第18話 あれが千歳、俺の妹…。

「本日のスペシャルゲストの紹介です。

まずは1人目!運営からの「初心者限定特別招待枠」としてVR端末で特別に長期ログインをしてもらう事になりました。

プロフィールは伏せさせていただきますが、都内在住のアクション俳優のタマゴで、私との設定は異世界から召喚された男の子で、更にガーデンでの死が現実の死になると言う設定なのです。

本人は見事演じきれるかもこうご期待ください!!」


俺が呼び出されたのはコロセウム後方。

多分、今魔女が紹介したのは俺の事だろう。

何でもいい。魔女が帳尻合わせをするとも言っていた。

俺は千歳を見つけて守る。そして敵を倒す。

全て終わってから帰る方法と千歳を帰す方法を探す。


俺の前に20人のプレイヤーが居る。

どれが千歳だ?


そしてその先に巨大な檻。

檻の中には白地に黒の斑模様の牛と人間を合わせたような化け物が居る。

これが敵か…

とても巨大で強そうだ。


後ろで観客が「ホルタウロス」と呼んでいる。

あの魔物の名前だろう。

その他の観客の声を統合していくととても初心者が相手をするような魔物では無いと言う事だ。

一方的な虐殺をしたいのならもっと高位の魔物を連れてくるだろうが、恐らくこの人数ならギリギリなんとか勝てるのだろう。


そう思っていると魔女が2人目の初心者限定特別招待枠の話を始める。

そう言えばさっき召喚される時に魔女は初心者限定特別招待枠で千歳を呼んだと言っていた。

ここで出てくる奴が千歳だ。


俺と同じ召喚の光の後で50メートルくらい離れた先に一人の少女が立っていた。

半袖に短パン、赤いジャケットの少女。

髪は長めの髪を後ろで結んでいる。


「あれが千歳、俺の妹…」

俺は思わず呟いてしまった。


父さんの血を分けた唯一の兄妹。

昼間、会ったら一言いってやりたいとか思っていた事はどうでもよくなっていて俺はこの状況下でとにかく千歳を守る事だけを考えていた。

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