第60話 ダンサー・イン・ザ・ダーク

2000年のデンマーク映画です。


まず映画が始まった時、私は即座になぜ、こんな素人がホームビデオを撮ったような、手持ちのカメラワークなのか、少々違和感を覚えた。


しかし、その答えはまもなく明らかになる。

主人公が歌ったり、踊ったりする場面では,逆にそのために、プロフェッショナルなカメラワークが一層引き立つことになるのだ。


この映画のテーマのひとつは、歌い、踊ることの楽しさ,素晴らしさだと思う。

それがあるおかげで、救い難い悲劇のために、物語が陰鬱になることから救われている。

主人公は、心にいつも歌と踊りを宿しており、その大切さが観客にひしひしとつたわってくるのだ。


こんな素晴らしい映画のネタをあまりバラしてしまいたくないので、今回の紹介はあと一点だけで簡単に終わらせようと思う。


主人公は、自分が失明しようとも、子供がその遺伝で失明することを避けるため、手術代を苦しい生活費からコツコツと貯めている。

たとえ自分の命を断とうとも、子供の目が見えることを優先する。

この、親の愛が観客に深い感動をもたらす。


これ以上のことは書かないので、ご覧になっていない方は、ぜひご覧になっていただきたい、と言いたいけれど、かなり重たい、トラウマになるようなものなので、ご覧になる方は充分気をつけてくださいね。


なかなかない、素晴らしい映画なのは事実だと思います。


カンヌ国際映画祭パルムドール、及び主演女優賞受賞。

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