セカンド ガーデン

第231話 本気でジョマにぶつかって。私達と一緒にぶつかって！！

徐々に破壊が回復を上回ってきた。

クロウの傷は胸の中盤まで来た。あと少しでアーティファクト・キャンセラーが見える。

その後は私とツネノリで破壊をする。

「東さん！」

「千歳？」

「東さんって実は凄い神様だよね」

「そんな事は無いよ。僕なんて創造神の中でも下の方さ…」

「自己評価が低い！凄い神様だからジョマに気に入られたんだよ。ジョマは東さんに助けてほしくてアレコレしていたんだよ」

「そうなのかい？」

「そうだよ。だからさ失敗しても負けても恥ずかしくないし誰も東さんを悪く言わない。

私が悪く言わせない。

だからお願い、全力を出し尽くして。それで負けたらみんなで「負けたかー、また出直そう」って言おうよ！みんなで笑おうよ！！」

「千歳…君は僕まで助けようとしているのかい？」

「そうだよ。私は私の好きな人を１人も取りこぼさない。だからお願い。本気を出して本気でジョマにぶつかって。私達と一緒にぶつかって！！」

「……君は僕みたいな神にも期待をするのかい？」

「まったく、みたいって何？東さんは私達の神様でしょ！皆いい意味で期待しているし信じているよ！だからお願い！！」

「ああ、やってみるよ！！」

東さんが私達に力をくれる。

その力は見たことも体験をした事もない力だった。

その力でクロウの身体を掘り進める。

あと少しでアーティファクト・キャンセラーが見える所まできた。

あと一歩がどうしても足りない。

想像以上にジョマが凄いんだ。

私は次元球で王様に声をかける。

「王様」

「何チトセ？」

王様は珍しく余裕のない声をしている。

「手が足りない。剣を回せる？」

「…できなくはないと思う。１本？２本？」

「弱気？無理ならいいや」

「……何？」

私は仕返しもこめてここぞとばかりに言う。

「やっぱいいや。私が神如き力で何とかするよ。

ごめんね期待しちゃって。てっきり私達をバカにするくらいだから頼ったら何とかしてくれるのかと思っちゃったんだよね。じゃあせめて自分の分だけは頑張ってね」

「…オイ…コラ？

誰がやれないって言ったよ？

俺がやってやるさ！それくらい余裕だよ。

見てろよチトセ！

「革命の剣」３本行け！チトセとツネノリの出番を取ってやれ！！

【アーティファクト】！！」

物凄い光り方をした光の剣があっという間に飛んできてクロウの身体を滅多切りにしていく。

いやー、怒らせた私も私だがここまでやってくれるとはありがたい。

あと一歩でアーティファクト・キャンセラーが見える。

「千歳…、お前…」

真っ青な顔のツネノリが私を見て引いている。

「何ツネノリ？びびってんの？

散々バカにされたんだからやり返して丁度いいの。

いざとなったらジチさんに助けてもらうもん！」

そう言って私は気合を入れなおす。

ここで王様に負けてなんて居られない。

口でも勝って実力でも勝つ。

見えた！アーティファクト・キャンセラーだ！

「ツネノリ！アーティファクト・キャンセラーに集中攻撃！！」

「了解だ！！」

私の剣は当たる度に爆発を起こし、ツネノリの剣は休むことなく攻撃を加えていく。

「あれ？」

つい一緒に攻撃をしてくるかと思った王様の剣は律義にクロウの回復を邪魔してくれている。

「チトセ？」

「王様？」

「乗せられてあげたんだから感謝してよね」

「あれ？そうだったの？はーい。ありがとう。感謝してるよ」

そう言って通信を終わらせたところでジチさんの声がした。

「もう、あんなに怒ったキヨロスくんを久しぶりに見たよ。ありがとうねチトセ。キヨロスくんに真正面からぶつかってくれて。

今凄くスッキリした顔をしているよ。

あ、機嫌はお姉さんがとりなしておいたから安心してね」

「ありがとう！」

「あはは、いいって。でも神殿で皆ドン引きしてるよ。ルルとツネジロウなんて真っ青。いやーいいもの見せて貰っちゃったよ。後少しなんだ！諦めずに頑張りなよ！！」

「はい！！」

そうしている間も攻撃は止まらない。

アーティファクト・キャンセラーはヒビだらけになっている。

「千歳！ヒビが見えるか！！」

「うん、後少しだよツネノリ！！」

「ああ、ここまで来られた！ありがとう千歳！！」

「お礼を言うのは私だよ。ありがとうツネノリ！！」

本当によくここまで来られた。

それは確実にツネノリが居てくれたからだ。

「行くよ！」

「ああ！！」

「「【アーティファクト】！！」」

私とツネノリの掛け声で剣がもう一度光を放ってアーティファクト・キャンセラーに突撃する。

キィンと言う綺麗な音の後、クロウの胴体全てを巻き込む範囲で衝撃波が発生した。

私達は勝ったんだ。

「ジョマ？力残ってる？実況できる？」

あ、返事が無い。

「東さん、時間を止めて」

「了解だよ千歳。それでどうするんだい？」

「地球の神様！私はやり切ったよ！約束通り力を貸して！！」

「見ていたよ千歳。見事だ。さあ神の世界に行こう」

そうして私は東さんとジョマと神様の世界に行く。