8.22.サニア王国偵察


 模擬戦が終わって数日後。

 俺が作った土狼がサニア王国周辺に到着したらしい。

 視界共有をして、様子を伺ってみることにする。


 隣には二匹の土狼がいる。

 もう二匹の土狼はアストロア王国へと向かわせたので、ここにはいない。


 ふむ、とりあえず一匹をテクシオ王国に向かわせるかな。

 どの道連絡をする使者はこのサニア王国を経由するだろうし、それを確認しておける位置に配置しておかないといけない。

 まぁ整備されている道は少ないので、それもすぐにできるとは思うけどね。


 えーっと、確かアストロア王国が三ヵ国で同時に攻めようって考えてるんだよな。

 それでサニア王国とテクシオ王国に協力要請を求めてる……だったか。

 アストロア王国からサニア王国までは大体半月? くらいなのかな?

 ちょっとこの辺は分からないけど、確かライドル領からテクシオ王国までが一ヵ月だっけか。

 アストロア王国ってライドル領からどれくらいだっけな。

 覚えてないや……。

 まぁそれも兼て土狼で確かめてみるかね。


 まずはサニア王国だ。

 とりあえず先兵は倒したから、すぐには攻めてこないとは思うけどな……。

 情報収集は大事だからね。

 集めたことはあいつらにも教えておいた方がいいかもね。


 今いる場所は森の中だ。

 森の端っこかな。

 身を隠すようにしているので、そう簡単には人間に見つからないでしょう。

 暗くなったら一匹の土狼を削って小さくしようかね。


 ここから見てみる限り……兵士が国の周りを警戒してるな。

 それと冒険者らしき人物が、俺たちが戦ったあの戦場に向かっている。

 数人なので特に気にするようなことはないと思うけど……。


 これ、調査しに行ってるっぽいな。

 そっちに一匹土狼を向かわせた方がよさそうだね。


 というわけで土狼を一匹を俺たちが戦った戦場へと向かわせる。

 道中に少しでも見ておけばよかったけど、取り合ず場所指定して向かわせただけだったからね。

 ま、そういう時もある。

 あとで視界を切り替えて確認してみるとするか。


 もしあの惨状を確認したのであれば、士気は落ちてくれるかね。

 ガンマがいい感じの爪痕残してくれたからな。

 そうなった場合は嬉しんだけどね……。


 さて、でも情報収集はしていきましょうかね。

 んじゃとりあえず、一匹の土狼はテクシオ王国に向かわせて、もう一匹はあの冒険者たちについていかせてみようか。

 残った俺は、明るい間は外から確認できるサニア王国の情報を確認するっと。


 できれば人間の会話を聞きたいところなんだけども、明るい間はちょっと厳しいかなぁ。

 とりあえず森の中を移動しながら、サニア王国を監視してみることにするか。

 それか冒険者についていかせている土狼に視界を移してもいいな。

 まぁひとしきり確認したら、そっちを見てみることにするか。

 んー、でも見てみる限り、そんなに大きな動きは今のところなさそうなんだよなここ。


 大きな城壁、更に入国者らしき人々が多く門の前で待機している。

 行商人らしき人物は多くの荷物を馬車に乗せていた。

 旅人はとても軽装だ。

 冒険者は重装備であったり、軽装備であったりと様々だが、誰もが屈強そうな面構えをしている。

 勿論そうでない者もいるのだが。


 なんかこう見ている限りは普通だな。

 ちょっと拍子抜け……っていうか戦争だってのによくそんなに普通にしていられるな。

 不安を煽らないためにいつも通りの生活をしているのだろうか?


 でも今頃上層部では慌ててるんだろうな。

 先兵五千だったっけな。

 あれが一人として帰ってこないんだもんね。


 うん、さすがに見ているだけじゃこれ以上集められる情報はなさそうだな。

 んじゃ、この土狼はここに置いておいて、冒険者の方を見に行った土狼に視界を移して監視しようか。

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