第270話(最終話)私達はあなたを祝福します。
私は東さんとジョマとサードの天界…まあ神だけが入れる不可侵の控室みたいな所にいる。
「千歳様、準備はいい?」
「うぅ…緊張してきた」
「大丈夫、千歳ならうまくいくよ」
「そうかな?」
「ええ、大丈夫。でも失敗はしないでね」
「ぐっ…」
「大丈夫だよ。僕とジョマでフォローするから」
「そうよ、アドリブで何とかしてあげるから。
変に気取って演技なんてしないでくれれば大丈夫だから」
「でもいつもの話し方だと威厳がないもん」
「それくらいはね。頑張ってね千歳様」
「さあ、行こう。ジィマ、チィト」
東さんはもう創造神イィトとして振る舞っている。
3人でログインを控えたプレイヤー達の元に降り立つ。
初回ログイン時のみ神からの言葉と言うイベントが入る。
ちなみに一段上からプレイヤーを見下ろすのは神としては仕方ないが私個人はあまり好きになれない。
「よく来たね。ここはサードガーデン」
「この世界では何をするのもあなたの自由」
「冒険者として魔物が棲みつくダンジョンを目指すのも、伝説を追うのも、そして一つの村を永住の地として家族を持つのも全てあなた次第」
「僕は創造神イィト、彼女は装飾神ジィマ、そして調停神チィト。僕達は君の来訪を歓迎する」
「あなたの存在がこの世界の刺激となって世界は光り輝く」
「私達はあなたを祝福します」
私達の前に何人ものプレイヤーがいる。
プレイヤーには周りのプレイヤーが見えていないから私達と対面で言葉を言われていると思っている。
みんなランダムで世界中に散って行く。
全員居なくなったことを確認してから私達は控え室に帰る。
「ひとまず終わりだね。後は今の映像を新規ユーザーに流そう」
「お見事でしたよ千歳様」
「これ、前撮りの録画でも良かったよね?」
「千歳、手抜きはダメだよ」
「そうですよ。本当なら全プレイヤーに声をかけたいのを我慢しているんですから」
「うぅ…、はい」
お父さんが火と油の関係と言った気持ちがよくわかる。
東さんは堂々としていて、ジョマは優しげで、それだけで私は見ていて嬉しくなる。
「千歳、今日はどうするんだい?」
「このまま家に帰って寝るよ。明日はツネノリと約束しているからゼロガーデンに行くよ」
「またあの修行?本当に東の世界の人達はよくやるわよね。それについに本気の神如き力で作ったあの塊を破壊できそうになったのよね」
「うん、後少しだから見に来てくれって頼まれているんだよ」
「東の世界は本当素晴らしいまでの可能性を秘めているわね」
「ありがとうジョマ」
「流石私の東ね」
おっと、これは長くなる奴だ。
「じゃあ私帰るね。おやすみ」
「はい。おやすみなさい千歳様」
「おやすみ千歳」
私は家に帰って布団に入る。
部屋の外からお母さんが「お帰りなさい。お疲れ様」と声をかけてくれた。
お父さんも声をかけたそうだったが遠慮してくれているのがわかる。
とりあえず寝よう。
目を瞑る。
一年前には考え付かなかった世界。
お父さんを軽蔑していたあの日々が嘘のようだ。
私はここで終わりじゃない。
サードガーデンを成功させて更にその先を目指そう。
セカンド ガーデン 完。
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