書籍第1巻発売直前SP アルヴィンの好み?
いよいよ明日の4月5日にドラゴンノベルス様から第1巻が発売されます!
書籍でしか読めない、ほんわか外伝も収録!
今回はそれを記念した特別編です!
※書籍第1巻と同じ時系列のため、まだフラヴィアは店で一緒に暮らしておらず、ケーニルも不在です。
それではどうぞ!
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それは、アルヴィンがザイケルから緊急のクエストを受け、偶然店に居合わせたネモと共に早朝からダビンクを離れていた日に起きてしまった。
「あら?」
その日は店を臨時休業とし、残ったシェルニとレクシーで店内の清掃を行っていた。その際、床の拭き掃除をしていたシェルニはレジの近くに小さな紙袋を発見する。
「なんだろう……」
紙袋を手にしたシェルニは、中身を確認する。
「? 紙? あっ、何か絵が――きゃっ!?」
中に入っていた五枚の紙を見たシェルニは、小さな悲鳴をあげてその紙を手放す。
「どうしたの、シェルニ。虫でも出た?」
その悲鳴を聞いたレクシーが心配してやってくる。
「あ、ああ、あれ……」
「? どれ?」
声と手を震わせるシェルニは、必死にレクシーへ紙の存在を伝える。ようやくそれに気づいたレクシーは紙を一枚拾い上げて、
「きゃっ!?」
シェルニとまったく同じリアクションを取った。
「な、ななな、なんでこんな物が!?」
床に落ちる四枚の紙を睨みつけるレクシー。
その紙にはすべて――裸の女性のイラストだった。
「まったくもう……誰かの忘れ物かしら」
「で、でも、昨日閉店した時にはありませんでしたよ?」
「……確かに」
見つめ合うレクシーとシェルニ。
ふたりは共に同じ考えを持っていた。
「まさか……」
「アルヴィン様、の?」
ふたりは改めて紙へと視線を移す。
先ほどよりは落ち着いて絵を見ることができたふたりは、描かれている女性たちの外見にある共通点を見出した。
「……胸が大きいわね」
「……ですね」
そんなことを呟くと、
「ごきげんよう!」
店のドアを豪快に開けて、フラヴィアが入ってくる。
「フ、フラヴィアさん!?」
「悪いけど、こっちは今立て込んでいるから相手できないわよ。アルヴィンも朝から出かけていていないし」
「あら、そうでしたの。今日はせっかく時間ができましたのに……」
残念そうに項垂れるフラヴィア。
――その時、
「「…………」」
レクシーとシェルニの視線はフラヴィアの胸に注がれていた。
そのサイズは五枚の紙に描かれた女性たちとほぼ同じ――いや、それ以上だ。
「? なんですの? わたくしの顔に何かついていまして?」
「顔じゃなくて……」
「胸なんだよなぁ……」
「?」
何か、悔しさをにじませた声でふたりはそう語るのだった。
ちなみに、イラストなネモの私物であったことが判明し、アルヴィンへの容疑は無事に晴れたのだった。
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