第49話 お宅訪問をされた。⑤
お楽しみください(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
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『本当にするの…?』
俺が尋ねると彩は無言で頷いた。これはどうあがいても逃げ道はないらしい。
キスを拒否すれば本当に夫婦なのか疑われてしまう。かといってキスをするのも少し憚られる。
あ、そうだ。ドラマのキスシーンみたいな感じの気持ちの持ちようでいけば大丈夫じゃないか?
ドラマのキスシーンなら仕方ないよね?そうだよね?
もう俺はやるしかない。
俺は彩の肩を持って、顔を近づけた。改めて彩の顔を見ると、肌はきめ細かく、一つ一つのパーツは完璧と言っても良い。
俺は今からこんな素敵な女性とキスするんだ…。
彩は目を閉じてキスを待っている。
俺は意を決して唇を重ねた。顔から火が出そうな思いだったが、不思議と幸せな気持ちが自分を支配した。
周りに見られているのですぐに唇を離したが、この口付けの時間はとても長いように感じられた。
『なんか、しーんとしないで欲しい、逆に恥ずかしい…。』
『まあ、その、良かったぞ、康太!』
『お、おう。』
『ちょっと私と彩は少し用事を思い出したからリビングで4人でお話ししててくれる?』
『ええ、構いませんが…。』
『それじゃあしばらくよろしくね?』
白鳥さんは彩を連れて別の部屋に行った。多分なんでキスしたのか心境を尋ねるんだろう。あくまで廣瀬が彼氏なわけだしな。
『康太、お前ってやつは羨ましすぎて死んで欲しいぞ!』
『長い付き合いなのによくそんなこと言うな!』
『多分日本国民全員がこのシーンを見たら思うぞ。』
『まあ、それは否定出来ないな…。』
『児島君、その変なお題を出してごめんなさい…。流石にやりすぎたわよね…。』
『いえ、そんな事ないですよ?気にしないでください。』
『ちょっと私お手洗いに行ってくるわ…。お手洗いってどちらにあるかしら?』
『トイレはあっちですね。』
『わかったわ、児島君ありがとう。』
早乙女さんもリビングから出て行った。結局3人になった。
『その、児島さんって本当に結婚してるんですね…。』
『ん? まあそうだな…。』
『いや、少し悪いと思ってはいたんですけど、心のどこかで美川彩と結婚するなんてありえないと思ってました。』
『それはそうだろう。俺もまだ信じられないしな。』
『俺も信じたくないぞ、康太爆ぜろ!』
『なんで健はそこまで俺を殺そうとするんだ…。』
『まあ、ただの冗談だよ。こんなところ見せられたら応援するしかないだろ。』
『私も応援してますね。』
『ああ、ありがとう2人とも。』
そして暫くして白鳥さんと彩が帰ってきた。彩もすっかり酔いが覚めたようだった。
酔いが覚めるのは良いんだけど、この出来事を冷静に思い出さないで欲しい…。
彩は俺の顔を見るなり顔を赤く染めて目をそらした。
多分俺の予想通りの話をしたんだろう。
まあ後で聞くか。でもそれにしても早乙女さんお手洗い長いな…。迷ってなかったら良いけど。
そんなこんなで早乙女さんもリビングへ帰ってきて6人で楽しく談笑していた。ただ早乙女さんの表情が一度も笑わなかったのは気のせいなんだろうか。
夕方になり俺達は同僚3人を見送った。白鳥さんはマネージャーが迎えにきた。
そうして俺達は2人きりになった。どちらも無言だ…。
『『あのっ…』』
『あ、良いよ彩から話して。』
『康太君から話してよ…。』
『わかった。あの王様ゲームのことだけど…その…ごめんな。嫌なのはわかってたんだけど場の雰囲気的にしなきゃいけななったから。
これからは2度とあんなことしないから信じてくれ。後早乙女さんも謝ってたから許してやって欲しい。』
『私も言いたいことがあります。キスは…その…嫌ではないです…。なので気にしないでください…。』
『えっ?今何て言った?』
『何も言ってません…。それじゃあ私は一回部屋に戻ります…!』
そう言って彩は自分の部屋へと消えて行った。
俺の聞き間違いではなければ彩はキスは嫌じゃないと言ってた。でもそんなはずがない、廣瀬がいるわけだし。
それに何故か敬語に戻っているのもなんか距離を感じた。
まあこれは夜には戻っていたから良いんだけどね。
この出来事は俺達の関係性も少し変えてしまったが、実は俺達以外の関係性を変える転換点になったことはまだ2人は知らなかった。
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