第24話「なにこれ!?」
オフステージ(こちら空堀高校演劇部)24
「なにこれ!?」
あれから啓介は調子が悪い。
喉になんだかからんでくるし、目がシカシカする。
バルサンが収まるまで部室に閉じ込められていたのだから無理もない。
窓から逃げることも、ドアをけ破って出ることもできたのだが、ダニ・虱が付いているかもしれない制服のまま廊下に出てしまったのだから文句は言えないと思った。
グータラではあるが、啓介にはこういう律儀な一面がある。
「……うん、快適になったわね」
最初は恐る恐るで、読んでいるワンピースもロクに頭に入ってこなかった千歳だったが、30分無事に過ごせたところで、ホッと安堵の息をついた。
「あ、もう大丈夫なの?」
ソファーで横になっていた須磨もパチッと目を開けた。
「先輩、起きてたはったんですか?」
「さすがのあたしも眠れなかったわ」
「啓介先輩も、大丈夫なんですよね?」
千歳がジト目で見る。須磨も半眼にした目で見つめている。
「大丈夫やて! そんな人をダニみたいな目ぇで見んとってーや!」
「んーーーーまあ、いいんだけどね。小山内君て、そういうとこあるんだよね。なんだか、いつもノーパソに向かってるじゃない」
「え、ええやないですか、好きなことやってて。うちは、そういうユルーイ部活なんやから」
「そりゃあ、そうですけどね。気になるじゃないですか。あたしはワンピース読んでて、須磨先輩はソファーでお休み。すごく分かりやすいでしょ。ノーパソってのは画面がこっち向いてないと、何やってるから分かりませんからね」
「大したことはやってへんよ。ニコ動とかユーチューブとか、たまにブログ読んだり、ネットサーフィンやねんさかい」
グヮラッ!! 音を立ててドアが開いた!
「な、なんや、キミらは!?」
部室の入り口には、この部室棟に入っているクラブの部長やらマネージャやらが、モゾモゾしながら立っている。
「演劇部だけでバルサン焚いたやろ!?」
「「「え……!?」」」
「ちょっと、あたしらの部室見に来てくれる!?」
「え、あ、それは……」
「ちょっと、顔かし!!」
「うお、ちょ、ちょっと!」
啓介は、部長たちに拉致られてしまった!
「……大丈夫かなあ……啓介せんぱい」
顔を見交わすと、2人の視界の端にノーパソの画面が入ってきた。
「……ん?」
「「……なにこれ!?」」
啓介が切り忘れたノーパソの画面を見て、千歳と須磨はブッタマゲてしまった!
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