EX級、ランスロット
更に半年後
アリシアは17歳になっていた。
身長も伸び180cmくらいになり、少女の顔つきはだいぶ大人びた雰囲気に変わっていた。
この1年でアリシアはかなり強くなれた。
枷をつけたままでもA級の魔物の群れを殲滅、魔術は大分、効率的になった。
それでも、相変わらずリバインには勝てないんだが……。
アリシアはいつも通り訓練に励み、実戦を想定してソロで魔物を狩りに行く。
ちなみに今、戦っているのはこんな敵だ。
グランド・ドラゴン
地竜 A
筋力 8000
神力 4000
忍耐力 2500
因果力 5000
セットオブジェクト 無し
再生10 超再生10 瞬間再生10 神力生成10 鉱物操作術10 雷鳴魔術10 硬化10 即死耐性10 回復魔術6
詳細
過去に国を滅ぼしたほど凶暴な地竜。
高い再生能力とどんな攻撃も即死しない力を併せ持ち、首を跳ねてもすぐさま生え変わる。
討伐難易度はA場合によってSに匹敵するほどの力を有する。
この竜を討伐した者達はかつて、英雄と呼ばれた事すらある。
翼が退化、脚が太く大地を歩く陸亀のような太っており、背が低く、胴体を持ち硬い攻殻に覆われた竜。
アリシアは彼らの棲まう洞窟に潜り、ひたすら”来の蒼陽”を振る。
地竜は極めて再生能力が高く”再生”と言う神術の”時空魔術”の派生を役割を分担して、術を安定性を高めた”再生”シリーズの神術で構成され、更に再生速度が”再生”以上、神力の燃費が悪い”超再生”や脚を切断されるほどの大怪我を負っても莫大な神力を消費して一瞬で再生する”瞬間再生”などを傷の大きさなどで使い分け、欠損部位はすぐに生え変わり、詳細通り、首を跳ねても”即死耐性”と言う”概念魔術”により、”即死”と”認識”される概念は耐性によりほぼ無効化されるので即死せず、その場で首がすぐに生え変わる。
おまけに”回復魔術”も使えるのでその気になれば、臨機応変に様々なその系統の術も使え、”自動回復”すら使える様だ。
加えて、大地に干渉する”鉱物操作術”や口から”雷鳴魔術”を発射する。
しかも、知能も高く。
“鉱物操作術”で周囲に金属ワイヤーを張り巡らせ、”雷鳴魔術”と併せて電気罠を仕掛けるほどの知能を有しているシルバーウルフのような獣とは違い、頭脳戦も求められる。
本来の倒し方としても相手の神力を根こそぎ奪い、”再生”を止めてしまう手だ。
それには強力な”魔術”を放つ必要がある。
アリシアはその手の技を放てるので地竜相手に苦戦した事はない。
ただ、今は自分を鍛える為に縛りを設けているので、簡単には行使出来ず、行使する気もない。
何故なら、これは鍛錬であり、楽に戦う事が目的ではないからだ。
アリシアは”来の蒼陽”だけでこの敵を倒し回っている。
鍛え上げた脚力を以て、動きが遅い地竜を翻弄しながら、まずは頭を正中線に両断する。
意味が無いように思えるがそうではない。
即死を無効に出来るのは”即死”と”認識”される瞬間だけだ。
つまり、次の首が生え変わる前にもう一度、致命傷を与えれば相手は死ぬ。
その場合、狙うは胴体の心臓だ。
だが、地竜は非常に固く。
加工には適さないような攻殻を持つ代わりにその硬さはオリハルコンスネークよりも硬い。
アリシアの”来の蒼陽”現在、モース硬度100前後なので斬るのがやっとだが、それも昔の話だ。
リバインと戦う度にアリシアは昔の自分の戦い方を徐々に思い出していた。
その中でも硬い表皮などを切る為に神力で刀を補強する術などを思い出していた。
”剣化”と言う技術だ。
しなやかで強靭な刃をイメージして認識すると世界の事象として現れ、”来の蒼陽”がアリシアの思い描いた強靭さに変わる。
アリシアは地竜の頭を両断と同時に続け様に剣技を放つ。
「雲鷹五連!」
アリシアは一太刀の間に五太刀の刀を振るい攻殻の同じ箇所を何度も斬りつけ、駆け抜けながら亀の正中線から胴体を真っ直ぐ切断した。
死体を”空間収納”に格納してそのまま洞窟の奥に進む。
グランド・ドラゴンを倒してもう10匹だ。
奥に進めば進むほど強力な個体となっている。
アリシアの目当てはこの最深部にいるかも知れないとされるSランクのドラゴンだ。
どんな竜か調べたが、殆ど文献に残っていない幻の竜……ここにいるのかも定かではなく殆ど推測で来た。
最後に現れたのは1000年前とされ、世界を滅亡寸前まで追いやった存在。
人類はその竜を撃退出来ず……寧ろ、竜が気紛れにこの森の中に帰って行ったとされている。
以来、アリシアがいるこの森は”災いの森“と呼ばれているそうだ。
(わたしはもっと強くなる)
その為にもその竜を絶対に倒すと固く誓った。
アリシアは記憶を思い出す度に自分の中から湧き出るような生存への渇望が沸き立つ。
絶対に負けたくない、絶対に屈しない、絶対に引かない。
そのような思いが沸々と湧き上がり、それを糧に今まで辛い訓練にも耐え、様々な激戦や死闘の中でも生き抜いて来た。
何故、そこまでするのは自分でも分からない。
ただ、自分は絶対に元居たところに帰らねばならない。
例え、恐ろしい敵が待ち構えていても怖い人間が襲って来ても世界の全てが自分の敵として立ちはだかっても絶対に帰る。
その想いがアリシアを駆り立てるのだ。
まるで世界が自分1人を殺す為に襲ってくるのをどこかで予見するようにアリシアの中の焦燥感が疼くのだ。
世界には自分を助けてくれる人はいない。
リバインは人間ではないから例外だが、人間は自分を殺そうとする。
全てが敵から全てを敵に回せる力を手に入れる。
その為には
そして、アリシアは洞窟の最深部に到着する。
「よく来たな。強き人間よ」
そこには純白な巨大なドラゴンがいた。
全長500mはあろうかと言う巨体がアリシアを睨みつける。
その圧倒的な存在感に押し潰されそうだが、アリシアは烱々に睨み返し、腰を低くして”来の蒼陽”を構えた。
間違いなく、目の前の巨竜の存在感はS級だ。
今までの敵と桁が違う。
ランスロット
神獣 神竜 EX
筋力 20000000
神力 18400000
忍耐力 18000000
因果力 18000000
セットオブジェクト 不明
不明……
詳細
不明……
(ん?EX?規格外?この竜、S級じゃない?)
「ほう、わたしを前にしても引かぬか。それ相応の覚悟でここに来たと見える」
「あなたもただの竜ではないんですね。まさか、言葉を介すなんて……」
「これでも長く生きているからな。それで何をしにここに来た?」
「あなたを超える」
舐めて、かかる気はない。
S級よりも強い個体……しかも、自分よりも圧倒的なまでの格上で敵の情報すら分からず自分が不利なのは否めない。
(それでもいつか超えねばならないならわたしは超える!どんな困難があっても絶対に!)
「矮小な人間にそれが出来るか?試して見ると良い!」
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