い父や兄も、魔王ケント様と敵対する愚は十分に理解しております。始まりは、ケント様の武威を恐れての友好関係でも、私は構わないと思っております。そして、ケント様がご健在のうちに、本当の意味での両国の友好関係が築けるように、どうか御力添えをお願いいたします」
セラフィマの挨拶に万来の拍手が送られると、参列者の下に食前酒のグラスが配られました。
僕の所にも、ハルトが運んで来てくれました。
「カミラが御主人様にもって……」
「ありがとう、ハルト」
カミラめ、なかなか気が利くじゃないか。
また膝枕して撫でてやりましょうかね、一緒にお風呂はむにゃむにゃ……。
「では、リーゼンブルグとバルシャニアの新しい時代の到来に……」
「乾杯!」
リーブルとは違う果実酒は、軽い炭酸の入った爽やかな味わいですが、ジックリと楽しんでいる余裕はありません。
セラフィマだけでなく、カミラや他の参列者に毒が盛られる可能性があります。
別に重要な人物でなくとも、夕食会に参加している人が毒殺されれば、両国の関係が悪化するのは目に見えています。
暗殺は狙う側が有利で、守るのは大変だと聞きますが、実感するとは思ってもいませんでした。
前菜からメインディッシュまで、ハルトが運んで来てくれるのですが、味を堪能できなくて申し訳無いです。
ただ、夕食会はそれぞれの席に座ったまま進行していくので、セラフィマに近付く人物は限定的です。
隣に座ったカミラやグライスナー侯爵、一つ離れたディートヘルムと言葉を交わす程度で、直接的に危害を加えられる心配はありませんでした。
デザートの皿が片付けられ、お茶を飲み終えて夕食会は無事に終了しました。
「ふぅ、どうやら無事に終ったみたいだね」
『ケント様……和平反対派を撮影しておいた……』
「フレッド、いつの間に……でも、今後を考えたら必要だよね」
『制圧するにしても……懐柔するにしても、相手を知る事から……』
眷族のみんなが優秀で、本当に助かっています。
夕食会の後、部屋に戻ったセラフィマは、ベールを取り去っただけで、ドレスは脱がずにソファーに身を沈めています。
さすがに四面楚歌に近い状況の夕食会を終えた直後とあって、その表情には少し疲れの色が見えました。
ここは、癒し要員を派遣すべきですね。
僕が頷くと、意図を感じ取ったヒルトが、セラフィマの隣へと出て行きました。
「わふぅ、御主人様がお疲れ様って……」
「まぁ、ありがとうございます」
ヒルトがモフられるのかと思いきや、セラフィマの方がポフポフと肩を叩かれて労われています。
うん、逆じゃない? と一瞬思ったけど、これはこれで有りですね。
セラフィマが、ホッとした表情を浮かべた直後に、部屋に来客がありました。
部屋を訪れたのは、カミラです。
「夜分遅くに失礼します」
「いいえ、こちらこそお呼びたてして申し訳ございません」
どうやらカミラの方から訪問したのではなく、セラフィマの方から誘ったようですね。
「周りがこれまで敵対していた者ばかりで、お疲れになられたのではありませんか?」
「いいえ、皆様好意的に迎えていただきましたし、お料理も素晴らしいものばかりでした」
「そう言っていただけるとありがたい」
「とは言え、皆様の前では話しにくい事もございますので、こうして御足労いただきました」
なるほど、夕食会の席では話せない、もっと内密な話……って、なんでしょうね。
「単刀直入に申し上げますが、現在のバルシャニアにはリーゼンブルグと敵対する意志は全くございません。それよりも、鉄を含めた交易の拡大を望んでおります」
「それは、キリア民国とヨーゲセン帝国の戦を踏まえての話でしょうか?」
「はい、おっしゃる通りです。現状、キリアの圧勝で終るかと思われた戦いは、長期戦の様相を呈してきています」
セラフィマは、泥沼化しているキリアとヨーゲセンの状況について語り、それに伴う鉄の入手についても語りました。
「バルシャニアの鉄の殆どは、キリアからの輸入に頼っている状況ですが、いずれ今の戦乱が収束し、キリアを元にした大国が出来上がった場合、鉄の入手が困難になる可能性がございます。ケント様が存命の間は、そうした心配は必要ないかもしれませんが、皇族の立場とすれば、百年先、千年先を見据えなければなりません」
「なるほど、それゆえにアーブル・カルヴァインと通じておられたのですね」
「その通りですが、そうした理由の一つは、再三にわたって私共からの和平の申し入れ、鉄の取り引き拡大要求などの親書を送っても、全く返事が戻って来なかったからです」
「それについては、申し訳なかったと言うより他にない。お恥かしい話だが、我が父は世間で愚王などと称されるように政治に無関心で、宰相の傀儡となっていた。その宰相もアーブル・カルヴァインの傀儡であったのだから、王国を乗っ取られてもおかしくないところであった」
カミラが、ここまで率直に語るのは、アーブル絡みでバルシャニアには情報が流れていると踏んでいるからでしょう。
「その乗っ取りを阻止されたのが、ケント様でございますね」
「いかにも、我々は独力ではアーブル・カルヴァインを排除出来なかったでしょう。そう、バルシャニアが独力ではギガースを討伐出来なかったように……」
カミラの一言で、空気がピンと張り詰めたような気がします。
なんだか、二人が交わす視線にも不穏な影が差しているような……。
「否定はいたしません。ギガースの前にバルシャニア帝国騎士団は、全くの無力であったのは事実ですし、その窮地を救っていただいたのはケント様に他なりません」
「機嫌を損なってしまったのならば謝罪いたすが、リーゼンブルグとて魔王様のお働きが無ければ、国が無くなっていたかもしれません」
「そうでございますね。言わばバルシャニアとリーゼンブルグの両国は、似た様な状況に置かれていると言ってもよろしいでしょう。そこで、私どもから更に両国の関係を深めるための提案をさせていただきたい」
「和平のための提案ですか……?」
「はい、我が兄、第一皇子グレゴリエの許へ嫁ぐ気はございませんか?」
「えっ……」
期せずして、影の空間で僕も驚きの声を上げてしまいました。
「私がケント様の許へと嫁げば、バルシャニアとヴォルザードの間には強固な友好関係が作られます。もしリーゼンブルグが、どちらかと戦になった場合には、常に背中を突かれる心配をしなければならなくなります。それならば、いっそバルシャニアとリーゼンブルグの間に婚姻を成立させた方が、今後の友好関係を円滑に進める大きな手助けとなるでしょう」
それまで、穏やかな笑みさえ浮かべていたカミラの表情は強張り、血の気が引いているように見えます。
「それは、第一皇子の正室に……という事ですか?」
「勿論です。我が愚兄にはケント様ほどの力はございませんが、それでも次期バルシャニア皇帝としての資質は備わっていると思っております。また、現在の皇帝、我が父コンスタンには側室がおらず、兄弟全員が兄グレゴリエを支える覚悟でおります」
セラフィマの言葉には、グレゴリエも将来側室を置く可能性が少なく、皇帝の座を巡る争いも起こらないという意味が込められているのでしょう。
「バルシャニアにとっても、リーゼンブルグにとっても、またとない良い縁談だと思いますが……いかがですか?」
セラフィマは、余裕とも思えるような笑みを浮かべて、まっすぐにカミラを見詰めています。
一方のカミラは、目線を伏せて額には汗さえ浮かんでいます。
これは、仲裁に入った方が良いのかも……と思い始めた時でした。
ひょこっとハルトが姿を現して、驚くカミラの肩をポフポフと叩き、無言で頷いてみせました。
「ハルト……そうだな、そうであったな」
カミラは強張っていた表情を和らげると、ハルトの頭を優しく撫でた後で、セラフィマに向き直りました。
「誠に有り難いお申し出ではございますが、謹んで辞退させていただきます」
「理由を伺ってもよろしいでしょうか?」
「はい、勿論私もバルシャニアとの和平を望んでおりますし、その気持ちに嘘はございません。ですが、この身も心も、全ては魔王ケント・コクブ様に捧げると誓っております。先程の御提案については、お断り申し上げるしかございません」
きっぱりと言い切ったカミラは、大輪のバラが咲き誇るように笑みを浮かべました。
それを見たセラフィマは、くすっと小さく笑ったあとで口を開きました。
「なるほど、それでは仕方ありませんね。そもそも、うちの愚兄とケント様を天秤に掛けるなど無意味なことです。ですが、カミラ様はケント様の元居た国に対して、賠償の責を負っていると聞き及んでおります。ケント様は、お優しい方ですが、あまり時間が掛かると私共の間に入り込む余地が、無くなってしまうかもしれませんよ。ご注意あそばせ」
今度こそセラフィマは、余裕を含んだ笑みを浮かべてみせました。
「言われるまでもなく、状況は理解していますが、この件に関しては一切引くつもりはございませんので、ご安心めされよ」
カミラは、己の決意を示すように、ぐぐっと胸を張ってみせた。
ドレスが悲鳴を上げそうな、けしからん迫力に一瞬セラフィマが気圧されたような表情を浮かべました。
うんうん、大丈夫だよ。小さいなら小さいなりに……うひぃ、突き刺すような視線でセラフィマに睨まれました。
バチバチとテーブルを挟んで視線で火花を散らすセラフィマとカミラ……そんな争いはヴォルザードに持ち込まないでよね。
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