第38話風姫解放
肩に三叉戟をかかげ、三つ目の武人は
顔には不敵な笑みを浮かべている。
海斗が召喚したのは、道教の最高神玉帝の甥で、治水の神にして武神である二郎真君であった。玉帝の妹が人間に嫁ぎ、うまれたのが彼である。半神半人の存在であった。
「助力いたそう」
二郎真君がそういうと、彼は三叉戟を頭上で回転させた。すさまじい風圧で、まるで小型の台風のようだ。
そのまま突き進み、
何百枚という鱗がとびちり、さらにその奥の筋肉と内蔵を傷つける。鉄のような鱗にはばまれ、強烈な一撃ではあったが、致命傷をあたえるまでにはいたらなかった。だが、かなりのダメージをあたえられたようだ。
グオオオっと苦しそうにのたうちまわっている。
三眼の武人は三叉戟をたて、獅子雄の横にたった。
「貴殿、
爽やかな笑みをうかべ、武神はいう。
彼には獅子雄がかかえるものが見えているのかもしれない。
「そうだな、ありがとう」
獅子雄の中のなにかが、ふっきれたようだ。まずは勝って、生き残らなければなにも前にすすめることはできない。
二郎真君は三叉戟を脇にかかえ、突撃する。
鱗竜の心臓めがけて、猛烈な勢いで三叉戟を突きだす。
鱗竜は鋭い爪を生やした腕でその攻撃を防ごうとする。
三叉戟は鱗竜の右肘にくいこみ、吹き飛ばした。
右腕がごろりと床にころがり、赤黒い血が大量に飛び散った。
鱗竜はのけぞり、苦しんでいる。
「貴殿らの武運を祈る」
そういうと三つ目の武神は何処へともなく消えてしまった。
白虎の剣を最上段にかかげ、獅子雄は残る左腕に攻撃をくわえる。
白虎の剣は鱗竜の右肩に深々と食い込む。
深くくいこんだ刃を一気に引き下ろす。
右腕は肩の付け根から吹き飛び、鮮血がまった。
俺は生きて、春香を守る。
獅子雄は強く思った。
「とどめは私らでつけるよ」
零子が美穂に言う。
「はい」
美穂は短く答える。
為朝の剛弓に矢をつがえる。けっして小柄ではない美穂の身長よりもはるかに大きな弓であった。かつて猛将源鎮西八郎為朝が用いた剛弓である。彼の魂がこめられてをり、持つものに勇気と力をあたえてくれる。ただ、己の意識をただしく保たなければ、その勇気は為朝の戦いたいという魂にのみこまれ、蛮勇にかわってしまう。
美穂は大きく息を吸い、精神を集中させる。
弦を目一杯ひき、二郎真君によって鉄の鱗を吹き飛ばされた腹部めがけて、狙い撃つ。
美穂の心は無心にちかかった。
狙い撃つことだけを意識していた。
見事、矢は命中し、突き抜ける。
「もう一ついくよ」
精霊銃クーフーリンをかまえ、零子は固有特技百発百中を発動させる。引き金をひくと、その凄まじい威力のため、後方におおきく下がる。
彼女の体をホルミスダスが受け止める。
弾丸は空気をきりさき、鎌鼬を発生しながら、美穂によって風穴の空いた腹部をさらにおおきく押し広げた。肉片と内蔵と血液をまきちらし、鱗竜は倒れた。
どすんと鈍い音をたて、鱗竜は動かなくなった。
鎖につながれたグシュナサフにかけより、その鎖に竜馬は霊刀カルラを叩きつけた。鎖は粉々に飛び散る。
金色の髪にかなり豊かな身体をした風姫を竜馬はだきあげた。
ゆっくりと彼女は目をあける。
惚れ惚れとするほど美しいエメラルドの瞳をしていた。
鱗竜を撃破しました。
ドロップアイテム「竜の眼」「竜の爪」「竜の牙」「竜の鱗」「グリモアール」「真正奥義書」をアイテムボックスに送ります。
天王寺春香に「ディアボロス」「バルトロマイの賢者」「エクソシスト」「「
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます