記憶を失った少女

「アレ?ココは?」




 少女は気づいたら森の中にいた深緑と静謐が混ざり合い、零れ日が優しい光を放ち、少女の目にはよく合う。

 少女は辺りを見渡した。

 四方を見渡したがただ、森ばかりだ。

 木は大木と呼べるほど大きく最低でも100mは下らない。

 深い広葉樹の葉が日を遮り、溢れ日が微かに入り込むほどで基本的に薄暗い。

 気配らしい気配は……いくつかある。

 人の気配と言うよりは動物の気配だろうか?

 何か違和感を覚える聞きなれない足音と気配がする。




(だが、どこだろうと関係ない。わたしは早く戻らないと……アレ?)




 少女は首を傾げた。




(戻る?そもそもどこに戻ればいいの?そもそも、わたしはどこから来てなんでここにいるんだろう?)




 分からないと言うより思い出せない。

 自分がどこで生まれ何をしていたのか全く思い出せない。

 これはかなり致命的だ。

 自分が何者か分からないと言うのは情報戦に置いて、最大のアドバンテージを損なっているに等しい死活問題だ。

 まずは情報だ。

 自分が持つ情報を整理しないとならない。

 少女は思い出せる事柄を頭の中で復唱してみる。



 名前はアリシア 16歳(多分)

 職業:軍人(多分)

 好きなモノ:ハンバーグ(特にジャンボ君DX)、レモンスカッシュ(伊藤芸のレモンスカッシュが至高!)

 髪型:ポニーテール

 最後の記憶:何か巨大な敵と戦った。敵は滅んだ。その後、誰かと何かを話が細かい事は覚えていない。


 これだけしか手掛かりがない。

 これではとてもではないが、帰るに帰りようがない。

 せめて、住んでしたところの地名とかを思い出せればよかったのだが、その辺の記憶は飛んでいる。




「困ったな……」




 本当に困った。

 ただ、なんとなくこう言う危機に陥った時の割り切り方を自分は知っているらしい。




「まずは生き残る事を考えないと」




 アリシアは自分が持っているモノを確認するために自分の魂の空間収納と”神時空術”で作った”空間収納”の中身を徐に確認した。

 後者の中には何もなかったが心の方は2つだけ使えそうなものがあった。

 刀と鎧だ。




 来の蒼陽


 攻撃力 1800 


 神力保有 3000


 保有スキル


 攻撃力 大 神力 大 神斬鉄 大 心意斬撃? 偽神特攻 大……使用制約




 戦神の蒼輝具


 防御力 1200 


 神力保有 3000


 保有スキル


 防御力 極大 対神耐性 極大 下位攻撃無効 大 神力増幅 大 神刻術強化 極大 武器補正 大 ステータス補正 大 戦神解放 ?




 この2つには何やら思い入れがある気がした。

 覚えてはいないが、装備してみると体が覚えている感覚だ。

 しかし、いくつか違和感があった。

 まず、武器の量子情報ステータスこんな表示だっただろうか?


 アリシアが覚えている限りもっと裂織りした表示だったはずだ。

 神力保有など数値化されておらず、裂織りランクA、B、Cみたいなランク表示だった気がする。


 記憶の失っただけで実は最初からそうだった可能性もなくはないが、そもそもこの数値が高い部類なのかよく分からない。

 1800だの3000だの高そうに見えるが、もしかするとこれらが下級武器で上級武器は10000越えとかの可能性は0ではない。


 何はともあれ、武器と防具があるのはありがたい。

“来の蒼陽”はアリシアの左手に装備され、”戦神の蒼輝具”は全身タイツのような蒼いアンダーウェアの上から装備される。

 そう言えば、”来の蒼陽”も”戦神の蒼輝具”も蒼い色を基調としたモノばかり……落ち着く色合いだった。

 きっと記憶を失う前のフェバリットカラーだったと思われる。

 記憶はないが、身が締まるような感覚がある。


 あと、気になったのは武器の数だ。

 アリシアの感覚だが、もっと沢山あった気がする。

“来の蒼陽”に関しても本来の力を発揮出来ていない気がする。

 リミッターが掛けられている。

 現に表示には”使用制約”と書かれている有様だ。

 何らかの理由で力が抑えられている。


“戦神の蒼輝具”に関してはリミッターはないようだが、もっと高性能な鎧を持っていた気がする。

 それがないのはどうも違和感がある。

 この鎧、感覚だけならデフォルト装備感が否めない。

 確かに自分が着ていた物に間違いはないだろうが、今の鎧はこれではない感があるのだ。


 では、本来持っていた装備は一体どこにいったのか?

 まるで分からない。

 しかも、”神時空術”で作った“空間収納”の中に何もない等と言う事はなかったはずだ。

 少なくともこの中には何かがあったはずだが、それが何なのか思い出せない。


 アリシアにとって重要な必需品レベルの何かがあった気がするが思い出せない。

 思い出せないなら仕方ないが、やはり記憶の欠落は大きいようだ。

 必需品を忘れるなど相当だろう。

 記憶の片隅にある大きな戦いが、影響しているのだろうか?


 しかも、今更気づいたのだが、「そもそも、”神時空術”とはなんだっけ?」と思った。

 当たり前のように使っていたが、人間に魔術の様な力を使う力量等、あっただろうか?

 アリシアの感覚的では、そこ辺りの認識に食い違いがあった。




(人間は魔術の類は使えない。それが常識のようにこびり付いている。なのに、わたしは使える。なんでだっけ?)




 そう言えば、鎧に”神刻術 極大”なる表示があった……と言う事は自分はその術が使えるのではないだろうか?何か確認する術は……そう思った時、自分の量子情報ステータスが不意に頭に浮かぶ。




 仮名登録 アリシア


 制限 全知全能なる〇〇 全知全能の◯◯◯


 制限役職 祭祀戦王


 筋力 480000


 神力 530000


 忍耐力 580000


 因果力 340000




 セットオブジェクト 汎用戦術コンバット1




 神力吸収10 権威強奪10 神火炎術10 神火炎術 頂10 神火炎術 極 10 神刻術10 神刻術 頂10 神刻術 極10 剣術10 聖剣術10 神剣術10 射撃術10 聖射撃術8 狂化10 狂神化10 高速移動術10 高速移動術 頂10 高速移動術 極10 浄化10 過越10 神言術10(使用制約 世界間互換調整中につき使用不可)……。




 エクストラ・スキル


 全知全能の男神の加護 全知全能なる〇〇の威光 全知全能の知神の加護 偽神滅殺 偽神強奪 偽神変換 契約の箱の呪い 〇〇眼・天授 超神化 浄化竜の加護

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