指先の呟き

基維ひなた

第1話 ドールハウス

骨董屋で、壁の作り付け棚に変わったものを見つけた。

廃墟だ。

廃墟のドールハウス。

古びた研究施設のような趣の。

薄汚れた壁をツタが覆い、窓ガラスは割れている。

中を覗くと、女の子と目が合った。

反対側から覗きこんでいたのか。

一瞬ドキリとしたが、女の子がにっこり笑うので、私も笑った。

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