知っていた者.7
「ラズ、あんた字が読めるね。そして今回のこと、真実を知った。それを誰か討伐者に告げてしまったのではないかい?その結果……体がそんなことになったんじゃ……」
「それは違うわ!お婆ちゃん」
ラズは思わず叫んだ。
「これは……確かに、人喰いを討伐に来たある男性との間の子……でも、お婆ちゃんの想像したような話じゃないの。私、字も読むことができないし、お婆ちゃんみたいに自分の力で真実を得たのではないのよ」
「じゃあ、一体何がどうなって……?」
ここまで自分のことを案じている祖母に嘘をつくことはできないと、ラズはすべてを話した。偶然会った旅人のこと。その人が武器も無しに人喰い討伐に向かう話を聞き、止めようと夜中に家を出て神殿へ向かったこと。そしてそこで、旅人に殺される村人を見たこと。旅人から聞いた人喰いの真相。嘘をついて金を得ようとした村人を許せないという彼に、代償に純潔を寄越すよう言われ、それに従ったこと。でもそれは決して使命感から犠牲になったわけじゃなく、夜中に家を抜け出してまで彼を追った自分の心に正直になった結果であったこと……ラズは話していくうちに、自分で思っていたよりも遥かに強くティファンを想っていたことを知り、心が痛くなった。
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