力の行方
「森の糧となり、消えろ」
「くそっ!?」
文字通り森の糧にするための魔法ってことか!?
考える余裕もなくグランドエルフが一瞬で距離を詰めてくる。
『りんと殿。ここは私にお任せを』
アオイの言葉を聞き、身体の力を抜く。
コントロールをアオイに預けた。
当然俺より戦闘能力が高いアオイの動きは眼を見張るものがある。
「すごい……」
リリィがそうこぼすほどに、効果は覿面だった。
近接戦闘は互角。
いや、お互いが強大なエネルギーの集合体。
じわじわとではあるがお互いの力は消耗していく。
アオイと俺が受けたダメージはほとばしる光となって大地に木々を増やす。
「せっかく燃やしたのにぃー」
ビレナがぼやく。
それどころではないんだが、この森の力は確かに目の前のグランドエルフのものになる。
ジリ貧だ。
そう思ったタイミングでちょうどよく助っ人が現れた。
空間魔法を使って俺たちより上空に突如現れたベルが叫ぶ。
「離れよ! ご主人、アオイ!」
「ベル!」
言葉に応えて距離を取る。
取り残されたグランドエルフが身構えるが、遅い。
「喰らえ!」
極大の黒い球体の魔法がグランドエルフを襲う。
体の前に手をクロスさせてガードの構えをとったが、極大の闇魔法を前に光り輝く身体がみるみる削られていく。
だがそのままやられるグランドエルフではない。
「舐めるなよ!」
「これは……?!」
新たに生まれた森からエネルギーを吸い取るように、闇魔法の黒に対抗するようにグランドエルフの背後に白いエネルギーの塊が生まれていく。
拮抗が生まれた。
『りんと殿! 今加勢すれば!』
アオイが叫びながらエネルギーを溜め込んだが、俺がそれを制した。
『りんと殿……?』
ビレナとリリィも目配せだけで伝わっていた。
「アオイ。今回は譲ろう」
『ほお……なるほど。そういうことでしたか』
憑依も解いて俺たちは二人で射線をあけた。
「む……?」
グランドエルフが気づくが、ベルの闇魔法に対抗するのに手一杯で身動きは取れない。
「なんだ……!? 何なのだこれは!?」
異変が始まる。
グランドエルフが力としていた白いエネルギーが、徐々になにかに吸い取られるように消えていく。
当然ベルの魔法に対抗する力が弱まるグランドエルフは余計に身動きが取れなくなっていく。
「自分が森の代弁者のような口ぶりだったけど、どうやら森はお前じゃなく──」
極大のエネルギーが、俺たちが飛び立った地点から溢れた。
「まさか……!」
「女王ティエラを選んだみたいだな」
白い魔法の矢が放たれた。
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