墓を出た先で-3

「……やっと出た……っ」


 ところどころで休憩を挟みつつ、やっと墓の外に出たアリス達は、明るい陽射しに目を細める。感覚的には、一日か二日ほどかかった様な気がアリスはしていた。どうやら、外はまだまだ明るいらしく、太陽が高い。


「ふう。行きも思ったが、この墓、内部構造が複雑で本当に迷路みてェだな……。まあ、セキュリティ上の問題もあるのか?」

「せきゅりてぃ……?侵入者を阻む為だとは聞いたことがある。『秘宝』や『宝剣』以外の理由で墓を暴こうとする奴はごまんといるからな。特に術師なんかは、歴代の王達の遺体を使って良からんことを企む奴らもいるし」


 「王家の墓」の警備をしている者達が毎年大変そうなんだよ、と眩しそうに目を細めながら青年がルイスの疑問に答える。流石に第二王子、王家関連の事情にはそれなりに詳しいようだった。


「……そういえば、他の皆さんはどうしたんですか?見る限り、全くいない様ですけど」


 ルイスの背中から「王家の墓」の周囲を見回し、アリスはぽつりと疑問を口にする。彼女の目には、今墓の中から出てきたアリス達以外、誰も写っていない。


「……?いや、俺達が出てくるまで誰も墓の中に入らないように外での見張りを言いつけていたはずなんだが……」


 交代でやるように指示したから、全員というわけじゃないが……、全くいないのはおかしいな。

 顎に小さく手を当て、青年は唸る。その隣にいるカーリムをはじめ、他の二人も険しい顔をし始めた。


「まさか、全員持ち場を離れた……?まさか、アイツらがそんなことするとは思えないな……」

「もしくは、何かあったか、だな。……どうする、リーダー」

「……アリス、ルイス。悪いが、少し周囲を調べてもいいか?」


 何だか嫌な予感がする、と言った青年に、アリスとルイスは悩むことなく頷いた。


「墓の中で『反逆者』の方々があなたを慕っていることは、話やカーリムさんやアッタールさん、ザキーヤさんのあなたに対する態度、それと、出会いの時の様子でそれなりに分かっています。その方々が何の理由もなく全員いなくなるとは、何かあったとしか考えられません」

「アリスの言う通りだな。それに……、嫌な予感程よく当たるとかいうからな。俺達以上にアンタ達は立場上、敵が多いはずだ。慎重になった方が良い」


 俺も手伝おう、とルイスが一旦アリスを降ろす。そして、アリスとザキーヤという女性二人を墓の入口に残し、男四人で四方に分かれ、周囲を探索して再び戻ってくることになった。


「何かあったら一人で対処せず、できるだけ集合場所に戻って来ること。無理だったら、できるだけ大きな音とかを立てて知らせるように。他はすぐさまそこへ向かう様にしよう。ただ、アリス達は何があってもできるだけここに残っていてくれ。アリスの怪我のこともあるが、一ヶ所に留まって連絡係を務めてほしい」

「分かりました」

「了解だ」

「はい」

「分かった」

「承知した」

「それじゃあ――散会!」


 青年の号令に合わせて、それぞれがそれぞれの役目につく。


「何か、分かると良いですね」

「ええ……」


 連絡係として残ったアリスとザキーヤは、お互いに不安そうに声を漏らした。

 そしてその不安は、見事的中することになる。

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