往年の名作から比較的最近のものまで、筆者が選りすぐりの映画を紹介してくれるエッセイです。アメリカ映画、ヨーロッパ映画、アジア映画とその範囲も多岐に渡っています。
あらすじに加えて、その映画の特筆すべきこと、見どころをポイントを押さえて解説してあるので非常に分かりやすいです。そしてぎりぎりのところでネタバレされないところも好奇心をくすぐられ、読者に「観てみたい」と思わせます。
名画としてずっと残る作品にはそれだけの価値、魅力があるのだと改めて気づかされます。
流行りで消費されてしまう映画ではなく、考えさせるもの、価値観を揺るがすようなもの、人生の指針になるもの、そんな心に残る映画を探している方には、この名作選はとても参考になると思います。
以前、東京に住んでいた頃、銀座・日本橋・六本木・恵比寿・池袋・渋谷・有楽町・日比谷・新宿・飯田橋・吉祥寺・下高井戸…数々の映画館を訪れていた私。時を経て、見たことは覚えているけれど、少し記憶の彼方に遠ざかりつつあった映画の数々が、このエッセイを読むことで、また鮮やかに脳裏に蘇る。あの場面はそうだったとか、ああ、こんなエピソードもあったと、再度、エッセイの中で好きだった映画に出会えることが出来、映画好きにはたまらない。
取り上げられている作品が、秀逸な名画が多く、かなり自分の好みと近いことも嬉しい点である。また、一つ一つの作品に丁寧に向き合っておられる作者様の真摯な姿勢も素晴らしい。映画を見ることはやはり特別な意味を持つ人生体験だと思う。
まだ見ていない映画はもちろんのこと、一度見た映画もまた見たくなってしまうこと、間違いなし!映画の魅力を存分に伝えてくれる素敵なエッセイをどうぞお見逃しなく!