第68話 千歳には彼氏とか居ないのか?

お茶を飲んだ俺はメリシアの方を見る。

「メリシア、明日なんだが…」

「はい?」


「もう一泊させて欲しいのだが大丈夫だろうか?」

「はい。明日は他にもガーデンに住んでいるスタッフのお客様がいらっしゃいますがこのお部屋は予約されていないので問題ありません」


「あ、ちなみに一泊いくらなんだ?」

そこで千歳が話に入ってくる。


「ツネノリ聞く?」

「なんだその含み笑いは」


「2人で一泊120エェン。二泊だから240エェンだね。あ、夜ご飯をツネノリがモリモリ食べたからもう少し高いかも?」


思ったよりは安いがそれでも今まで使った事のない金額に驚く。

「まあ、今日は私が霜降り狼を山程倒したし、今までのお金も使ってないから大丈夫。

それに足りなかったらお父さんに払ってもらうか東さんに払ってもらうつもりだし」


「お前…父さんに怒られるぞ」

「大丈夫、昨日までのホテル代も全部父さん持ちなんだって、父さん…仕事の一部としてセカンドでお金使わなくちゃいけないから使うと助かるって東さんが教えてくれたよ。


ああ、そうだ。

東さんに頼んだら良いよって言われたのが、スタッフカウンターでお金を引き出すの大変だから宿代とかお店の食事代なんかはそっちから払えるようにして貰ったんだ」


「そんなことが出来るのか?」

「うん、本来はそれが父さんの仕事なんだって。そうやって人を駄目にしない範囲で色々と便利にしていくんだってさ」


メリシアは俺と千歳の会話を嬉しそうに聞いてから「勇者様のお手伝いをしていて千歳様はご立派です」と褒めていた。


「それでは私はこれで」と言ってメリシアは帰っていく。


「おやすみなさい」と見送った千歳はその足で布団を俺の布団にくっつける。


「何をしている?」

「え、メリシアさんは否定しないって言ってくれてたし。またうなされるかも知れないし」


そうして布団に入ると宣言通り千歳はくっついてくる。


「お風呂良かったね」

「ああ。

…そうだ、千歳…、何か言う事は無いか?」


「えー?お風呂場で怒った事?」

「それもだが、仕組んだだろ?」

そう、風呂にメリシアの父親を同席させて俺にメリシアとの事を聞いて話させると言う事を仕組んだ事を言う。


「ああ、それかー」

「どう言うつもりだ?」


「別にー。ただツネノリの気持ちをハッキリさせたかった事と、どれだけツネノリが格好いいかをメリシアさんのお父さんに分かってもらいたかっただけ」


千歳はなんでこう大変な事を平気で簡単そうに言うのだろう。


「もう寝よ。

私疲れちゃった」

「ああ…、あ」


「何?」

「そうだ、千歳には彼氏とか居ないのか?ほら…、あの佐藤とか」


「はぁぁぁ?」

千歳の物凄く嫌そうな声。


「ツネノリってバカなの?」

「バカ?」


「バカ以外の何者でも無いわ。何でそんな発想になるのよ?彼氏なんていないわよ」

「そ…そうか」


「お父さんみたいな事言わないでよ」

千歳はそう言うと「腕」と言って俺の腕を枕にして寝てしまった。

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