ツネノリと千歳の章①対ホルタウロス戦。

第19話 安心しろ、お前は必ず俺が守る。

魔女の「バトルスタート!」の声でホルタウロスの檻が破壊された。

一斉に光の剣や盾を出して向かう20人の初心者たち。


千歳はどうしていいのかわからないと行った顔で辺りを見回している。

それでいい。

俺も怪我など出来ないので、死なないと言う外の世界の連中に任せて今は敵の動きを観測する。


「おっとー、特別招待枠の2人は動かない。流石は命に限りがある設定。とにかく慎重です」

魔女の解説に周囲が沸く。


言っていればいい。

俺と千歳は本当に死んでしまうのだ。

生き残るためには卑怯と言われても出来るだけの事をしてやる。


巨漢の男が光の剣でホルタウロスを斬りつけた後、こん棒でつぶされる。

原形もわからない具合にグチャグチャだ。


外の世界の人間はこんなものを求めているのか?

理解が出来ない。


千歳を見ると千歳も嫌悪感を露わにしている。

そう言う部分は話が合うかもしれない。


その後もあっけなく吹き飛ばされていく20人。

最後の男が千歳を守っていたが、光の盾ごと吹き飛ばされた。


「これで残るは特別招待枠の2人のみ。後の20人は最短でも10分は復活できません。

この2人はどうやって戦うのでしょうか!」

魔女の解説がいちいち耳障りでならない。


ホルタウロスは俺に狙いを定めて接近してくる。


あの弱い盾では駄目だ。

強い盾を出す。


だが出るのか?

俺の心臓の鼓動が早くなる。

とても緊張をしている。

もしかしたらここで死んでしまうのかもしれない。

母さんが…ノレル母さん、ルノレ母さん、ノレノレ母さん。

母さん達の悲しむ顔、父さんが悔しそうに悲しむ顔が浮かぶ。


そんな事になってたまるか!

俺は父さんを信じる!!


ホルタウロスがこん棒を大きく振りかぶる。


今だ!!!

「【アーティファクト】!」

俺は昼間見た父さんの光の盾を思い浮かべてそう唱えた。


現れた光の盾は、父さん程しっかりはしていなかったが20人が出したモノよりは明らかに力強い。


ガッという音でホルタウロスのこん棒を防ぎきる。


「やっぱりだ!!」

出来た。俺は無事に光の盾を生み出せた。

そして俺は前に一歩出る。


盾を仕舞う。

次は剣だ。


あの20人の貧相な剣ではない。もっと力強い立派な剣をイメージする。


「【アーティファクト】!!」

出た、光の剣だ。これでホルタウロスの左わき腹を思い切り斬り抜く。


鮮血が噴出しながらホルタウロスは膝をつく。


よし、今のうちに千歳の元に行こう。

そしてアーティファクトの使い方を説明して身を守らせる。



俺は妹の元に走る。

「千歳!お前は俺が守る。剣と盾を出す時はアーティファクトと唱えるんだ!」


千歳は何を言っているんだと言う顔で俺を見ているが今はとにかく身を守らせることが大事だ。


「力強い盾をイメージしてアーティファクトと唱えてくれ!!」

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