第254話 逃げてきたエルフ

【お知らせ】


 新作を投稿しました!


「ダンジョン・ファーム ~家を追い出されたので、ダンジョンに農場をつくって暮らそうと思います~」


 https://kakuyomu.jp/works/16816452219389978278


 今回は過去作のリメイクではなく完全新作となっております!

 スローライフものなので、お好きな方はぜひ!

 そうでない方も、ハーレムや成り上がり好きの方はぜひ!

 どれも好きじゃないという方もぜひ一度ご覧あれ!



…………………………………………………………………………………………………




「何っ!?」


 これから交渉を行うはずだったエルフの森。

 その一部が炎上しているという信じられない光景に、俺たちの足はピタッと止まって動かなくなる。


「あ、あぁ……」


 一方、その森で生まれ育ったヒルダは青ざめた表情で森を見つめていた。

 それを見たレクシーが声をかける。


「落ち着いて、ヒルダ! 何が起きているのか、分からない?」

「レ、レクシー……」

「あたしたちじゃ手持ちの情報がなさすぎて、何が起きているのか見当もつかない――でも、あなたなら、何か心当たりがあるんじゃない?」

「そ、それは……」

「この状況を冷静に分析することができるのはあなただけなの」

「……そうね」


 レクシーの説得により、冷静さを取り戻したヒルダは森へと視線を向ける。

 ちょうどその時だった。


「わああああああっ!」


 森からひとりの男性が飛び出してきた。

 エルフの森から出てきたということは――当然、エルフ族だ。

 その後ろから、武器を手にした別のエルフ三人が追ってくる。

 

「おいおい……随分と血の気の多い連中だな」


 バルディリス隊長が動揺するのも無理はない。

 身体能力が高いワイルドエルフならともかく、普通に森で暮らしているエルフはあまり好戦的でないというのが一般の認識だ。

 それを覆すような展開に驚く俺たちだが、誰よりも驚いていたのはヒルダだった。


「ラリー!!」


 突然ヒルダが叫んだ名前。

 それは紛れもなく、男性エルフたちに追われ、悲鳴をあげながらこちらへ逃げてくる者の名前だ。


「ヒルダ、彼は?」

「私の幼馴染です!」


 俺の質問に答えると同時に、ヒルダは駆けだす。

 あのラリーという幼馴染と助けるためだ。


「くそっ! 何がどうなってやがるんだ!」

「バルディリス隊長、援護に行きましょう!」

「そう迂闊に手は出せん……」


 当然の判断だ。

状況がハッキリしない中で下手な行動をとってしまえば、最悪、取り返しのつかないことになりかねない。分かってはいたけど……何もできないなんて。

――しかし、こっちにはひとり、状況を打開できる者がいた。


「あたしが行くわ」


 そう。

 同じエルフ族であるレクシーだ。


「あたしがあの三人を止めてくる!」

「お、おい! 無茶をするな!」

「大丈夫ですよ、バルディリス隊長」


 ヒルダを追って駆けだしたレクシーを止めようとするバルディリス隊長を俺が止める。

 その理由はすぐに伝わった。


「はあああっ!」


 レクシーが愛用の剣でエルフの戦士たちをなぎ倒す。

 もちろん、全員気絶にとどめてある。


「す、凄いエルフがいたものだ」

「俺も初めはビックリしましたよ。とりあえず、彼らの身柄を確保しましょう」

「そ、そうだな」


 唖然とする騎士団へ声をかけ、武器を持ったエルフ三人を縛りあげて動きを封じた。

 ……しかし、妙だ。

 さっきの彼らは、まるで正気を失っている感じだった。


 一体、森で何が起きたというんだ?


 すべての謎を解く鍵は――


「ケガはない、ラリー」

「あ、あぁ、本当にありがとう、ヒルダ」


 ヒルダの幼馴染というあの青年エルフのラリーだ。

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