5.32.暴れ竜
『な、なんて?』
『『『竜の群れを鎮めて欲しいのです』』』
りゅ、竜!?
竜だって!!?
え、聞き間違いじゃないよな?
竜ってその―……でっかくて、翼が生えてて……滅茶苦茶強いあれだよな?
多分俺の考えている物とこいつらの言っている物は同じ……?
だよな?
え、それを俺に何とかしてくれって言ってるのか?
うん、何を言っているのか分からない。
ていうかこの世界に竜いるのかよ!
なんとなくは分かってたけどさ!
確信は無かったから言えなかったんだが……マジでいるとは……。
えー、この小さい体で竜たち何とかしなきゃいけないの?
無理じゃね?
あいつら絶対俺より数十倍デカいもん。
分かり切ってることだよ。
『無理だろ!』
『『『オール様ならできます!』』』
『どっから湧いてくるんだその自信は!』
『『『あの技を見れば問題ないと思うのも必然! さぁ! 竜を鎮めて来てくださいませ!』』』
『ちょい待て』
竜だろ?
ま、まぁ百歩譲ってそいつらと対等に渡れたとしよう。
だがそれでどうなるってんだ。
あいつらも群れで生活してるだろうから、俺は一匹でそいつらを相手にしなければなら無くなるわけだろう?
物量で負けるわ!
かと言って、そんな危険な場所に皆を連れていきたくはない。
地の利ですら負けているのに一匹で行くとか無謀にもほどがあるだろう。
『やっぱ無理だろ』
『『『そこをなんとかああああああ!』』』
『おい! 立場逆転してるぞ! ていうか寄るな引っ付くな!』
毛玉が俺の足元に縋りついてきた。
俺が魔法を見せてって頼んだのに、いつの間にかこいつらがお願いをしている。
どれだけ必死なんだよ……。
『ていうか何で俺がそんなことしなきゃいけないんだよ。鎮めるってことは、竜は今暴れてるんだろ? それってあいつらが勝手にいざこざ増やして暴れてるだけじゃん』
『『『そうですけど! いやそうなんですよ!』』』
『お、うん』
『『『でも規模がぁ! 森がぁ!! やばいんですぅううう!!』』』
規模って……。
まぁ竜だしな。
そいつらの喧嘩に巻き込まれようもんなら、山一つ吹き飛ばされても不思議じゃない。
ていうかそんな奴らの所に行くなんて、俺怖いし。
絶対やだもん。
『『『でもこのままだとぉ!!』』』
『?』
『『『このままだとここにまで被害が出る可能性がぁああああるんでぅすうう!!』』』
『なに?』
いやちょっと待ってそれは聞き捨てならない。
知らない場所で暴れるのは構わないが、俺たちの縄張りで暴れられるのは本当に困る。
俺たちあんまり対空系の魔法持ってないから、戦力にならない子が多い。
そんな中で竜が来ようもんなら、悲劇が繰り返される。
それは避けたい!
『……はぁ……。場所は?』
『『『!! 良いのですかぁ!』』』
『ここに被害が出るってんなら黙ってはいられないからな』
『『『やったぁあああああ! こちらです! 今行きましょうすぐ出ましょう!』』』
『めっちゃ必死じゃん……』
どんだけ困ってんだよ……。
まぁ、とりあえず行ってみるか。
行ってみてやばそうだったら一回帰ろう。
危ない所にはあんまり近づきたくないからな……。
『で、どっち?』
『『『あっちでございます!』』』
狐たちの示した方角は北。
縄張りから随分と離れてしまう結果になってしまうが、皆もいるし大丈夫だろう。
とりあえずベンツにだけは知らせておくか。
「ゥォオオオーーーー……」
『『『何をしているです?』』』
『仲間に帰るのが遅くなると伝えただけだ』
ベンツならこの声でも聞こえている事だろう。
ま、出来るだけ早く帰るとしましょうかね。
『その前にこの辺掃除してから行くわ』
『『『はやくぅー!』』』
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