幕間コラム7(南米の文化)

 ここまでお読みいただきありがとうございます。


 今回は南米の文化をご紹介。

 ひと口に南米と言っても、実際には多種多様です。その南米文化すべてを網羅するときりがありませんので、この物語に登場するものを中心に、軽めにご説明を。


※例によって、このコラムはさっさと飛ばして本編に進んでいただいても、まったく問題ありません。


1.食べもの

 欧州人とアメリカ大陸との出会いは、世界史上におおきな転換をもたらしました。

 そのうち食べ物に焦点を当てますと、アメリカ大陸原産のさまざまな作物が旧世界に伝播することで、世界史を動かしたと言える側面があるように思います。

 新大陸原産の作物といえば、トウモロコシ、トマト、ジャガイモ、サツマイモ、カボチャ。タバコもそうですね。(コカについては、次回のコラムで触れる予定)

 なかでも、痩せた土地でも育ち栄養価の高いジャガイモは、欧州の寒冷地域の人口増を支えて、例えばイギリス、ドイツ、ロシアあたりの躍進の原動力になったのではないかと思います。(あまり世界史は詳しくないので、考え違いがあるかもしれません)


 さて、南米の食文化について。

 ここはスペイン・ポルトガルをはじめ欧州の影響が色濃い地域です。そこに黒人奴隷や先住民の料理が融合し、またアメリカ大陸特有の作物を活用して、独特の食文化が各国の食卓を彩っています。

 コロンビアでは、トウモロコシ粉を使ったパン、アレパが定番。ほかには、ジャガイモと鶏肉のスープ、アヒアコ。トウモロコシやアボガドも入ったボリューミーなスープです。

 あるいはブラジルのフェイジョアーダ。元は奴隷・使用人に食べさせる、くず肉と豆を煮込んだスタミナ料理でした。

 キャッサバを利用した料理も多数。一見フライドポテトのようなものが実はキャッサバの粉を固めたものだったりします。



2.飲みもの

 ワインはチリ、アルゼンチンに良品が多く産します。葡萄の品種はマルベック、あるいはカベルネソーヴィニヨンが濃厚で肉に合うような気がします。

 ビールは、メキシコのコロナが有名ですね(コロナ禍で風評被害を受けているとか……)。ほかにも、あまり世界的には知られていませんが、アルゼンチンのパタゴニアだとか、(おそらく)ドイツ系移民のつくるビールだとか、美味しいビールがたくさんあります。

 あと、サトウキビ由来の蒸留酒が各種。最も有名なのが、ラム酒ですね。ほかに、コロンビアではアグアルディエンテ。ブラジルではカシャーサ。カシャーサからつくる「カイピリーニャ」は美味しくて危険なカクテルです。


3.お祭り、ダンス

 ラテンといえばお祭り、ダンス。……と思うのは私だけでしょうか?

 ともかく、彼らのダンス好きは、相当なものです。なにかあったら、踊る踊る。日本人がみんなラジオ体操ができるのと同じレベルで、「この曲が流れたらこう踊る」という定番があります。

 世界的にはサルサが有名ですが、コロンビア内ではクンビアも国民的ダンス音楽。サルサよりはすこししっとりした印象です。

 最も有名なお祭りは、リオのカーニバルですね。ダンサーは肌の色の濃い人が多い。こういったところにも南米の特徴が垣間見えていて、同じ「ラテン」と呼ばれても、ラテンヨーロッパとラテンアメリカとでは、文化が違うことは頭に入れておいてよいと思います。

 それにしても。えらそうに書いておいて、私はすこしも踊れないのです。ああ残念。


 さて、次からは「カリブの波間」編です。完結まで残すところあと二編、もうすこしおつきあいくださいませ。

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