9.6.子供たち、到着!
今日は快晴で温かい。
日向ぼっこには最適で、ライドル領にいる仲間たちはこぞって日当たりの良い所を探して寝転がっている。
まぁ俺もそのうちの一匹なんですけども!
いやぁー、小さい頃から日向ぼっこは好きだったけど、大人になっても気持ちがいいと感じられるんだなぁ~。
気兼ねなくのんびりできるのも、やっぱり不安が全部取り除かれたからだろうな。
二つの国からの同時侵攻を返り討ちにし、俺たちは平穏を取り戻した。
ヴァロッドやガルザはまだ帰ってきてはいないが、これからのことをしっかりと話しているはずだ。
それと、俺たちの戦いを見た兵士や冒険者が家族や友人に勝利の知らせを届けてくれた。
それにより不安は完全に取り除かれ、彼らもようやく曇りない笑顔で日常を過ごしている。
やはり俺たちの強さを見せたのは正解だったな。
怖がられるかと思ったけど、そんなことなかったし。
長い者には巻かれろとかいうけど、今回はそれとはちょっと違うのかなぁー。
まぁいいか。
あ、それとですね。
今回は面白い報告があるんですよ。
ベリルがヴァロッドとの簡易血印魔法で契約をしたことにより、ベンツはそれなりに人間を信じることができるようになったらしい。
だからなのか、今まで本拠地に待機させていた残り三匹の子供をこのライドル領に連れてきたのだ。
そいつらは今セレナと一緒に人間の子供たちと遊んでいるぞ。
『それー!!』
『セレナ! これなんだ!? この丸いのなんだ!?』
『ボールだよー。なんかの毛皮を固めて作ったやつだってさー』
『セレナちゃん……物知りになったねぇー……』
『へへー』
「おわあ! 飛ばしすぎー!」
「あはははは!」
いやめちゃくちゃ楽しそうだなおい。
はぁー、俺も体が小さかったらモフモフに囲まれるっていう幸せな生活ができたというのに。
俺が小さい頃は結構そういう場面多かった気がするな。
基本的にはベンツとガンマと一緒に丸まっているだけだったけど。
今は俺がモフモフされるんだよなぁ。
子供たちに。
俺の毛って固いんじゃなかったっけ?
長毛種なんだけどなー。
『オール様……』
『お、メイラムお帰り。どうだった?』
『我が子というのは、愛おしい……ものですね』
『そりゃそうだろー」
のそりと帰ってきたメイラムは、少し嬉しそうな声でそう言った。
帰らせていなかった仲間は、一回本拠点に帰して子供たちとご対面させたのだ。
申し訳ないことをしたなとは思うが、ここにずっと留まってくれた。
本当は帰る時間もあったが、こちらのことを優先したかったらしい。
まぁ……ここがどうなるかで子供たちの未来が決まると言っても過言ではないしな。
こっちを優先させた理由はそれだろう。
『そういえば産まれてから結構時間経ったよな。今どれくらいなんだ?』
『二ヵ月半……くらいでしょうか。俺も、あまり覚えて……いません……』
『三か月くらい経った気もするけどなぁ~。でもそれくらいだったら、もう魔法とかも覚えてるんじゃないか?』
『はい……。バルガン殿が、良く、してくださったようです……』
『ああ、あいつか』
あのバルガンが子供たちの世話をするとはなぁー。
逆に子供たちにいいようにされそうではあるが。
『そういえばラインは?』
『本拠地に……残っています。長い間、いなかったので、子供たちが……離してくれ……ないそうです』
『羨ましいなあいつ!』
『……?』
モフモフが寄ってくるとか最高かよ!
いいなー!!
まぁ自分の子供だしね……うん。
『俺の子供も……ここに、来たいと騒いで、いましたよ』
『そうなのか。メイラム的にはどうしたいんだ?』
『……長らく、ラムイムに任せきりだったので……こちらで世話でもと、考えています』
『それはいいな。てなると第三拠点をもう少し広くしておいた方がよさそうだ』
ベンツの子供たちもここに来たことだしな。
多分狭いだろうから、あとで増築することにするか。
にしてもメイラムいいお父さんじゃん。
奥さんのことしっかりと考えてる。
見た目は少し怖いけど、やっぱり俺の仲間は優しい奴ばかりだな。
……俺も一回帰って残してきたあいつらを労った方が絶対にいいよな……。
こっちも一段落付いたし、暫くはベンツに任せておいても大丈夫だと思う。
ガンマもいることだしな……。
シャロとバルガンが本拠点を指揮して守ってくれていたらしいし、新しく産まれた子供たちの顔も見たい。
メイラム帰ってきたばかりだけど……どうしようかな。
『俺も一回帰った方がいいかな』
『皆、喜ぶと……思います』
『だよねー……』
うん、戻ろう!!
『メイラムも来い。子供たちを連れていくかどうか、ラムイムと決めるといい』
『そう、ですね。ではそう、させていただきます』
あと誰か帰らせる奴はいるかな?
んー、ヴェイルガたちはここに居てもらうとして、ベンツも皆いるから帰る必要はないか。
もしあれだったらベンツの奥さんのレスタンを連れこよう。
家族でいた方が絶対にいいでしょ。
ガンマの奥さんも連れてこようかな。
あのお母さん狼のアリアだけど……もしかしたら向こうでも子供たちの面倒を見てくれてるかもしれないから、アリアの様子を見て決めるか。
『よし! じゃあ俺たちだけで帰るか!』
『分かり、ました』
ワープゲートで一直線だぜぃ!
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