第107話 武器を更新しました!

 で、ようやく説教が終わったところで、キャロラインがまずメリッサに紺色の手袋を渡し、それの説明をしてきた。


「それはエリックの旦那が今使っているローラと同じものっす。出来るだけ強い魔術を撃てるようにということで、メリッサさんにはそれを渡すっす。で、こちらが……ミラさんとエリックの旦那のものっす」


 キャロラインが俺とミラさんに黒色の手袋を渡してきた。


「そちらはローラを改良したもの、ローラ改っす。魔力消費量が以前のものよりも更に上がるっすが、威力も上がるっす。従来比で魔力消費量は三倍、魔術威力は五倍っす。これがうちで今作れる最高の魔術師専用の武器っす。メリッサさんもローラ改にしようかと悩んだっすが……ちょっと危険かなと思ったっすから止めておいたっす」

「なるほどな」


 確かに危ないかも知れない。

 実はメリッサ。緊急クエストの最中も、そして戻ってきてからも魔力量を増やすために魔術を頻繁に使っているのだ。だから、以前と比べれば確実に増えてはいるのだが……俺が使っていたローラも結構魔力を消費するし、今回は連携魔術で超強力な魔術を使うことになる。つまりはそれだけ消費魔力量も増えるわけで。魔力が必要量無くて撃てませんでしたーとか、一発撃っただけで魔力が底を尽きましたー、というのは非常に不味い。俺は一発で決着がつくとは全く思っていなかったのだ。

 そういうわけで、キャロラインの考えは正しいと思った。まあ、ミラさんに関してはA級の冒険者だし、魔術師も相当長い間やっている人だ。心配はないだろう。というか、トイレにアイギス張れるレベルの人だし。



 俺たちは早速渡された手袋を着けてみる。グーパーしたり、手を上下に振ってみたりしてどんな感じか確かめる。


「うん、問題ないな」

「そうね。流石はキャロライン。完璧な仕事だわ」

「わたくしもいい感じですわ!」


 三人とも問題ないようだった。

 キャロラインは『そうっすか! それは良かったっす!』と喜ぶ。

 

 その後は、ローラ、もしくはローラ改の試し打ちを特にすること無く、キャロラインのお店を後にした。

 ちなみに、シエナの武器に関しては『これ以上のものは今は作れないっす!』ということで更新せずである。

 あと、店を出るときにキャロラインが『後日、うちとお酒を一緒に飲みに行く』という旨が書かれた誓約書を持ってきて俺にサインをさせてきた。

 そのときにミラさん達が「自分たちも一緒にいくから」みたいなことを各々俺に言ってきたが、キャロラインも快諾していたし、これについてはひとまず丸く収まったというような感じだ。



 ◆◆◆



 皆で家に帰宅して、ソフィアも合流したところで晩御飯を食べ、一息ついた頃。

 俺とミラさんは居間でくつろいでいた。他の皆はお風呂に入っているところだ。ミラさんも最初はシエナ達と一緒に入る予定だったのだが、俺が引き止めた。

 理由は……


「ミラさん。今日は武器と防具を買っていただいてありがとうございました」


 俺の隣に座っているミラさんに頭を下げてお礼を言う。

 そう、このお礼を言うためにわざわざ引き止めたのだ。

 中々言い出すタイミングがなくて、何処で言おうかと悩んでいたのだ。で、これ以上の先延ばしはできん! ということで、今こうしてお礼を言っている、ということである。


「別にお礼を言われることでもないわ。金額としてもそう大したものでもないし」


 ミラさんはどうってことないような顔をする。

 まあ、こう返してくるとは思っていたので「でもありがとうございました」ともう一度ペコリと頭を下げた。

 ミラさんは「別に大したことないわ」と言っていたが、少し嬉しそうな顔をしていた。

 ふぅ、お礼も言えたしスッキリスッキリ!

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