第236話 それ以上その言葉を口にしたら殺すよ。

「地球の神様、私が話したい。いいかな?いいよね?」

「構わない。話したいのであれば話すがいい。

私は決定を伝えた。

後は神々が納得をするだけだ」


「ありがとう」

そう言って私は前を向く。

前の三馬鹿を見るとムカついてたまらない。

特に真ん中の呼ばれもしないのにやってきてクネクネニヤニヤしている奴は存在自体が腹立たしい。



「あなた達はジョマに何をされたの?」

「何をだと!それはとてもあり得ない事をされたのだ!」


「だからそれは何よ?」

「ああ、思い出すだけでも忌々しい!」


ダメだ…話にならん。


「地球の神様?」

「千歳の言うことももっともだ。酒神、戦神よ説明をしなさい」


「…はい」

そう言ってシュンとなった酒神は私を見ると高圧的な態度で話しはじめた。


「よく聞け小娘!そこの女神はな!我が酒の世界に「アルコール依存症」と言う病と「肝臓病」そして「アルコールハラスメント」に「二日酔い」と言うモノを持ち込んできたのだ!」


はい?


「そして更に「休肝日」「健康志向」なる不届きな風潮をばら撒いたのだ!!」


…バカ?


「どうだ恐れ入ったか?この女がどれだけの事をしたのか分かったか!

能力の剥奪こそがふさわしいのだ!」


「それで?」


「何!?」

「それでって聞いたの?アンタはやられた事の意味とか考えたの?」


「意味などあるまい!ただの気紛れ!悪鬼が如き所行!いやこの女神は魔じ…」


最後まで言わさない。


「それ以上その言葉を口にしたら殺すよ」

私は光の剣を10本精製して酒神の周りに並べる。

少しでも動けば刺さる位置。私自身よく止められたと思う。

だがこの剣は普通の剣じゃない。

神殺しの力で作った剣だ。


「千歳、やめなさい」

地球の神様が呆れた声で私を止める。


「やめない。地球の神様。お願い追加ね。ジョマをその言葉で呼ばせないで。徹底させて。

もしも呼ぶ神が居れば私が殺す。この力で殺す。

人間を辞めても構わない」

私は神々の態度も気に入らないし何よりジョマをバカにされて許せるはずがない。

コイツらの中で一人でも本質に届いていればジョマがここまで傷つく事は無かったかも知れないのだ。


「千歳様!私は平気ですから!怒りを収めて!」

ジョマが泣きそうな顔で私に抱きついて止めに入る。


「ジョマ、泣きそうな顔をしているよ。

平気じゃないよね?辛いよね?

あの言葉は言わせない。

私がジョマを守る。

地球の神様にも守ってもらう。

東さんもジョマを守って」

私は東さんを見る。

東さんは目を逸らさずに私を見る。


「千歳、わかったから怒りを収めて。剣を仕舞うんだ」

「ガーデンの神の言う通りだ千歳。

これでは話し合いにならない」


「わかった」

そう言って剣を仕舞う。


「ジョマの本質も見極められない癖に偉そうに言わないで」

そう言って酒神を睨む。


「くっ、小娘っ」

「意味も考えないでやられたなんて泣き言言わないで。

ジョマは病気を教える事、飲まない日を作る事でお酒に対する思いやりや楽しさを教えたかったんだ。

それで飲めた日に今まで以上に美味しく楽しく飲めるようにしたかったんだ!

そうだよねジョマ?」


「千歳様ぁ……、はい。その通りです」

そう言ってジョマは嬉しそうに私に抱きつく。

私はジョマの頭を撫でてから戦神を見る。


「ふんっ…、小娘が私は酒神程甘くないぞ。

お前如きの脅しに屈するものか!」

「はぁ…、くだらない。いいから説明しなよ。

その後は戦ってあげるよ」


「こ…小娘っ!」

「やだなぁ脳筋って話し合いとか無理そう」


「千歳様…」

「大丈夫だよジョマ。思い切り煽るだけだから。ジョマがバカにされて怒っているんだ。一言二言言い返してやらないと!」


「では聞くがいい!」

そう言って戦神が話したのはもう想像通り過ぎて笑えてきた。

ジョマが戦神の世界に持ち込んだのは平和と癒しだった。


「バカ、脳筋バカ。

平和も癒しもないのに戦い続けてどうするの?

ジョマが気づかせてくれたのにわからないなんてバカみたい。

それにさぁ、アンタの世界がしっかりしていたらジョマの平和と癒しになびかなかったんじゃないの?

自分の無能を棚に上げて威張らないで」


「愚弄するか小娘!!!」

「していないよ。あ、脳筋だからそれもわからないか…」


「千歳」

「やめるんだ」

「千歳様」


「何で?おかしくない?地球の神様はジョマが誤解を招いて傷ついた時に周りを止めてくれた?仲裁に入ってくれた?東さんの世界が面白半分に壊された時、くだらない低能な言いがかりをつけられて傷ついた時に周りを止めてくれた?」

「私は基本的に神々の小規模な衝突も昔から不問にしてきたのだ」


「そっか…、それなのに今は止めるんだ」

私はそう言って戦神を見る。


「良かったね。助けて貰えたよ」


「小娘ぇぇぇぇっ!貴様!何処までも侮辱をして!立つが良い!そこの脆弱な創造神と魔女ともど…」

「言うなと言ったのに言ったな!!!【アーティファクト】!!」

私は一瞬でキレた。

そして光の剣を飛ばして戦神をボロ雑巾に変える。


「ほら、立ちなよ。情けない。アンタさっき私の事を半神半人ってバカにしたよね?その中途半端な存在にボロ雑巾に変えられて悔しくないの?」


だが戦神は動かない。

やりすぎてKOしてしまったか?


「東さん、ジョマ、地球の神様。ごめんなさい。でも東さんは凄い神様なのに脆弱って言うし、言うなって言った名前でジョマを侮辱したから頭にきちゃったの…」

私は神如き力を解いて素直に謝る。


「いや、今のは戦神にも問題がある」

「後、この戦いで何処かの世界が壊れたりなんてしていないよね?」


「ああ、この位で世界は壊れたりしないから安心しなさい」

「よかったぁぁぁ…。じゃあダメ押ししようっと」


「千歳?」

東さんが心配そうに私を見る。

ごめん、私は止まらない。止まってはいけない。


「ジョマ、この映像って神々に見せられるの?」

「え?千歳様、何を?」


「え?決まっているよ。ジョマと東さんを侮辱したり、地球の神様の決定に歯向かう神様はこうなって貰うって警告したいんだよ」

「…千歳、そこまでしないで大丈夫だよ。これはすぐに神々の噂になるから」


「そうなの?じゃあいいや」

そう思ったのだが、場違いの邪魔ものが1人煩かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る