知っていた者.2

 そんなラズの思惑とは別に、近頃のラズは疲れを覚えることが多々起きるようになった。まだ18という年齢で、そんな筈はないだろうと思ってはみたけれど、機織の最中でも、気を抜けば居眠りをしてしまいそうになる。食事の支度でも、かまどを見ながらウトウトしている所を母に見咎められ、台所からつまみ出されてしまった。


 そんなことが続いたら、家族が最初に思ったことは、やはり連日の機織と刺繍がさすがに体に応えているのではないか、ひどい時は月明かりの下で刺繍を施す彼女の姿を見ていた家族は、そういった類の心配をした。1番にラズの体を気遣ったのは、意外にも父であった。もっとも理由は娘を心配するというだけではなく、もはや家の稼ぎ頭と呼べるほどになっていたラズの布織を、体を壊したなんて理由で手放すことになっては困るという不純な気持ちが大きかったのも事実ではあるが。


 そんなわけでラズは数日休むことを命じられていた。休めと言われても、やることがない方が逆に体に悪いような気もしたが、与えられてみるといくらでも体は寝台の上で眠ることができるし、もしかしたら働きすぎだという周囲の言葉も、あながち嘘ではなかったのかもしれないとラズは驚いていた。

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