第4話 第六病院、鉤十字棟に潜入。
ママチャリに乗って村を横断してお目当ての第六病院に向かう。
大介君にはお礼を言って一人で向かう。
村の中ほどには赤い柵が左右にある橋が掛かる。
えーと、標札に泪橋か。
演歌の様なネーミング。
程なく第六病院に着く。
3メータの塀か。
確かにインパクトあるある。
コンクリート製で明治時代からという年代を苔生した壁面が物語っている。
壁に沿って村道を自転車押しながら歩くと鷲が乗った門柱が左右にある門に辿り
着く。
門番用の小屋が端にあるり中にお爺さんが居る。
龍宮寺家から来たと伝えると裏手の勝手口に回る様に丁寧に案内される。
門を潜ると鉤十字の病院棟が眼前に見えてくる。
思っていたより大きい。
峠から遠望してもくっきりと見えていたから巨大であるのは分かっていたが想像
を少し超えている。
〈ブーン〉と低い機械音が建物内からしている。
鉤十字の棟の一つに沿って歩くと薪や農具とかが置いてある場所に突き当たる。
鉤十字の棟にドアがある。
多分ここが勝手口。
〈トントン〉と鉄製のドアを叩くと〈ギギギギギ〉とドアが開いた。
中から現れたのは白衣姿の女性と野良着姿のお年寄り。
その女性はシルバーの髪の毛をショートカットした青い目の外人だった。
丁寧に会釈をして龍宮寺家の風間さんですねと流暢な日本語で彼女は喋る。
野良着のお爺さんを紹介して彼に庭木剪定の指示を受ける様に説明すると棟の中
に引っ込んだ。
平日は中学校で教育実習を行うので剪定作業を行えるのは早朝5時〜6時と
夕方18時〜20時までの間。
土日は終日作業出来ると伝える。
お爺さんは 山田五郎左衛門 さんで少し淀みがちな話し方だがテキパキとした活
動的な動きの方だ。
仕事は明日からという事で寝泊まりする小屋に案内される。
先程の鉄の扉の横にある小屋がそうだ。
食事は病院の食堂で食べる。
もう夕食なので案内がてら食堂に連れて行ってくれる事になった。
門側に戻って玄関から入る。
ロビーはホールとなっており待合コーナのソファーがゆったりとしたスペースに
並んでいる。
その横手に食堂がある。
食堂に向かいながら建物の構造を確認する。
ソファーでは五人ほどお年寄りが談笑している。
五郎左衛門さんが今夜の温泉治療の湯治客だと説明してくれる。
ホールを中心に鉤十字型の建物は東西南北4方向に伸びており
東棟:一般治療と日本人職員居住エリア。
西棟:温泉治療浴室と手術室とドイツ人職員居住エリア。
南棟:医院長室と機械室、実験室。
北棟:非公開エリアと羽黒山方面列車到着ロビー。
広大だ。
大学病院クラスの規模だ。
食事はドイツ人用と日本人用と2種類。
食事を終えてロビーのお年寄りと会話をして用務員の小屋に戻る。
動き出すのは深夜にしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます