第249話 神如き力でアーティファクトを作らせて。

「それで他の話って何?」

東さんがジョマをパートナーにする事をとぼけて話を変えてきた。


「カメラが欲しいの」

「ツネツギに持たせた端末かい?」


「それじゃあダメ」

「え?」


「私は神如き力を放棄しないよ。

だから神如き力でアーティファクトを作らせて。

半神半人には無理?」


「いや…恐らく作れる」

「そうね。ルル様の人工アーティファクトを応用して私の使いはアーティファクトを創造していた。

それ以上の力がある千歳様ならアーティファクトは作れるわ」


「じゃあ教えて」

「東、あなたが教えてあげなさい。

私のは完成品を真似て改造しているだけなのだから」


「ああ、千歳。

完成形をイメージして。

そして中の仕組みを意識して。機械とかそう言うものはいらない。

カメラならシャッターを切ると写すと言う仕組みを意識するんだ。

そして使うと何が起きるかを意識して。

そして必ず注意点と問題点を意識するんだ。

僕のアーティファクトには必ず問題点がある」


「千歳様、どう?」

「うん、最初から効果とか問題点は決めていたから行けそう」


「手を前に出して。掌に完成品がある事をイメージするんだ。

いいよ、出来てきた」


私の掌が熱い。

確かに今生まれているんだ。


「完成よ千歳様!」

ジョマの声でハッとなる。

私の手に余計なボタンのないカメラがあった。


「出来た、私の作ったアーティファクト」


「ジョマ、東さん。後でまだ皆に話があるよね?

とりあえずそれまでコレを使って撮り試してみるね」


「ああ、だが待ってくれ。それの名前と級を決めないと」

「級はA級で考えていたよ。名前はね…「真実の記録」かな?」


「いいわね。流石千歳様」

「それで問題点は?」


「問題点、ちょっと見ててね。リークさん」

私はそう言って「真実の記録」を持ってリークさんの所に行ってカリンさんとマリカさん達と並ぶ。


「その穴から私達が見えるかな?」

「うん、見えるよ」


「なになに?」

「どうしたの?」


「へへ、東さんにお許しを貰ってアーティファクトを作ったんだ。動かないでね」


「今作ったの?凄い!」

「千歳ちゃん凄いね」


「ありがとう。リークさん。右手の人差し指の所に丸い出っ張りあるよね。アーティファクトって唱えながら押してくれるかな?」

「うん、わかったよ」


「ねえ、私も使いたい」

「私も使ってみたい」


「うーん、ちょっと問題点がね、女の子に勧めにくいというか…」


「行くよ【アーティファクト】」

そう言うと前面に付けた排紙部分から写真が出てくる。


「大成功かな?」


ぐ~~~


あ、こっちも大成功だ。

「あれ?何で?」

リークさんは顔を赤くしてお腹を触っている。


「ありがとうリークさん。ごめんね。これが問題点なんだ。どんなにお腹がいっぱいでもお腹が空いちゃうの。だからカリンさんとマリカさんには頼めなかったんだ」

出てきた写真を見て皆が喜んでくれる。


「これで今日の記念に写真を撮りたくてさ。王様、無効化よろしくね」

「ああ、わかったよチトセ」


「あと、ちょっと待っててね。もう一つの機能もあるんだ」

そう言って私は東さん達の所に戻る。


「お腹が空くのが問題点だよ。どうかな?」

「まあ、無害なアーティファクトだからいいかもね。でも量産はさせないよ」


「うん、南のお城に置いて貰うつもり」


「行ってくるね」と言って私は皆の所に戻る。

今はジチさんが王様と仲睦まじく写真を撮っている。


「チトセ!これ凄いね!こんな素敵なものを作っちゃって、お姉さん感動だよ」

「へへへ、ありがとう」

ジチさんは出てきた王様と2人の写真をうっとりと眺めている。


「それ、先に私が使っていいかな?

その後は南のお城に置いて貰って王様に管理をお願いするよ」

「いいの?」


「うん。本来は神如き力で写真を作れない事もないんだけど、皆大好きだから平等にしたかったの。それでね。その「真実の記録」にはもう一つの機能があるんだよ。この中の大人の人で一番記憶力の良い人って誰?」


「ジチじゃないかな?」

「じゃあ、ジチさん、お願いできるかな?」


「何をだい?」

「結婚式の日、カムカさんとマリオンさんが並んで綺麗だったでしょ?あれ覚えている?」


「チトセ知っているの?」

「私は神如き力で見たから。どうかな覚えている?」


「ああ、ちゃんと覚えているよ」

「それを思い出しながら左手の指を下についている穴に入れて」


「これかい?」

「うん、そこに入れてマリオンさんとカムカさんを思い出しながら使ってみて」


「行くよ【アーティファクト】」


出てきた写真は記録で見た通り、カムカさんとマリオンさんの結婚式の姿でとても綺麗だった。


「わぁ、お父さんとお母さんだ!」

「お父さん格好いい!いつものボロボロ道着じゃない」

「お母さんも綺麗。黙っていればこんなに大人っぽいんだね」


「アンタ達…」とため息交じりにきたマリオンさんだけど写真を見ると目を潤ませてうっとりとする。


「これ、貰ってもいいの?」

「うん、その為に作ったんだもん。でも今は先に私に使わせて」


「ありがとうチトセ!」

「本当、ありがとう。こんな素敵なものを貰っても俺達にはなんのお礼も出来ないんだよな」


「助けてくれたからおあいこだよ」

そう言って私は神殿の屋上に意識を向ける。


万一お母さんと金色お父さんがチューでもしていたら困る。

2人の姿を見ないまま、居る事だけわかったので声をかける。


「お父さん、お母さん。一度降りてきてよ」


そしてツネノリとメリシアさんにも声をかける。

「いいところかな?ごめんね。ちょっと来て欲しいんだ」


数分して皆が揃ったので「真実の記録」をジチさんに持って貰う。

「ジチさん、お願いしていいかな?」

「ああ、任せておくれよ」


「伊加利家集合!」

「どうした千歳?」

「何事だ?」

みんな口々に色々言うが有無を言わさずに並べる。


「向かって左側がお父さん、その横がお母さん。

2人の前に私、その右隣にノレルお母さんなの。

真ん中にノレノレお母さんね。

反対側行くよ。

右端が金色お父さん、その横がルルお母さん。

2人の前にツネノリ、あ!ツネノリが大きすぎる。頑張って中腰になって!

そしてツネノリの左隣がルノレお母さん!」

これで多分綺麗に纏まったはずだ。


「ジチさん、どうかな?」

「ああ、とても綺麗に並んでいるよ」


「じゃあ、9回撮って!」

「えぇ、全員分なんだね。いくよー【アーティファクト】!」


そして9人分の写真が出来上がる。


「千歳は神様と何かをしているかと思ったら、まさか神如き力でアーティファクトを作るとは…」

「ルルお母さんとの今日の思い出が欲しかったんだよぉ」


「むぅ…私も欲しかったがまさか自分の娘がこんな素晴らしいものを作ってくれるとは思わなかったのだ」


私はその後、「真実の記録」を一瞬返してもらって、「ツネノリとメリシアさんで並んで、肩を組んでも手を繋いでもいいから仲良くして!」と声をかけて2枚撮る。


「ツネノリはどいて、今度はそこにおじさんとおばさんで入って3人で撮るよ!」


その後も「次行くよ!」と言って、マリオンさんとカムカさんとカリンさんとマリカさん、ペックお爺さんの写真。

ペックお爺さんとドフお爺さんとリークさんの写真なんかを撮った。


「後2枚だけ撮らせて。そうしたらこれは皆に渡すから。東さん!ジョマ!!」


「えぇ?僕かい?」

「私も?」

私は2人を呼んで並んで貰う。


「お願い!撮らせて!」


「じゃあ、千歳様も来てください」

「私?」

「ああ、千歳も一緒に写ろう」


結局私は断れなくて3人で写すことになった。

出来た写真を見ると私はお邪魔虫に見えた。


「皆、後1時間したら東さんとジョマから話があるからそれまで「真実の記録」で楽しんでね」


そう言ってお父さんの所に行く。

「千歳?」

「お父さん、ルルお母さんとの時間を邪魔しちゃってもいいかな?」


「ああ、さっき言っていた相談事か」

「うん。後ちょっとルルお母さんにも意見を貰いたくなったの。ルルお母さんもいい?」

「構わんぞ。では込み入った話になるだろうから私が使わせて貰っている部屋に行こう」


3人でルルお母さんの部屋に行く。

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