第108話 いよいよ

 それから少し時は流れて、俺が呪いで死ぬまで残り四日となった今日この日。

 俺、シエナ、メリッサ、スズナ、ミラさんの五人は早朝、ギルドの前に集まって馬車に必要な物資を詰め込み、ソフィアに見送られて……ついにドラゴン討伐へと出発した。

 中々にギリギリになってしまったが、俺達は何度もクエストを受けて連携魔術を練習したり、各々の練度をあげていたのだ。

 負けることは出来ない。だからこそ準備は入念に行った。

 今の感じだと、ドラゴンを討伐できる確率は五分五分といったような感じだ。本来であれば一割も勝率がなかったことを考えると、中々いい感じになったと思う。

 まあ、ここまで確率が上がったのはひとえにミラさんがパーティーに入ってくれたからなのだが。

 

 で、問題のドラゴンだが、今朝の出発前に追跡魔術で位置を特定したところ、全速力で馬車を走らせれば半日でつくような場所で何かをしているようだった。

 地図の座標を照らし合わせるなら、今ドラゴンがいる場所は特になにもない場所なのだが……油断は出来ない。

 あと、馬車を全速力で走らせるためには魔術によるスピードアップをしなければならない。ただ、魔力を温存しておく必要があるため、全速力の二分の一の速度で馬車を走らせているところだ。これなら明日にはドラゴンの近くに行けるだろう。まあ、移動していなければの話だが。



 夜。明日に備えて俺たちは少し早いタイミングで移動を切り上げ、近くにあった街で宿を取った。野営をするとどうしても見張りをしなくてはならず、ドラゴンと戦う前に体力を使ってしまうと判断したのだ。

 皆で外食をしてそこでお腹いっぱい食べ、街の温泉でゆっくり体を癒やし、宿屋のフカフカのベッドで俺たちは五人並んで寝る。

 誰が俺の隣で寝るのかと喧嘩になったが、最終的にはじゃんけんで勝者となったミラさんとメリッサが俺の両隣でお休みになり、その外側でシエナとスズナが寝ることになった。

 まあ、夜中にいつの間にかシエナとスズナが俺の上で寝ていたので少し苦しかったが。いや、でも明日のことを考えて不安になって、俺のぬくもりを感じたかったのかも知れない。

 そう思って、俺は特に何も言うこと無くそのまま眠りについた。



 ◆◆◆



 翌朝。起きたタイミングで追跡魔術を起動してドラゴンの位置を確認すると……昨日からほとんど移動していないことが判明した。

 なので、このチャンスを逃すまいと俺たちは朝食を食べた後、すぐに馬車に乗り込んで目的地に向かう。

 

 で、三時間ほどが経った頃、俺達は目的地に到着した。

 本来であれば半日は掛かる距離だったのだが、俺がなりふり構わずにスピードアップの魔術を使った結果、こんなに早くついた。

 そんなに魔力を使って大丈夫なのかって? ああ、大丈夫だ。だって……俺にはこれがあるからな!

 俺は馬車に積み込んでいた荷物袋から青色をした瓶を取り出し……それをごくごくと飲んだ。

 こいつは魔力を回復させるポーションだ。俺の魔力量であれば……今の感覚から言って三分の二残っていた魔力が全回復するような量だ。メリッサの魔力量であればおそらくゼロからマックスまで回復する量だろう。まあ、それくらい凄いポーションである。

 ただ、こいつ……めちゃくちゃ貴重で高いポーションなのだ。今回、ミラさんの権力をフルに活用して手に入った魔力回復のポーションは四つのみ。少ない。少ないから乱用できない。

 しかしながら、俺のタイムリミットまで短いことと、ドラゴンが移動する前に決着をつけたいということで魔術を行使。で、減った魔力をこいつで回復することとなった次第である。まあ、昨日の時点で使っておけよ、という話だが……そこはあれだ。俺が死ぬまであと四日もあるじゃん、っていうのがあと三日しかないじゃん、に変わって焦りだした、って感じだ。ガバガバな俺達ですまない。

 まあ、とにかく、そうして俺は魔力を全回復させたわけだ。


 俺達はドラゴンが何処にいるのか捜索する前に各々が最終チェックをする。

 自分の装備に問題がないか、回復ポーションは持ったか、自分達の服はダメージ無効の効果が付与されたものなのか――俺を含めた全員が、ドラゴン退治のためにニーニャに頼んで一回だけ受けたダメージを無効にしてくれる服を作ってもらって着ている――そういうことをチェックをする。うん、大丈夫そうだな。

 で、最後にユニークスキルを各々発動して、ドラゴンの捜索を開始する。

 決着の時が近づいているような予感がした。

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