第10話 『涙が止まらない』

<クリス>


ふわふわで・・


柔らかくて・・

『気持ちいい~』


それに・・

いい香りする~


それに丁度いい抱き心地~

温かいし~


え?

これって何時もの布団の感じじゃ無い?

私はビックリして目を開けてみると!!


『ベッドの上でレイラを抱き枕にしてた!!』

何で私がレイラを抱いてるの?

な・・何?何なの?この状況?

私?

今の私

寝間着姿だし

着替えた記憶ないんだけど?


真っ暗な部屋の中で大分目が慣れてきた。


此処は・・


此処は多分レイラの部屋のベッド!!


私・・・


レイラとこのマンションに帰ってきて・・

食事しながら夜景を見てて


夜景きれいだな~


って思ってた時、レイラが

『お風呂先に入って』

って言ったから、夜景が綺麗だからこのまま見たいから先に入ってって言って先に入ってもらったんだけど・・・


『ワンピースに着替える時誤って転げてしまう所を抱き止められた時、ドキドキしてた気持ちが恋なのか確かめる為に、レイラの入っていたお風呂に入って確かめたかったんだ!!』


私お風呂に入ってレイラの裸も見たけどドキドキしなかった!!

『勘違いだったんだ』

でもお風呂から出た記憶が無いんだけど・・

レイラがお風呂の電気消した途端にガラスの壁面が透明ガラスになって窓の外に品川の街の夜景が見えて感動しちゃって見蕩れてた所までは・・覚えてる!!


夜景をお風呂に入ったまま見ていて・・

何か体が熱くてフラフラするな~って思ってて・・



え・・・・えええええええええええええええええええ~


もしかして?


もしかして?

私お風呂でのぼせて倒れちゃった?


うわ~きっとそう!!

私お風呂から出た記憶無いんだもの!!



じゃ~レイラがお風呂で倒れた私をお風呂から出して着替えさせて此処まで運んでくれたの?


多分・・そう・・

レイラって結構力持ち?

『レイラが起きたら謝らなくちゃ~レイラに悪い事しちゃったな・・』


あ~でもレイラをこうやって抱き締めてると・・


『凄く温かくて落ち着くな』


こうやって誰かを抱きしめたのって・・

お母さんとして以来・・だな・・


お母さん・・


まだ1年も経っていないのに・・

あの頃はニューヨークのアパートでお父さんとお母さんそして私の3人で幸せだったのに!!

『何でこんな事になっちゃったんだろう?』


お父さんあんなにもお母さんの事愛してたハズなのに!!

なんであんなにも心変わりしちゃったんだろう?


よりにもよって何であんな女を愛しちゃったの?

何でお母さんの事忘れちゃったの?

なんでお母さんの事ずっと愛し続けてくれなかったの?

お父さん!!どうしてそんなにも心変わりしちゃったの?


そう・・


思うと・・


何で・・・

私・・


『泣いてる?』



私何で泣いてるんだろ。

涙が次から次に流れ出てきちゃう。

もう・・

あの人達の事は忘れるって決めたばかりなのに・・

何で涙がでちゃうんだろ・・


「うううぅ・・」



「へっ?」

っと思わず素っ頓狂な声を上げてしまってた。

だって!!

私は突然

『ぎゅっ』

っと眠っていただろうレイラに抱き締められていたんだもの。

そして

私を抱き締めたレイラは

「好きなだけ泣いて良いよ。クリスが泣き止むまでずっとこうしてあげる」

って再度

『ぎゅっ』

っと私の体を強く抱き締めてくれる。

私はレイラのその言葉に思わず、わんわんと声を上げて泣いてしまってた。

私を抱き締めてくれているレイラの胸に私の涙が落ちてレイラの寝間着を濡らしてゆく。


そんな泣きじゃくる私の背中を


『ポン』


『ポン』

っと優しく語りかけてくれる。


「心配しなくていいから」


・・・・


「ゆっくりでいいからね」


・・・・


「私が一生傍にいてあげる」


・・・・


「私がクリスを一生幸せにしてあげるから心配しないで」


レイラその言葉男前過ぎるよ!!

まるでプロポーズだよ・・


その言葉・・


レイラが男の人だったら!!

レイラは本当に

『白馬に乗った王子様』


だったのに・・

私は・・

泣きながら・・


レイラの胸の中で・・・


いつの間にか・・


眠ってしまっていた


つづく・・・

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