第94話 シシリアン

1969年のフランス映画です。


小難しい作品ばかりでなく、たまには昔の娯楽大作はいかがでしょうか。


主演はよく知られたジャン・ギャバンとアラン・ドロン。そしてリノ・バンチュラという渋い役者が刑事役で絡む。


話は、アラン・ドロンがジャン・ギャバンの一家や昔の仲間と手を組んで、ローマで開催されていた大宝石展に出品されていた、超豪華な品々を、それを次の開催地ニューヨークに運ぶ飛行機ごと乗っ取ってしまおうというもの。なにせスケールがでかい。


じゃあ作りも大味かというと、そこはフランス映画、細部まで見事に良くできた、なんともいい作品なのだ。


アラン・ドロンが単なる悪党というだけでなく、自分を警察から救い出してくれた恩人であるギャバンの息子の嫁と不倫する色男ぶりを発揮したり、かと思えばリノ・バンチュラは禁煙中で、決して火をつけない葉巻を加えてこの大事件に挑み、なんとも深い味わいを醸し出す。


そしてどっこい紆余曲折があり、飛行機は建設中の高速道路に不時着、果たして悪党どもの計画は成功するのか、それともリノ・バンチュラ率いる警察が勝利するのか、全体を通して見所は尽きない。


ラストのギャバンとリノ・バンチュラのやりとりはなんとも言えない。

この大作を締めくくるにふさわしい、何とも表現しがたいやりとりなのである。


付け加えればエンニオ・モリコーネの音楽がまたいい。

マカロニウエスタンとも、あの「ニューシネマパラダイス」とももちろん違う、独特の味のある曲なのである。


果たしてこの旧作、どこかで見られるのだろうか。

面白いんだけどなあ。

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