眠る子供.2
「いいのよ。初めて見たときは本物だと思ったわ。でも字が読めるようになってから調べてみたの。そんな鳥がいるのかどうか。いるならどこにいるんだろう、って。それを知ればあなたのことも少し知れる気がしたから。でもそんな鳥いなかったもの。だからきっと造ったものなんだろうなって思ったけど、嬉しかった気持ちも、綺麗だと思う気持ちも変わらなかった……ほら」
そう言うとラズは服を畳んで入れている箱の底から、小さな袋を取り出し、そこから12年前にティファンに贈られた銀の羽を出して見せた。
「まだ持っていたのか。いや、嬉しいよ。でも、ちょっと驚いた」
「そういうあなただって、未だにあの時に私があげた物を身につけてるじゃない。気づかないと思った?職人はね、自分の造ったものは、すぐにわかるものなのよ」
「なんだ、気づかれてしまったか。そうだよ。ずっと大事に使ってる。物もいいから不思議と傷まないしね。それに、これはとっておきだから……」
「あなたの身軽な持ち物の中のとっておきに入れて置いてもらえたなんて光栄だわ」
「ただいま。あれ、2人とも仲直りしたの?」
「スフィヤ、誕生日だから多めに見てるけど、もう寝る時間よ?それに私たちは喧嘩なんてしてません」
「でも昼にここに来たときは怒鳴り合ってたじゃないか」
「あれは話し合いをしてただけよ。12年ぶりに会って、言ってやりたいこともあったしね」
「やっぱり喧嘩してたんじゃん……」
「スフィヤ!いいからもう寝なさい!」
「その前にいいかな。僕からスフィヤに今日招待してくれたお礼を伝えたい」
「ああ、そうだったわね。それくらい止めないわよ、どうぞ」
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