キヨロスの章○師事者の苦悩。

第164話 ガーデンの皆を助けるために必要なとても大切なね。

まだ明け方だが、ルルとマリオンと僕は起きていてツネノリの戦いを見る。

ルルの所に昨日の夜ジョマが現れて今日の戦いはツネノリとチトセと戦いたいと言う奴が現れたから対決をする事になったと言っていたそうだ。


僕は散々悪魔と戦ってきたので悪魔の恐ろしさは身に染みて知っている。

そこら辺の事を教えてあげられれば良かったなと今になって気になってしまう。


「もしもに備えてメリシアを起こす?」

マリオンが僕に声をかけてくる。


「どうしようか?

僕はツネノリとチトセなら悪魔には遅れを取らないと思うけど…

それ以外だと集団戦闘に入れて数減らしに使うならまだしも、単体の強敵相手にいきなりのメリシアが2人と連携を取れるか心配だよ…」


「ツネノリなら合わせられるだろうけどチトセは未知数だね」

「2人とも、メリシアはこちらの時間で言う所あと2日で帰してやるんだから休ませてやらんか?」


「そうだね。危なくなったら叩き起こして投入しよう」

「僕もそれでいいと思うよ」


そう言うとルルがまったくと言って僕たちを見る。


現れた黒衣の男は想像以上の動きでツネノリの攻撃を回避していく。


その頃には神様も近くで見ていて僕たちに説明をしてくれる。


チトセの説明を神様が僕たちにわかりやすく言うと、チトセ達のように魂でガーデンに来ていないプレイヤーと呼ばれる連中は動きがある程度一定になっていて同じ剣の振り方や同じ交わし方しかできないらしい。

その中でもコイツはかなり修行を積んでいるようで紙一重でツネノリの攻撃をかわしている。


だがツネノリがそれくらいで苦戦するわけも無く、アーティファクト砲を撃ち込んで相手を吹き飛ばした。


「やった!」

「いや、まだだよ」

僕達の倒した悪魔なら悪魔化の前でも生半可な攻撃は効かなかっただろ?

しかも昔カムカが言っていた「悪魔のタマゴ」を使用した悪魔は生半可な攻撃では死なない為にモノフの持つ「暴食の刀」が必要だった。


案の定、すぐに起き上がった黒衣の男は胸に手を当てて真っ黒な悪魔になった。


「黒!?」

「アイツ青くない、黒いよ」


「黒は初めて見るぞ?私やツネツギも見ても黄色止まりだった」


「ジョマが千歳に解説をしているね。

うん。

赤色が最弱で、橙色、黄色、緑色、青色、紺色になって黒色が最強のようだ」


昔僕たちが死に物狂いで倒した悪魔の更に上があった事に驚くしか出来ない。


「くそ、それじゃあチトセとツネノリが危ない」

「メリシアを起こさなきゃ!」


「だめだマリオン。擬似アーティファクトの盾であの閃光爆裂を防ぎ切れる気がしないよ。

マリオン自身も防げても一度が限界と言っていただろ?しかも黒だ。威力の想像がつかないよ。

あの場にメリシアを投入しても2人がメリシアを守る事に専念して足手まといになるだけだ」


「…うん」


しまったどうにか危険性を伝えたい。

そう思いながら見ているとチトセが悪魔に吹き飛ばされて動けなくなってしまっている。


それに怒ったツネノリが怒涛の攻撃で悪魔を斬り付ける。


「わぁ…ツネノリ本気で怒っているね」

「ああ、あれなら倒せるか?」


「いや、多分ダメだ。決定打が足りていない。

一度でも閃光爆裂を使われたら状況がひっくり返るどころか至近距離過ぎてツネノリが死ぬよ」


そんな話をした所でチトセからルルに通信が入る。


「え?あっちから話せるの?」

「いや、千歳だけだよ。昨日と一昨日、千歳はルルの所にいただろう?その時に練習をしたんだ」


「キヨロス、千歳が話をしたいそうだ」

僕はルルの次元球を手に取ってチトセと話をする。

チトセは僕が悪魔と戦った経験とフィルさんのムラサキさんを使った時の経験を必要としていたので教える。


「ありがとう。最後にもう一つだけあるの。私のお願いを聞いて欲しいの。王様にしか頼めない事だから」と言ったチトセがまさか「意思の針」を逆流して僕に意思を伝えてくるとは思わなかった。

それは確かに僕にしか頼めない事。チトセはこの戦いの次の次を考えていた。

それは確かに完全解決に必要な事で僕は断る道理が無い。


「いつでも言ってくれ。その時が来たらすぐに駆けつけるよ」と僕はそう言うと「ありがとう。悪魔の事とか盾の事とかありがとう。多分ツネノリが死んじゃうから私は手を出すね」と言ってチトセが通信を終わらせる。


「何を話したの?」

「内緒だよ。ただとてもいい事さ。ガーデンの皆を助けるために必要なとても大切なね」

マリオンが頬を膨らませて不満をアピールする。

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