第171話 お前…グロいの嫌いなのにどうしてあんな残酷な攻撃を思いつくんだ?
悪魔の猛攻は激しかったが攻撃の全てはなんとか防げた。
「これは、20年前なら「創世の光」があっても貯め時間に殺されていたな」
ゼロガーデンの旧サウス王をベースにしていたので「閃光」「爆裂」ではなくひとまとめに「アーティファクト」で発動してきたり、端末プレイヤーではないので決めポーズもなく自由に発動をしてくるので難易度はグッと高まった。
攻撃に関しては刺す攻撃はそこそこ効いたので剣を突き立ててから切り開くように攻撃をしたり腕を輪切りにする事にした。
今俺の目の前に居る悪魔の体色は緑になり始めた青で時間にして30分は戦っている。
「アーティファクト」と唱えた時と傷の再生に力を使うようで効率的に消耗させている。
勝ちパターンに入った所で千歳が「交代してよ!」と言ってきたのでくれぐれも注意する様に釘を刺して交代をする。
「わかっているよー。東さん、黒に戻して」
千歳がそう言うと悪魔は黒く元に戻る。
「ごめんねツネノリ。先に行くね」
「ああ、気を付けろよ」
俺が闘技場の範囲から出て千歳が代わりに中に入る。
「父さん、お疲れ様」
「ありがとう」
「やっぱり父さんは凄いな。俺達は色んな攻撃を組み合わせるから勝てているのに父さんは「勇者の腕輪」だけで勝てるんだからさ」
「俺からすれば多才なお前達の方が凄いんだがな」
「ちょっとー!見学してよ!!」
千歳が光の盾を飛ばして悪魔の攻撃を回避しながらクレームを入れてくる。
「わかったよ」
俺とツネノリはヤレヤレと言って千歳の戦いを見る。
昨日作った光の盾は使いやすいのだろう、そして光の剣も1本だけ同時に出して自身の周りをフワフワと飛ばしている。
「まずは盾の硬さと重さチェック!」
そう言った千歳は悪魔の振りかぶりに合わせて盾を出して受け止める。
盾は浮いているのに押される事なく悪魔の攻撃を受け止める。
「よし、期待通り!次!」
そうして盾を殴ると爆発する危険な盾に切り替えて悪魔に殴りつけさせる。
横から見ていると殴った前面にだけ爆風が飛んで後ろは何も無かった。
悪魔は爆発に弱いようで二の腕まで吹き飛んでいて再生させるとあっという間に黒から濃紺になる。
アーティファクトの一撃に対しても飛ぶ盾は問題なく防ぎ切っていた。
「んー…、防いだ時にちょっと疲れるなぁ。まあ、試したい事は終わったから次!…の前に東さん、黒に戻して!」
そして黒に戻った悪魔を光の檻で閉じ込めてどこまで防げるかを試す。
アーティファクトの一撃は提灯が光るみたいで綺麗でそして悪魔は檻を破れずに自滅していた。
「よし!」と千歳が喜んだ所で、神殿で見ていたマリオンが千歳に通信を入れてきてロクでもない攻撃を教えていた。
「え?マリオンさん?はい。うん。あ!それいいかも!!ありがとう!やってみるね!!」と言ってニコニコしていた千歳が「東さん、倒せても倒せなくても次で私の番は終わりにするねー」と言うと「檻の全方向から光の剣を突き立てる!【アーティファクト】」と唱えた。
檻の中の悪魔は6方向全てから何本もの剣が飛び出してきて悪魔を突き立てる。
またそんなエゲツない攻撃…。
「あ、マリオンさんごめん!閃いちゃった!」
そう言った千歳は剣を次々に刺しては最初に刺した剣を爆発させるトコロテン式の攻撃を行う。
悪魔はなす術なく黒い血を流しながら檻の中で爆ぜていく。
あっという間に体色が赤になった所で「マリオンさんの案!刺してから一斉爆発!【アーティファクト】」と言って悪魔に再度剣を突き立ててからカケラも残さずに爆散させやがった。
「終わりーっ」
そう言ってニコニコと帰ってくる千歳。
「お前…グロいの嫌いなのにどうしてあんな残酷な攻撃を思いつくんだ?」
「何でだろう?でも最後の奴はグロくなかったよ」
「その前がグロいだろう?」
「まあ、致し方ないよ。空気を抜くよりは心が痛まないもん」
…こいつ、日本に帰ってから平気か?
「次はツネノリだよ!」
「ああ。父さん、行ってくるね」
「気をつけるんだぞ」
「うん!」
そして闘技場に上がるツネノリ。
「東さん!お願いします!!」
そうするとまた目の前に悪魔が現れる。
この悪魔も練習台みたいにされて不憫に思えてきた。
俺はついつい悪魔に手を合わせてしまう。
「お父さん?」
「いや、悪魔にもすまんと思ってな」
千歳は「なるほど」と言った後で手を合わせていた。
ツネノリの攻撃は圧倒的で恐ろしい程に徹底した物だった。
キヨロスとの10年が教えたアーティファクトを使った剣は容赦なく悪魔の周りを飛び交って切り刻んで刺しては属性毎の攻撃を繰り返していた。
あっという間に青まで色を変えた所でツネノリが東にお代わりを頼み出して、「千歳、昨日話していた防御法はどう思う?」と聞き始めた。
「王様の奴?一応光の盾も張っておきなよ。吹き飛んだらお父さんがフォローに入るよ」
「なに?」
「ほら、お父さんはツネノリの後ろ」
俺は言われるがままにツネノリの後ろに控える。
「ツネノリいいよー!」
「よし!」
そう言うとツネノリはアーティファクトの剣を目の前に並べて防御姿勢になる。
「おい、まさか…」
「そうだよ、王様の真似をして剣で防ぐんだよ」
それは確かに光の盾も出して貰わないと困る。案の定、ツネノリはダメージこそ負わなかったが吹き飛ばされて俺がキャッチをする羽目になった。
「ありがとう父さん」
「怪我がなくて良かったよ」
ツネノリは再度闘技場の中に入っていく。
「後ひとつ試したら終わりにする!」
そう言って出したのは8本の属性剣…属性突剣と光の突剣の系10本の突剣だった。
「ザンネ先生の教えとテツイ先生の教え、そしてキヨロスさんの教えを併せた俺の攻撃!!」
そう言った後は凄惨な技だった。
空を飛ぶ突剣は突き刺さるとそれぞれの属性攻撃を行うし、両手に構えた光の突剣…と言うか全身には時と風のアーティファクトが使われていたのだろう。
圧倒的な速度で悪魔を串刺しにしていく。
黒かった悪魔はあっという間に蜂の巣になって灰色になり砕け散っていた。
「父さん、千歳、お待たせ!」そう言ってやり切った顔のツネノリが闘技場から降りてくる。
「お前達…、やり過ぎだ。そりゃあイベントも外されるよ…」
俺は呆れながらに言う。
「えー、きっとジョマは明日から激しいの用意するからもっと鍛えておかなきゃ!」
「俺もそう思うよ」
「あー、やる気なのはいい事か…、まあいい。昼にして午後は英気を養うぞ」
「お昼ーっ!」
千歳が嬉しそうに飛び跳ねていた。
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