第26話 彩の親友に会った。


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 俺と斉藤さんは色んな所を走りながら彩の行方を探していた。


『斉藤さんはあっちを見てきてください、僕はこっちを探すので。』


『はい、わかりました。もう、彩ったら…。』


 トイレや楽屋、それに食堂など色んな所を探した。ただでさえテレビ局は広いのに、初めてくる場所だ。目星がつくわけがない。


 電話やメールもしてみたが一向に出る気配もない。


 ほとんど探し終えた俺達は屋上に来ていた。


 屋上はただ広い空間にベンチや自販機、それに喫煙所などがあった。


 そのベンチに座っていた。彩が。1人で。それに泣いていた。


 俺達は急いで駆け寄った。


 そして俺は隣に座り、話しかけた。


『大丈夫か、彩? 流石に辛いよなあんな状況。いくらでも泣いていいからな。』


『ご、ごめんね、康太くん。私、流石に我慢できなかった…。雄大さんが婚約者を連れてくるなんて…。』


『当たり前だ、自分の恋人の横に婚約者がいるなんて我慢出来るわけないよ。』


『うん。私どうすればいいのかな…。』


 俺はその質問には咄嗟には答えられなかった。どう答えても彩は傷ついてしまうから。


 無責任な発言をすることも出来るが、出来ればそうしたくない。


 俺は暫く悩んでいた。ただ彩の肩をさするだけだった。


 するとヒールで歩いている甲高い音が聞こえてきた。


 ベンチ自体は割と屋上への入り口から近い位置にあったため、すぐに気が付いた。


『彩、話は聞かせてもらったわ。やっぱりあんたは結婚なんてしてなかったのね。』


 その声の主は、共演者の白鳥美玲だった。この人は確か彩と同い年だった。若い人に絶大な人気を誇る女優だ。


『あ、美玲…。話ってどこまで聞いてたの…?』


『婚約者のくだりは聞かせてもらったわ。』


『そっか…。まあどっちにしろ美玲にはバレるかなと思ってた。よく彼氏の相談してたのに相手が急に一般人なわけないもんね。』


『そうよ、本当。少しくらい私を頼ってくれても良かったのよ。そうすれば少しは楽になるでしょ?』


『ありがとう、やっぱり美玲は芸能界一の親友だよ。』


『当たり前。逆に隠されてショックだったわ。』


『ごめんね。じゃあ紹介するね。こちらが児島康太君。偽装結婚に付き合ってもらってるの。』


『初めてまして、私の名前は白鳥美玲。まあ知ってるよね。彩の親友って感じかな。』


『はあ、初めまして。』


 白鳥美玲は若者に人気があるわけだけど、キャラ立ちがすごいな。サバサバ系女子って所か。顔はめちゃくちゃ美人だけど。


 俺は少し圧倒されてしまった。


 すると彼女は俺の顔をマジマジと見始めた。


 めちゃくちゃ良い匂いがするし、毛穴も全然ない。芸能人ってすごい…とか思ってしまった。


 すると彼女おもむろにこう発した。


『ふーん、わかった。あんた良い人そうだから仲良くしよ。とりあえず連絡先交換しよっか。』


『え、良いんですか…そんな簡単に芸能人が交換しても?』


『私これでも見る目あるから。あんたは誠実な人だと分かった。それで十分。彩も交換して良いと思ってるよね?』


『うん、良いよ。美玲なら力になってくれると思うし。』


『そーゆーことだから。はいRINEだして。』


 彼女は俺のケータイを取り上げてものの10秒ほどで登録させられた。芸能人のアカウント2つ持つって流出させてしまったら怖いな…。


『はい、これが私のアカウントね。必ず返信すること、オッケー?』


『はい、了解です。』


『それと、彩。私が一緒に付き添ってスタジオまで行くから機嫌直して?可愛い顔が台無しだからね?』


『うん、ありがとう。頑張る。』


 そうして俺達はスタジオへと戻っていった。正直白鳥さんのおかげだ。


 スタジオには既に例の2人はおらず、この後は滞りなく進んだ。


 そして終わった後にケータイを見ると白鳥さんからRINEがきていた。

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