第48話 お風呂

 風呂場へと向かった俺は、まずは隣接している脱衣所で服を脱ぐ。

 一回家に帰ってきてから服を着替えたとは言え、体は洗っていないからな。この服も後から洗濯しておこう。

 ということで、洗濯かごに脱いだ服を入れる。


「洗濯は何時しましょうか?」

「うーん、そうだな……今日は無理だから、明日の朝にしようか」

「分かりました」


 シエナも洗濯かごに服を入れる。

 腰にタオルを巻いた俺は、ガラガラガラ……と扉を開けて風呂場へと入る。

 俺が住んでいる家は結構豪華で、お風呂場も何処かの公衆浴場のような広さがある。

 俺は倹約家ではあったが、将来誰かを迎い入れることを夢見て、家にはかなりの額を費やしたのだ。


「……凄い……ですね……」


 シエナが感嘆の声を漏らす。

 そうそう、こういう反応を期待してこの浴室も作ったんだ。いい反応をするじゃないか、シエナ。

 嬉しくなった俺は、隣に立っていたシエナの頭を撫でる。

 彼女は嬉しそうに目を細めて、俺にされるがままになった。

 本当に可愛いな、シエナは。

 顔はいいし、腰はきゅっと絞られているしで、本当にナイスボディだ……

 しかし、まじまじと彼女の体を見ていて、ある違和感に気がついた。

 はて、なんでシエナが一緒に風呂場に入ってきているのだろうと。ここには俺一人しかいないはずでは、と。

 止まりそうな脳をなんとか動かし、口を開く。


「……なあシエナ。なんで俺と一緒に入ってきているんだ?」

「少しでも長く一緒にいたいと思いまして……ダメ……ですか……?」


 上目遣いで聞いてくる。

 はぁ……全く、俺の弱点を的確についてきやがって……


「……仕方ないなぁ〜」

「ありがとうございます!」


 まあ、シエナは可愛いからな。こんなことを言われたら断れるわけないじゃん。



 その後。シエナが『エリック様。温泉のときのように洗いっこしませんか?』と提案してきたのでこれを快諾し、まずは彼女を洗ってあげることにした。


 髪も洗える石鹸を手に付けて……洗い場においてある椅子に座った彼女の頭をゴシゴシとする。

 何時触ってもシエナの髪の毛はサラサラとしてるよな……触っているだけで興奮すると言うか……いや、なんでもない。

 頭皮のマッサージをしつつ、彼女の長い髪を丁寧に洗った後……お湯でしっかりと泡を洗いながす。


 次は体を……と思って脱衣所から持ってきていたタオルをお湯で濡らし、石鹸を付けて泡立てていると、シエナが


「私の体を洗っていただく前に、エリック様の頭を洗わせていただけませんか?」


 と提案してきた。

 ふむ、別にそれでもいいか。

 『いいぞ』と返事をして、今度は俺が椅子に座り……髪を洗ってもらう。


 ゴシゴシゴシ……


「エリック様の髪の毛って、私と違って固いといいますか……コシがありますね」


 シエナが洗っている時に気がついたのであろうことを言ってくる。


「まあ、そうだな。俺は結構髪の毛が固いって言われているし。それに、男と女では髪の毛の質も違うんだろう」

「なるほど……」


 特に知識があるわけではないが。


 シエナもしっかりと俺の髪の毛を洗ってくれた後、お湯で丁寧に洗い流してくれて……お互いの髪の毛の洗いっこは終了した。

 ふぅ……さっぱりしたし、次は彼女の体を洗ってあげよう。

 そう思って泡立てて置いてあったタオルを手に取ったのだが、シエナに静止をさせられる。


「エリック様、待って下さい。今日はいつもと違った新しい洗い方をしたいので、協力してくれませんか?」


 ふむ、新しい洗い方とな?

 特に断る理由がなかった俺は『分かった』と返事をして彼女に従うことにした。



 『付いて来て下さい』と言ってきたシエナの後ろを付いていくと……彼女は洗い場の奥で立ち止まる。


「今日はこれを使ってお互いの体を洗おうかと思いまして」


 彼女の目線を追ってみると……何やらマットのようなものが地面に置いてあった。


「……これは……?」

「『そ○ぷまっと』というものらしいです。中々高かったのですが……奮発しちゃいました」


 シエナがえへへへ、という顔をする。

 なるほど。シエナには娯楽用にというわけで、ある程度のお金をあげているからな。それで買ったのだろう。

 しかし、初めて見るものだな……

 手で触れてみると……表面はツルツルとしていて……少し力を入れて押して見ると、グイット反発してきた。

 ほえー、凄いな、これ。


「エリック様。早速ですが、このマットの上に仰向けで寝転がってもらえませんか?」

「ん? ああ、分かった」


 言われるがままにこの摩訶不思議な『そ○ぷまっと』と言うものの上に寝転がる。

 ……なんか変な感じだ。見た目は脆そうなのにかなり頑丈らしく、男の俺が寝転がってもぺしゃんこにならないし。


――――

 このあとは、R18禁展開をシエナに押し切られる形で繰り広げてしまったので、割愛する。

 こういうのは口外することじゃないからな。俺とシエナだけの秘密だ。

――――


 色々と楽しんだ結果、シエナは気を失ってしまった。

 ……やりすぎてしまったか……まあ、少し安静にしておけば意識は戻るだろう。

 というわけで、俺は汚れたマットを綺麗にしたり、彼女と自分の体をもう一度綺麗にしたりした後、シエナの体を支えながら一緒に湯船の中に入る。



「……んっ……エリック……様……?」


 しばらくチャプチャプと気持ちがいい温度のお湯に浸かっていると……シエナの意識が戻ったようで、俺に声をかけてきた。


「気がついたか。俺が負担をかけすぎたようで気絶していたんだよ」

「……あっ……すみません……今までにない感覚が体を襲ってきて……視界が暗転してしまったみたいです……」

「そ、そうか……」


 俺はありきたりな返事しか返せなかった。


 シエナの目が覚めたということで、彼女の体を抱き寄せていた左手を退けようとしたのだが……いきなりガシッと掴まれる。


「シエナ……?」

「こ、このままじゃ……駄目ですか……?」


 またもや上目遣いでそんなことを聞いてくる。

 ……自分の武器をよく分かっているじゃないか……

 俺は無言で再度彼女を抱き寄せる。

 シエナは幸せそうに目を閉じて、俺達は二人きりのお風呂の時間を楽しんだ。

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