龍神憑依
「ふむ。りんと殿の思いが先程までより直に伝わってくるようですな……。その心意気、しかとうけとめましょう」
アオイの身体が青白い炎のようなオーラに変わる。
「行きます」
「ああ」
炎になったアオイは少女の面影を残しながら、身体は龍へと変化していく。
その炎に身を包まれながら、一つ俺の中で答えがでた。
アオイは龍だ。そのアオイと合わせるのであれば、一番いい形がある。
それがこれだ。
『おお……』
「ほう……」
「これは……」
イメージは蒼龍。
天高くその名を轟かせる伝説の蒼い龍。
黒かった羽は竜の巨大な翼へと、頭部には巨大な二本の角を、そして全身に、何者にも打ち破ることのできない龍の鱗を纏った。
「なかなか良いではないかご主人」
「ここまでうまくいくとは思わなかったけどな……」
見た目の問題ではもちろんない。
このイメージをアオイが受け入れた瞬間から、それでなくても膨大だったエネルギーが更に強まったのだ。
感覚で言えばもう、森の中心でまだ姿を見せぬグランドエルフにも、十分に並べるほどのエネルギーをその身に感じている。さっきまでは絶望的なまでに差を感じさせられていたというのに。
「どうだ? ティエラ。これならいけそうじゃないか?」
「ええ……! ええ! これなら……お願い。あんなものが生まれてしまえば、エルフはもちろん大陸の歴史が変わってしまう。ここで、終わらせて。 エルフの未来のために……!」
「任せろ!」
アオイの力を借りて、さらに俺を守るようにキュルケとカゲロウ。
万全の布陣だ。
「私も行くかの。ああそうだティエラ」
「なにかしら?」
ベルが動く前にティエラを呼んだ。
「バロンはギルへ預けよ。お主は限界まで、その弓を引き絞り時を待て」
「え……」
「行くぞご主人!」
戸惑うティエラを他所に飛び出すベル。
「大丈夫。任せとけ」
ベルの意図は理解できる。
ティエラの弓は強力だ。そしてこの弓は本来、最後衛で溜めて使ってこそ威力を発揮する。
自ら最前線に飛び込み戦っていたこれまでがおかしかったんだ。
極限まで引き絞られたティエラの弓であれば、あのグランドエルフですら仕留める力を持っているだろう。
もちろんトドメを譲るつもりがあるわけではないが、ティエラにも十分やれることがあるということを示していったわけだ。
「わかったわ……」
「じゃあ、いってくる」
「いってらっしゃい」
ティエラに見送られて俺もベルのあとを追った。
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